しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第102回「ヌエバ・フロンテーラ・デル・カンテ・デ・ヘレス2008」

2008-08-04 23:33:12 | カンテ
いや、ヘレスはすごい。てごわい。あなどれない。

って感じさせてくれるのはこのアルバム、でございます。
へレスの若手の歌い手たちを集めたCD2枚組。

その中で、スペインの一般フラメンコ・アフィシオナードにちょっとは知られた存在というのは、ヘラルド・ヌーニェスのグループで活躍し、昨年のマラガ・エン・フラメンコや今年のアル・グルグー(アラアルのフェスティバル)でソロもやってたパケーラのおいっこ、へスース・メンデス(どーでもいいけど、背の高い二枚目です)と今マドリーにすんでいる、昔ビエナルのコンクールに出たエセキエル・ベニテスくらいか?
あとは知る人ぞ知る、の存在ばかりかと。
フアニジョロやトロも、鍵田真由美さんの公演で日本に行ったりしてるし、パコーテはなんといってもアンダルシア弁講座
http://www.youtube.com/watch?v=kJyTXevQrtQ
で人気あるし(ラジオでものまねとかもしてる)、日本でも知っている人、いるかもしれんけど。

与太話はともかく。
つまりへレスにはまだまだ世間には知られてない、すごいやつらがうようよいるよ、ってことなんですわ。

トルタのおいっこはトルタじゃん、ってすぐわかるかんじだし、
ホセ・カルピオは、なんとセビージャ万博のタブラオで歌っていたおこちゃまの成長した姿でありました。
ちなみにギターもへレスの若手ばかり。中ではフアン・マヌエル・モネオ(マヌエルの孫だっけ?)がおきにいりです。

7月はじめにヘレスで開かれた新譜発表記念のコンサートもよかったよ~
最後にモライートとトルタ、30数年前の、元祖「ヌエバ・フロンテーラ・デル・カンテ・デ・ヘレス」に録音した先輩も登場して。

はい、こうしてフラメンコの伝統は綿々と続いていくのでありました。。。

ちなみにこのCD、制作がバスク地方はビルバオの貯蓄銀行ってどーよ。。。



第101回 マイテ・マルティン「デ・フエゴ・イ・デ・アグア」

2008-08-04 22:55:12 | カンテ
お、マイテの新譜だ、こりゃ買い~と早速買ってきてびっくり。
なんとラベック姉妹との共演なんですね。

ラベック姉妹、皆様覚えていらっしゃいます? あの人は今、に登場しそうなこの美女姉妹のピアニスト。今ぐぐってみると彼女らが人気だったのは80年代前半らしい。あ、20年前。。。なんかついこの間のような気がするんだけどね。
つーのはともかく。(年の話をすると長くなるのが中年の特徴。。。)

つまり、クラシックのピアニストと、フラメンコ歌手であるマイテの共演というわけですわ。
ま、マイテはボレロ(ラテン・バラードですな)を歌ったアルバムも2枚あるし、デビューアルバムでも自作のカンシオン、すなわちフラメンコのうたであるカンテ以外の曲もはいっていたし、そーれほど、びっくり、な組み合わせってことはないんですけどね。はい。
興味津々きいてみました。
はい。きっとフラメンコのコアなファン以外の人には、わあ、フラメンコだぁ、となるんだろうけど、コアな人には、ふーん、で終わっちゃうかもな選曲。
スペインだけどフラメンコじゃない曲がけっこう多いわけですね。
そのフラメンコ曲もビダリータやソロンゴという、メロディアスなものというのは、やっぱ、クラシックピアノという楽器ならでは、なのでしょーか。
リズムよりメロディ重視?とゆーわけでもないんだろーけど、フラメンコのリズムのもつ圧倒的な力みたいなものとは無縁なとこにあるような。

なんかこれならいっそのこと、ロルカの民謡集でもやれば?とかも思わせたりもするわけだけど、ま、クラシックとフラメンコの間にスペイン歌謡や、小曲、なんてゆーのがあるんだなあ、とか思ったことでした。違うかもだけど。

パコ・デ・ルシアの愛のうた、カンシオン・デ・アモールをピアノでひいているのは、なるほどねえ、って感じ。いや、うまくいえないんだけど、クラシック化するとこーゆーふうになるんだわねえ、って感じ。

けなしているようにきこえるかもしれませんが、そーではありません。面白いと思う。クラシックとフラメンコって、ありそーでなさそーで、だし。

いつもながら、ではありますが、マイテの思い入れたっぷりな歌い方も、いやあ、やっぱうまいし、いいし。アランフェス交響曲で知られるロドリーゴ作のアデラとかいやあ、いいですねえ。。。


http://www.labeque.com/news/view.asp?ID=84&TPE=1&LEVEL=1