しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第44回「恋は魔術師」

2006-01-26 20:55:53 | バイレ
ガデスつながり、サントラつながりで
サウラとガデスのフラメンコ三部作の最後を飾る
「恋は魔術師」にしてみました。
「カルメン」のヒットを受けて日本でも
けっこーすぐに公開されたんですよね。
87年だったかな。
私もまだ日本にいて、試写会に行ったような。
まだあんまよくわかんない頃だったのもたしかですが
とにかく女々しくなくガデスにあ然とした覚えが。
いやいや。
どーもガデスを英雄視してたんでしょーね。

でこのアルバムは前回の「カルメン」とは違って
台詞も入ってないし
ファリャの曲はまとめて収録されているし、なんだけど
でも臨場感も少々。
舞踊団メンバーが歌っていたりするのもいー感じです。
モスカとゆー、グラナダの伝統曲を歌っているのは
グラナダ出身でマドリ在住のベテラン歌手、トニ・マジャ。
このシーンよかったですよね~
あとカマロンのコモ・エル・アグアやローレ・イ・マヌエルのトゥ・ミラも
効果的につかわれていますよね。
そーいや、「血の婚礼」でも
ラス・グレカの「エストイ・アマンド・ロカメンチ」のメロディつかってたし
こーゆーポピュラーぽいフラメンコ曲をガデスが効果的に使っているつーのがわかりますね。
なんつーか、ガデスってあの苦みばしった顔やストイックな雰囲気で
“お芸術”って感じかもしだしてますが、けっこーこういう要素もつかって観客をつかんでるのかも、です。
頭いいなー。

最後の「洗濯場の歌」はフラメンコミュージカルっ!って感じで楽しいですよね。
洗濯の場面は同じガデスの「フエンテオベフーナ(アンダルシアの嵐)」にもありましたよね。
あとカルメン・コルテスの「イエルマ」なんかにもあったな。
白い布がひるがえって、絵的にもおいしいです。。。

なおこのアルバム、ファリャのとこでボーカルやってるのは
スペイン歌謡の大御所、ロシオ・フラード。
ちなみにフラメンコではカルメン・リナーレスやエスペランサ・フェルナンデスも
歌ってますね。あ、ヒネサ・オルテガもあったよーな。
またフィエスタの場面でなぜか、アスーカルモレーノが登場。
フラメンコ・ハウス(ってなんだよ?)のベテランおばちゃん二人組ですが
この頃はまだ若く、荒削りな声ですね。場末の不良のねーちゃんみたいでわるくない。
作曲アリエル・ロットってゆーのは意外だったけど。