嫌な予感がするが、施設長に電話を入れるのは常識的なことだ。
鬼女に電話を入れる。
「もしもし」
めっちゃ不機嫌な低いトーンの施設長の声。
ビクビクしながら事情を話す私。
「はあっ?」
あーだこーだと怒鳴ってくる鬼女。
息子が昨日から具合が悪かったのなら、なぜ昨日電話を入れなかったのかとか怒鳴っている。
いやいやあんた、私がこの前血圧が高くて頭が痛いから休ませてもらえないかと電話をした時に、「前の日に電話をよこされても困るっ」と休ませてくれなかったじゃないか。
そう言いたい。言いたいけど「すみません」「申し訳ありません」と受話器を握り、謝る私。
「どうぞ行って下さいっ!救急でどうぞっ!」
ガチャン!
吐き捨てるように嫌みを怒鳴られ、電話を強く切られた。
その様子を見守ってくれていたCさんが、
「気にしないで行って。あの人はそういう人なんだよ」
と言ってくれたのが、その場での気持ちの救いだった。
「職員の健康なんて、職員の家族の健康なんて、どうでもいい人なんですね」
あきれすぎて悲しくて、私は涙が出た。
Cさんは「そうなのよ、あの人は」としかめ顔をしていた。
CさんとSくんにお礼を言い、私は外に出た。
ちょうど息子もフラフラしながら歩いて来たのが見えた。
車に倒れこむように乗り込んだ、青い顔の息子を気にしながら、大きい総合病院の救急外来に向かった。
早くやめたい。
早くやめたい。
あんな女のもとで働くなんて吐き気がする。
病院に着き、あれこれ検査。
きっと肺炎なんだろうなあ。
入院になるかもしれない。。
そんな覚悟をして、先生からの説明を受けた。
「検査をしましたが…」
「はい…」
肺炎でしょ、はいえん…
「風邪ですね」
はい、え…?
ん…
ちょ、こんなに大騒動の末、風邪って、ちょ、えー!
わたしゃどのツラさげてあの鬼女に「風邪でした」って言えばいいのよー
隣に座ってる息子が私を申し訳なさそうな顔でチラチラ見ているし。
「あのぉ先生、息子は、下痢が続いているし胸が痛いんですが…」
「まあ、風邪から腸炎を起こしていたんですね。胸は咳のし過ぎですね。」
先生…そんなあっさりと。
「あ、でも風邪ってばかにできないんですよ。いろんなタイプの風邪がありますからね。息子さんは重めの風邪をひいた感じですね」
あ、そこポイント。
重めの風邪。
腸炎の可能性。
メモメモ、心にメモ。
明日仕事に行って、鬼女に謝りながら病状の説明をすることになるだろうから、「ただの風邪でした」じゃどんな罵倒を浴びさせられるか。
重めの風邪。腸炎。
ここ重要だわ。うんうん。
帰りの車の中で、息子にもいろんな話をした。
今はこうやって母が居るけれど、もし地元を離れた希望の大学に進めたら、
これからは自分でどうにかしていかなきゃならないんだよ、ということも。
どうやら私に職場で嫌な思いをさせたことを察してる様子。
そんな息子16歳最後の日であった。
で、
明日職場に行くのが、ものすごーく憂鬱な気分でいる私であった。
鬼女に電話を入れる。
「もしもし」
めっちゃ不機嫌な低いトーンの施設長の声。
ビクビクしながら事情を話す私。
「はあっ?」
あーだこーだと怒鳴ってくる鬼女。
息子が昨日から具合が悪かったのなら、なぜ昨日電話を入れなかったのかとか怒鳴っている。
いやいやあんた、私がこの前血圧が高くて頭が痛いから休ませてもらえないかと電話をした時に、「前の日に電話をよこされても困るっ」と休ませてくれなかったじゃないか。
そう言いたい。言いたいけど「すみません」「申し訳ありません」と受話器を握り、謝る私。
「どうぞ行って下さいっ!救急でどうぞっ!」
ガチャン!
吐き捨てるように嫌みを怒鳴られ、電話を強く切られた。
その様子を見守ってくれていたCさんが、
「気にしないで行って。あの人はそういう人なんだよ」
と言ってくれたのが、その場での気持ちの救いだった。
「職員の健康なんて、職員の家族の健康なんて、どうでもいい人なんですね」
あきれすぎて悲しくて、私は涙が出た。
Cさんは「そうなのよ、あの人は」としかめ顔をしていた。
CさんとSくんにお礼を言い、私は外に出た。
ちょうど息子もフラフラしながら歩いて来たのが見えた。
車に倒れこむように乗り込んだ、青い顔の息子を気にしながら、大きい総合病院の救急外来に向かった。
早くやめたい。
早くやめたい。
あんな女のもとで働くなんて吐き気がする。
病院に着き、あれこれ検査。
きっと肺炎なんだろうなあ。
入院になるかもしれない。。
そんな覚悟をして、先生からの説明を受けた。
「検査をしましたが…」
「はい…」
肺炎でしょ、はいえん…
「風邪ですね」
はい、え…?
ん…
ちょ、こんなに大騒動の末、風邪って、ちょ、えー!
わたしゃどのツラさげてあの鬼女に「風邪でした」って言えばいいのよー
隣に座ってる息子が私を申し訳なさそうな顔でチラチラ見ているし。
「あのぉ先生、息子は、下痢が続いているし胸が痛いんですが…」
「まあ、風邪から腸炎を起こしていたんですね。胸は咳のし過ぎですね。」
先生…そんなあっさりと。
「あ、でも風邪ってばかにできないんですよ。いろんなタイプの風邪がありますからね。息子さんは重めの風邪をひいた感じですね」
あ、そこポイント。
重めの風邪。
腸炎の可能性。
メモメモ、心にメモ。
明日仕事に行って、鬼女に謝りながら病状の説明をすることになるだろうから、「ただの風邪でした」じゃどんな罵倒を浴びさせられるか。
重めの風邪。腸炎。
ここ重要だわ。うんうん。
帰りの車の中で、息子にもいろんな話をした。
今はこうやって母が居るけれど、もし地元を離れた希望の大学に進めたら、
これからは自分でどうにかしていかなきゃならないんだよ、ということも。
どうやら私に職場で嫌な思いをさせたことを察してる様子。
そんな息子16歳最後の日であった。
で、
明日職場に行くのが、ものすごーく憂鬱な気分でいる私であった。