kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

旅路 あとがき

2007年03月16日 17時18分11秒 | 短編
はい、というわけで終わりました。
最後は駆け足で終わらせました。
当初はバッドエンドよりハッピーエンドを考えてたんですが
「正直ここまでついて来るとは思ってなかったぞ」って感じで追い立てられて
全部カットしました。

「話は分かった、ところでなんでお前がいるんだ?」
的なエピソードも考えてました。


では、これにて短編終わりとさせていただきます。


ここまで読んでくれた人全てにサンクス。






≪登場人物設定≫

○『私』 高校生⇒主婦 19歳 女
嫉妬深くて支配欲の強い女。
裕福な家の三人兄弟の末娘として生まれる。
小中高と通じて親の意向で女学に通う。
ある時期に『俺』に告白し、見事に射止める。
その後、二人で生活するが・・・。

「今作一番の自由人、嫉妬に駆られた女は何するかわからない」


○『俺』 学校教師 28歳 男
女子高の教師。現代国語担当。
ここぞというところで機転が利くが素直過ぎる。
融通が利かない。頭良い銀縁の眼鏡キャラ。
あまり縛られることを望まない。

「今作一番の苦労人、帰ったら飲み物奢ってやるよ」


○『私の親友』 高校生⇒秘書課勤務 19歳 女
『私』の同級生であり親友。
やわらかい物腰と年相応の可愛らしさを持っていて
流暢な言葉使いと物怖じしない性格が売り。
なんでも受け止められる総じて器の大きさもあり
『俺』もそんなところに気を引かれたのであろうか。
物語では描かれなかったが、実は『私』と『俺』の二人が
付き合っていたのを知って、自分が好きだった『俺』を奪われ
嫉妬が湧き上がり、『俺』を付回すような
ストーカーまがいの行為を何回も行っている。
(バーに行くタイミングでいつもいるのはそのため)

「今作一番の頭脳派、実は結構狡猾な性格です」
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旅路-6

2007年03月16日 17時16分52秒 | 短編
6、旅の終わり。


なぜ私たちの旅路はこうなってしまったのだろう?
永久にも感じられる時は無常にも私に解けない問題を投げかけた。

悪魔は私から貴方を奪い、私は残った『酸っぱくほろ苦くなった果実』をかみ締めた。
今までの旅路が終わる音が聞こえ、果実には涙の味がした。

でも、そんな私に再び悪魔が語りかけてきた。
「その果実を甘くする方法はあるぞ」と、
かみ締めていた涙の味のする果実は、悪魔にそそのかされ
言われるがまま憎悪と嫉妬の渦に包まれる。



・・・・・・・・・



もう、どのくらいたっただろう。
明かりがぼんやりとついているだけ。
ああ、手がこんなに汚れてしまった。
洗わなきゃ。
水道の蛇口をひねる。
冷たい水に手を触れると、みるみるうちに赤くなっていくわ。
洗面台に映る私の顔。
あれ・・・ルージュがはみでてる。
それに全身真っ赤。まるであの女みたい。



悪魔は事の後、最後に私に甘く囁いたの

「甘くない果実なんて捨ててしまえ」って

朱色に染まった携帯をスッと取り出すと

まだ青々しかった私たちの旅路が見え隠れする。

もう終わってしまった旅路なのに。

目的地も決めずに始まった当てもない旅路。私たち二人の旅路。

携帯を閉じ旅の終わりを告げる辺りに広がる光景に再び目をやる。

嫉妬と憎悪に満ちた私の口一杯に再び広がる

酸っぱくほろ苦くなった果実の最後の味を噛み締めると

赤い体を引きずりながら、迫る夜の闇へと逃げ出した。





―――――――――END――――――――――












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旅路-5

2007年03月16日 17時14分43秒 | 短編
⑤ 私たちの亀裂、大きな代償


私たち二人の旅路も2年が過ぎた頃、去年のあの大ゲンカの日から
帰ってきた貴方の態度は朗かにおかしかった。
妙に優しくなったというか・・・我を通さなくなったというか・・・
従順さが増したというか・・・自分を出さなくなったというか・・・

怪しいと感じた私は、貴方が入浴していることを良い事に
いつものようにコッソリ貴方の携帯を覗き込む。
「それが普通」と、さも常識のように日々貴方の自由を意識的に奪っているとはいえ
この時ばかりは流石の私も罪悪感に苛まれる。
前に大喧嘩したときの原因もこれだった。
私の些細な猜疑心と嫉妬心。
いつも勘違いなのは知っている、でもやめられない。

私の前に悪魔が現れて勧めるのだ。
甘美な匂いを漂わせながら美味しそうに成る禁断の果実を噛じれ、と。

悪魔の誘いに乗り果実を噛じる私。
しかし、私は知らなかった。
禁断の果実を噛じるということが、どれほど愚かなことであるかを。

私はメールの一文を見ると、体中の血液がグツグツと煮え滾る思いをした。
顔は赤色に染まり、世間で言う鬼のような形相に私は一瞬にして変化した。
私が世界中で一番醜い私になる時だ。

「どういうことなのよ、これは!浮気でもしてるの?!」
入浴後でまだ髪も乾いていない貴方に、メールの一文を見せて申し開きを求める私。
いつもの貴方なら不機嫌そうに反論してくるはず、そう言わせたらコッチのもの。
私は貴方の必死で弁解する姿を見て、どこか快感に似たものを感じているのかもしれない。
さあ、その言葉を早く言って、早く、私の目を一心に見つめて今すぐ言って
「違う、誤解だ、君は勘違いをしている」って。

でも、貴方は私の思う通りの台詞を言わなかった。


「ごめん」


貴方の口から放たれた言葉、それは私の中を稲妻のように高速で過って
私の何かがピシッと音を立ててヒビ割れるような思いがした。
え、ちょっと、なんで、否定してよ。
なんで、なんで、なんで、なんでなのよ!
あやまるなんておかしいじゃない。いつもの調子で反論してよ!

ピンポーン

あっけにとられていた私を尻目に玄関で呼び出しベルが成る音が聞こえた。


「・・・ッ」
玄関へと逃げるように駆け出したのは私のほうだった。
今すぐに玄関に行かずにはいられなかったのだ。
なぜなら、貴方のメールの最後に来ていた相手からのメールにはこう書いてあったから。


『今から、あなたの家に行きます』


怒りを始めとしてあらゆる感情が噴出し
ドアを開けると、そこには肩まで伸びた黒髪と赤いスーツを着こなした知っている顔が現れた。


「あなたは・・・」

「・・・お久しぶりね、学生以来かしら?」

余りにも知りすぎている顔が目の前に。私の周りの空間が歪む。
今まで一歩一歩確実に歩んでいった足跡が砂嵐で消えていく。
辺りは静寂が支配し闇が広がっていった。
私が進んでいく道も、帰るべき道も、闇に飲まれ消えていった。











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