しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第41回 カメラモス・ナケラール

2006-01-14 18:21:25 | バイレ
また古いアルバムをひっぱりだしてきました。
オリジナルは1977年。でCD化が94年。もう12年前ですね。
やっぱこれも廃盤だろーな。でももしかするとどっかの中古屋で会えるかも。
つーわけでかまわず書いちゃいますね。

これはマリオ・マジャ舞踊団の作品のいわばサントラ盤でございます。
マリオのはほかにもたしかアマルゴがあったよね。CDにもなったっけか?
いや、そこらへんよくは覚えてないんだけど、
まだ十代のエスペランサ・フェルナンデスが歌った子守唄とかよかったっすね。
あれもまた聴きたい。どっかにあるかな。
なんか今家のCDもLPもごちゃごちゃになっててようわからん。

で、カメラモス・ナケラール。
これはカロ(スペインのジプシー語)でわたしたちは話したい、
という意味だそうです。
ジプシー詩人ホセ・エレディアの脚本。台詞と歌でジプシー迫害の歴史を語っていきます。
歌は日本ではガデス舞踊団のイメージが強いかな、のゴメス・デ・ヘレスとエル・ピキ。
二人とも味わい深い声でしっかりと、歌詞もよくわかるように歌っています。
メッセージ性が強いので歌詞がわからないとつい尻込みしてしまいそーですが
歌詞なんてわかんなくてもきっと伝わってくると思いますよ、ヒターノたちの思いは。
曲もいいし。切実なものがなにか伝わってくるんじゃないかと。
コーラスとかアマルゴにも通じるよね。メロディもにてません?
マリオのサパテアードもしっかりはいっているので踊りのファンも面白くきけるんじゃないかな。

考えてみれば踊りがCDになるなんてフラメンコならでは、ですよね。
バレエは音楽として聴くわけで、誰が踊ってても聴くのはオケで、
たとえばヌレエフのビデオはあってもCDってのはないんじゃないでしょうか。
日舞とかでもそーじゃないかな?(台詞の入る歌舞伎とかだと違うけどさ)
いうならばフラメンコでは踊り手もミュージシャンとして見る世界だけでなく、
聴く、音の世界にも参加しているわけで、それってやっぱすごいし面白いよね。

この舞台はわたしは見てませんが、まだ若きコンチャ・バルガスとやってたそうだ。
たしか(とまたうろ覚えだが)映画「カルロス・サウラのフラメンコ」のマリオの場面
若きイスラエル・ガルバンとマルコと踊ってるのはこの作品の中の曲ではなかったかな。
で、この作品自体もビデオというか、短編映画?で残ってまする。

マリオってなんか実績ほどには評価されてないよーな気がするんだけど、んなことない?
コンチャ、カルメン・コルテス、フアナ・アマジャ。いずれもマリオの相手役。
イスラエル、ベレン・マジャ、ラファエラ・カラスコ…
今、最も注目されているフラメンコ舞踊家たちもマリオの舞踊団育ち。
イスラ(日本での小松原舞踊団の『女の平和』みました?よかったすね~天才!)だって
ベレンだってマリオなしではいなかったと思うし。
すごい人ですよ、やっぱ、マリオは。