しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

マリア・メスクレ

2010-06-08 16:14:55 | カンテ
ハエンの山奥に生まれコルドバやセビージャを流れるグアダルキビル川。
その河口の町サンルーカル・デ・バラメーダ。
セビージャのフェリアでよく飲まれるマンサニージャという
ヘレスのフィノより軽やかな飲み口が特徴であるシェリー酒の一種の
生まれ故郷であり、おいしい魚介類とうまい酒のある海辺の町。
この町生まれの22歳、マリア・メスクレのデビューCD。
5月29日に地元サンルーカルで発表コンサートを行ったばかりだ。
そのコンサートにはマノロ・サンルーカルもやってきたという。

本名、マリア・デ・ロス・アンヘレスマリア・デ・ロス・アンヘレス・ロドリゲス・クエバス。
高祖父フェルナンド・エル・メスクレはシルベリオ・フランコネッティ時代のシギリージャ歌い、曾祖父フアン・エル・メスクレも歌い手という血筋。
また祖父は同じくサンルーカル出身の歌い手、マリア・バルガスの従兄弟だという。
11歳から歌い始め、2004年頃からヘレスやカディスなど近辺の町のコンクールに参加し、賞を獲得している。

CDはヘラルド・ヌーニェスのプロデュースで彼のレーベル、ガジョアスールからの発売。
毎年サンルーカルでクラスを開講しているヘラルドがある日クラスで歌った彼女をスカウトし録音がはじまったという。

サンルーカル発祥の曲とされるミラブラスにはじまり、ブレリア、ソレア・ポル・ブレリア、マラゲーニャ…。
ヘレスの若手ギタリストの中でも実力派のマヌエル・バレンシアが主に伴奏。
(1曲だけパスクアル・デ・ロルカ)
カラコーレス、アレグリアスと3曲カンティーニャス系の曲があるのが面白い。

私的にはシギリージャが好み。
どこかアフリカンなかんじもあるパーカッションではじまる
アレンジはモダンだけど歌いっぷりは正統派というのも好み。
歌い上げる感じが彼女の声や歌い方にあっているし、
音程もいいし、リズムもしっかりしている。声もよくでているのだが、
ちょっと声を張りすぎるのか、息継ぎの問題か、全体的にちょっと苦しそうな感じがする。きいてるこっちが息切れしてくる感じ、というか。
まだ若いせい?
肩の力抜けたらきっともっとよくなるに違いない。
なお、マヌエル・バレンシアの伴奏、めちゃいいです。