ことりのあしあと

ほんのわずかなじかん、立ち止まって耳をすませて自分を見つめたい。そんなあしあとをペタペタとのこしています。

映画三昧、物語三昧

2012年04月24日 17時21分21秒 | 日記
暗くて天井の低い閉じ込められるように感じられて、
映画館を敬遠していた時期が続いていた。

この一年くらい、邦画を中心に、足を運べるようになってきて、
今年に入ってからは、洋画も大丈夫、と思えるようになってきた。
そうなると、観たいものを、観たいときに、欲張りになる。


「アーティスト」
http://artist.gaga.ne.jp/
無声映画は観なれていないけど大丈夫かな、と、不安を半分抱えつつ。
杞憂でした。
ジャン・デュジャルダンは、とっても名優だったし、
女優さんが愛らしかったです。
映画をまるごと楽しむ作品でした。


「マーガレット・サッチャー」
http://ironlady.gaga.ne.jp/
メリル・ストリープをはじめに観たのは、小樽の映画館。
生まれてはじめて観た映画「クレイマー・クレイマー」の中で。

見事でした。サッチャーの人物像が私の脳裏に定かではない
ということを差し引いても、サッチャーにしか見えない。

政治家としてとった政策がどうであったのか、
映画を観ながらも、それでいいのか・・・、と苦しくなる場面が多かった。
だけれど、時代を切りひらく大きな一歩を踏んだ女性としての苦悩には、
心を揺さぶられました。
ひとりの女性の、そして、彼女を用いることで近代化を一歩すすめた国の歴史をひとつ、学びました。


「ヘルプ」 
http://disney-studio.jp/movies/help/

新年にみた「サラの鍵」http://www.sara.gaga.ne.jp/
につづき、私の中では、ここ数年の中の大ヒット。
原作の小説がある映画を、良く仕立て上げるのは難しいけれど、
「サラの鍵」も、「ヘルプ」も、
本を読む以上に、活きた映画になっていると、思いました。
テーマも、内容も、分量も、小説で読み切るには
ぐっと力が必要なのだけれど、(どちらも完読できずにいる・・・)
映画は、魅せられて、のせられて、観切って、心に残り、響く。
これぞ、映画の効用。

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正しさとは、何だろう。
時代によらない、他者によらない、社会の在り方によらない、
絶対的な正しさは存在するのだろうか。

アーティストも、サラも、ヘルプも
歴史を検証することによって得る、後づけの「正論」とは異なる、
人を慈しみ、人を敬い、今の輝きをそのままに抱きしめるような、
普遍的な「大事にすべきもの」を描き出しているようで。。。

理屈ではない、「それ」を、つかみとる力を養うことは、
人類が伝えゆく叡智の中の最たるもの。
国際紛争も、貧しい社会も、荒廃する国家も、
それをつかみそこねた結果ではないか、そんな気がしてならない。


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いい作品に出会うと、また、映画館に足を運びたくなります。

次の感動に遭遇するまでがんばろ~、
と思う気持ちを、生きる勇気とよんでもいい。

昨日読んだ、小川洋子が
人は生き続ける限り、現実と折り合いをつけていくための物語を必要とする、と書いていた。
(『物語の役割 (ちくまプリマー新書)』)
小川洋子をひくまでもなく、そう。

そして、物語は、生きる勇気を励ます。
そうして編まれ続ける人の営みは、生きる勇気を励ます。

生々しく、分厚く、人の命の物語に触れていたいと、思う。
大事なものを探し続けるために。

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