kirekoの末路

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旅路-1

2007年03月13日 17時06分06秒 | 短編
①私の場合

目的地も決めずに始まった当てもない旅路。私たち二人の旅路。

若葉に露が溜まる寒い朝も、真っ直ぐな日差しが照りつける暑い昼も、
日が落ち窓から見える空が曇る夕暮れも、暗闇迫る深い冷たい夜も
時代が作ったボタン一つでかけられる携帯電話と、伝言箱が一杯になるほど送ったメールが示すように
共有できる時間、暇さえがあれば二人は何時でも一緒だった。

人様から言えば禁忌とされるべき私たち二人の旅路。
でも我慢なんて出来ない。私はなんて我慢のできない人間なのだろう。
キラリと光る眼鏡をかけ、小気味いいチョークの音を教室中に奏でながら
ピシッと決めたスーツで教壇に立つ貴方の背中にどうしても愛おしさ感じてしまう。
そして私は貴方と旅に立つことを決めた。
春暖かな4月の空と舞い散る桜の花びらが私たちの旅路を祝福してくれた。

旅を始めて2ヶ月が経った。
この2ヶ月間、嫉妬と独占欲が強くなった気がする。
貴方が「可愛い」と言った物全てに嫉妬し、貴方が「欲しい」と言った物全てを取り上げた。
独りよがりな私と従順な貴方の旅路は、小さな躓きの連続だったかもしれない。
様々な局面と遭遇し、その度に私たちは衝突し、仲直りを繰り返し乗り越えてきた。
協力し合えば、二人はどんな困難も解決できると信じていた。

教え子と教師。
考え方、感覚、事実に襲い掛かる世間の目。
その差は歴然としているのに、どこか似ているようで似ていない二人の旅路。
貴方は私、そして私は貴方。
私たち二人はこれからも旅を始めた事を後悔しない。
そうだと今も信じてる。





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コメント
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