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しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

サラオ「ハラ・エン・エル・カミノ」

2014-10-23 12:05:04 | カンテ

かなりのフラメンコ好きでもこの人の名を聞いたことがある人、ましてや歌を聴いたことのある人はそれほどいないだろう。サラオ、本名ホセ・アントニオ・マルティン・ジャネス。最初に聴いたときはほんとびっくりしました。まだこんな歌い手が隠れていたんだ、って。

ファンダンゴの本場、ウエルバ県アロスノ出身の両親のもと、出稼ぎ先のドイツ生まれ。ルンバを歌っていたが、タブラオでフラメンコと出会ったのだといいます。

これは、マネージメント事務所が制作したCDがデビュー盤で、伴奏はチクエロとダビ・セレドゥエラ。

マラゲーニャにはじまり、タンゴ、セギリージャ、アレグリアス、カルタへネーラ、ブレリア、ティエント、ファンダンゴ・デ・ウエルバ。マルティネーテと9曲。個人的にはチクエロ伴奏の曲の方が、まっすぐ歌っている感じがして好きだ。これは伴奏のせいだけではなくて、作曲のせいかもしれない。自主制作に近いから、というわけでもないだろうが、各曲の作者名がクレジットされていないのは非常に残念。ま、このアルバムに限ったことではないけれど、なぜむりやり、新曲歌うんでしょうね。昔ながらの、でもいいと思うし、その方が魅力がでる歌い手モいると思うんだけど。

系統としてはカマロンなのだろうが、単なるカマロネーロではなく、彼の個性がちゃんとあるのがいい。とにかく一度は聴いてみてください。

 

 


ヘスース・コルバチョ「デバホ・デル・ロメーロ」

2012-04-17 18:50:22 | カンテ

 

ウエルバ出身の歌い手、ヘスース・コルバチョのデビューアルバム「デバホ・デル・ロメーロ」

1986年生まれというからまだ25歳。この若さでCD録音は、今のフラメンコ界の状況からしたらかなり珍しい。それも彼のデモテープを聴いたレコード会社がコンタクトしてきたというからたのもしい。

でもアルバムを聴くとやはりその若さが出てしまっている感がある。

シギリージャ、マラゲーニャ、ソレア。どれも表面的でいかにも勉強しました、で、まだ中に入っていないような感じ。

でもきいているうちに、この口先で歌うような感じが彼の個性なのかも、と思い直したり。

声質的にはグアヒーラなどがあっているのかな。

ファンダンゴやタンゴのコーラスのアレンジなど、ちょっと前の“新しい”風で、それが今きくとなんか古い感じになっていることに驚いたり。ちゃかぽこ(掘越画伯命名)系はもう流行遅れですな。

これまで舞踊伴唱ではきいていても、ソロで聴いたことがなかったのですが、もう少し時間がたつとまた変化するのでは、と将来に期待。

最後に2歳半のとき、おかあさんといっしょにファンダンゴを歌っているのをボーナストラックとして収録。若いといってもベテランなわけですね。


エンリケ・モレンテ「モレンテ」サウンドトラック

2011-06-26 18:45:21 | カンテ

昨年12月亡くなったエンリケ・モレンテ。

それは本当にあまりにも突然のことでいまだに信じられない。

去年の彼を追った映画「モレンテ」のサントラ版。

5月22日、日刊紙エル・パイスの付録として9.95ユーロという破格の値段で発売されたもの。

エンリケと面識のあったアーティストやジャーナリストのエッセイやコメント、収録曲の解説、歌詞なども収録したCDブックとなっている。

曲の順番は必ずしも映画に登場する順番ではない。彼の最後の録音「エル・アンヘル・カイード(墜ちた天使)」を最後にもってきたのは正解。映画でもエンリケがジャズピアニストの伴奏で熱唱するこの場面にきゅんとなって思わず波だったけど、この曲の作者、アントニオ・ベガもこの曲が最後の録音だったことなど思うと感慨深い。

幕開きはアルバム「パブロ・デ・マラガ」の最後を飾った「アディオス・マラガ」。ピカソや詩人マリア・サンブラーノ、そしてレポンパ、チャケータ、フアン・ブレバ、アンヘル・デ・アロラら、マラガゆかりの人たちの名が歌い込まれたエンリケの作詞作曲。続くアレグリアス、マラゲーニャスとともに、ブイトラゴでのライブ録音。アレグリアスは伝統的なものからオリジナルなものへと軽快なリズムで歌い綴るのが壮快。生命力に満ちあふれたアレグリアスだ。マラゲーニャはトリアーナ出身の名手、ラファエル・リケーニ。「一瞬、はっとさせるところがあるから、あれだけでいいっていう気になるんだよね」と昨年、ラ・ウニオンのフェスティバルで会ったときに語っていたエンリケ。そのときの公演でリケーニのギターにおおっ!と驚嘆した一瞬があった私は激しく反応し、おやっという顔をしたエンリケと目があった。昨日のことのようなのに。

次のブロックはグラナダ。エンリケのタンゴと長女エストレージャのカンシオン・ポル・ブレリアス、長男ホセ・エンリケのソレア、次女ソレアのソレア・ポル・ブレリアで、これはアラブ風呂内での録音だ。タンゴでは娘たちのささやくようなコーラスも美しい。エストレージャについてはいうまでもないだろう。当代きっての人気フラメンコ歌手。声質で毛嫌いする人もいるようだが、歌詞のメロディへの載せ方や節回し、コンパス感など父ゆずりの素晴らしさ。息子は父の舞台でコーラスをつとめていたが、数年前ソロできいたときより格段にうまくなっている。が一番の驚きはソレアだろう。彼女も父のアルバムでコーラスやソロを歌っていたが、ここではスペインの現代詩人の詩をソレア・ポル・ブレリアのリズムにのせ完璧に歌っている。ささやくように語るようにしっかり歌詞をききとれるはっきりとした発音。華やかな姉とはまたひと味ちがった、おとなしいタイプなのが面白い。

リセウでのライブからはやはり「パブロ・デ・マラガ」収録の「アウトレトラト」「ゲルニ=イラク/シギリージャ」そしてタンゴ。「アウトレトラト」はピカソの手紙がもとになっていて、最初はソレア・ポル・ブレリアのリズムで歌われ、それがソレア・アポラーに続いていくという構成。見事のひとことである。「ゲルニ=イラク」の最初はラップ風にリズムに乗って話すエンリケ。そこからシギリージャへと進む構成の巧みさ。ゲルニカの悲劇を表現するにはやはりシギリージャの叫びだろう。最後の部分は幻の名作「ア・オスクーラス」のシギリージャ。映画「カルロス・サウラのフラメンコ」でカニサーレスの伴奏で歌った、マノロ・サンルーカルの弟イシドロ・ムニョス、オリジナルのシギリージャをモレンテ風にレマタールし、最後は義弟アントニオ・カルボネル、妻の妹の夫ガバーレらのコーラスからおいあげていく。最後はタンゴ。このタンゴのエネルギー!生命力に満ちてロルカのモチーフなどを歌い上げる。

そして最後は「墜ちた天使」。彼自身の挽歌となってしまったこの曲の深み。最後のピアノはどこか東洋的な響きも感じさせる。。。。

 

エンリケについての私の気持ちは以前、このブログで話したときと変わらない。

映画もいつか日本でみられるようになってほしいと切に願うが、その前にこの1枚。

フラメンコを、スペインを、音楽を愛する人、必聴です。


アシ・カンタ・ヌエストラ・ティエラ・エン・ナビダ28

2010-12-06 11:04:33 | カンテ
アンダルシアの銀行カハソルの「アシ・カンタ・ヌエストラ・ティエラ・エン・ナビダ」28集。
こちらにも書いたが、もともとヘレスの銀行、カハ・デ・ヘレスから出ていた
ヘレスのビジャンシーコ(クリスマスソング)集が、
銀行の合併によってカハ・サンフェルナンド→カハソルの発行となったもの。
もとも一般に売られることなく、銀行の窓口でのみ入手できるものだったため
ファン垂涎のものだったわけで、私も中古レコード屋ではみつけては狂喜したものだ。
パリージャ・デ・ヘレス、モライート、フアン・モラオ、
ソルデーラ、パケーラ、モノ、マカニータ…
といったアーティストたちもさることながら、どこかなつかしい感じの曲の数々。
今年のアルバムは2008年12月3日、ヘレスのビジャマルタ劇場での公演のライブ盤。
最初にオーケストラと合唱団、ソプラノとテノールでのバージョンもあるけれど
それは前座でやっぱりききどころはフラメンコでしょう。
伴奏はモライート、ディエゴ・デル・モラオ、ペペ・デル・モラオ。
彼らのギターを聴くだけでも、買う価値ありです。
エスペランサ・フェルナンデスやカルメン・デ・ラ・ハラもいいけれど
やっぱヘレスのビジャンシーコで決まりでしょう。
十代のときからこのアルバムに参加してきたラ・マカニータの熱唱
ベテラン、アンヘル・バルガスのしみじみした歌いっぷり。
フェルナンド・デ・ラ・モレーナの絶妙なブレリア。
そしてフェルナンド・テレモートの、深い響きをもった声。
あのフェルナンドがもういないなんて、とちょっとまた涙。
一曲ごと拍手でおわるのだが、その切り方がフェイドアウトでなく、
ぶつっ!と切れているのがちょっと残念。
なおこの公演の模様はカナルスールで放映され、
そのビデオはこちらでみることができます。

モレンテ+フラメンコ

2010-08-23 03:04:40 | カンテ
昨年の「モレンテ・フラメンコ」につぐエンリケ・モレンテの新譜。
今回もかつてのライブ録音とスタジオ録音が混在。
ライブは84年、マドリードのフェスティバル、クンブレ・フラメンカでのものから94年グラナダ国際音楽舞踊祭でのものまで7曲。あとの3曲がスタジオ録音。

なんといってもすごいのが1曲目。
94年グラナダ国際音楽舞踊祭で、エンリケがマノロ・サンルーカル、マリオ・マジャと共演したときのもので、そのオープニングのカバーレス。
三人の名を紹介するマリオの声ではじまり、
「タウロマヒア」のオープニングを思い起こさせるマノロのギター、
そこにかぶさるエンリケの伝統をきちんとふまえながらもところどころに
モレンテ流のアレンジが加わる熱唱。
そして見事なサパテアードが。

この公演、私は実際に観ていたので思い出しました。
マリオの十八番、椅子に座ってのあのサパテアード、
あまりに音がきれいなので後で聞いたら椅子にマイクが仕込んであったそうな。
タイトルのトレス・カバーレスは、3人のフラメンコ通という意味もあり、
現代フラメンコを代表する3人の共演はフラメンコの歴史に残る出来事だったのだなあ、といまさらながらに思ったり。

2曲目はスタジオ録音、パワフルなフィエスタ・ポル・ブレリア。
どんなに落ち込んでいるときでも元気がでそうなくらい
エネルギッシュで明るく楽しい。
とっても今風なニュアンスもあるのがエンリケぽい?
それと抜群の相性のギターはモレンテの義弟(奥さんの弟)であるモントジータ。ホアキン・コルテスと一緒に何度も来日しているのでご存知かな。

3曲目はナナス・デ・ラ・セボージャ。
スペインを代表する詩人の一人、ミゲル・エルナンデスの有名な詩を歌ったこの曲はラファエル・リケーニ伴奏で。
リケーニの天才がエンリケのしっかり詩をきかせる歌に寄り添う。
エンリケはロルカも多く取り上げているけど、いつもきちんと詩が聞こえるように歌う。これって大切。
曲優先で詩がききとれないような人もけっこういるけどね。
ベースはパコ・デ・ルシアのグループで活躍中のアライン・ペレス。
しっとりと落ち着いた1曲。

4曲目のマラゲーニャ、5曲目のカーニャ、ポロは1989年の録音。
伴奏はモントジータ。この頃の彼の伴奏はすごくまっすぐ。
カーニャの声には彼が伝説のタブラオ、サンブラでの同僚で
カーニャを得意としたラファエル・ロメーロの響きも感じられます。

6曲目はティエント。ロルカの詩をうたった、これもエンリケの十八番。
89年の録音です。これも伴奏はモントジータ。
後ろに引っ張られるような、ティエントらしいティエントです。

7曲目のソレアは90年のビエナルでの録音。これも観てるな。。。
ペペ・アビチュエラの伴奏がめっちゃいいです。

8曲目のロンデーニャ、ハベーラはエンリケの名唱もさることながら
観客のオレ!がすばらしい。
そういえば最近、こういう、見事なオレ!を聞きません。
1989年、マドリードでの録音。

9曲目のソレアは84年のクンブレでの録音。声が若い!

最後のマルティネーテ、トナーも8曲目と同じときの録音。
でやっぱいいところにオレがとぶんですね。。。
観る方のアルテ、という感じ。

こうしてエンリケの軌跡をおっていくと
彼のすごさがよけいにわかるのではないかな?
モデルノということで敬遠気味の人も一度は聴いてみることをおすすめします。

マリア・メスクレ

2010-06-08 16:14:55 | カンテ
ハエンの山奥に生まれコルドバやセビージャを流れるグアダルキビル川。
その河口の町サンルーカル・デ・バラメーダ。
セビージャのフェリアでよく飲まれるマンサニージャという
ヘレスのフィノより軽やかな飲み口が特徴であるシェリー酒の一種の
生まれ故郷であり、おいしい魚介類とうまい酒のある海辺の町。
この町生まれの22歳、マリア・メスクレのデビューCD。
5月29日に地元サンルーカルで発表コンサートを行ったばかりだ。
そのコンサートにはマノロ・サンルーカルもやってきたという。

本名、マリア・デ・ロス・アンヘレスマリア・デ・ロス・アンヘレス・ロドリゲス・クエバス。
高祖父フェルナンド・エル・メスクレはシルベリオ・フランコネッティ時代のシギリージャ歌い、曾祖父フアン・エル・メスクレも歌い手という血筋。
また祖父は同じくサンルーカル出身の歌い手、マリア・バルガスの従兄弟だという。
11歳から歌い始め、2004年頃からヘレスやカディスなど近辺の町のコンクールに参加し、賞を獲得している。

CDはヘラルド・ヌーニェスのプロデュースで彼のレーベル、ガジョアスールからの発売。
毎年サンルーカルでクラスを開講しているヘラルドがある日クラスで歌った彼女をスカウトし録音がはじまったという。

サンルーカル発祥の曲とされるミラブラスにはじまり、ブレリア、ソレア・ポル・ブレリア、マラゲーニャ…。
ヘレスの若手ギタリストの中でも実力派のマヌエル・バレンシアが主に伴奏。
(1曲だけパスクアル・デ・ロルカ)
カラコーレス、アレグリアスと3曲カンティーニャス系の曲があるのが面白い。

私的にはシギリージャが好み。
どこかアフリカンなかんじもあるパーカッションではじまる
アレンジはモダンだけど歌いっぷりは正統派というのも好み。
歌い上げる感じが彼女の声や歌い方にあっているし、
音程もいいし、リズムもしっかりしている。声もよくでているのだが、
ちょっと声を張りすぎるのか、息継ぎの問題か、全体的にちょっと苦しそうな感じがする。きいてるこっちが息切れしてくる感じ、というか。
まだ若いせい?
肩の力抜けたらきっともっとよくなるに違いない。
なお、マヌエル・バレンシアの伴奏、めちゃいいです。



ソニケテ「アシグナトゥラ・フラメンカ」

2010-05-09 19:44:44 | カンテ
フラメンコが息づく町、ヘレス。
この町で、フラメンコを子守唄に生まれ育った少年少女が
今、どんなフラメンコを生きているか、
っていうのがわかるのがこのアルバム。
グループ、ソニケテの「アシグナトゥラ・フラメンカ」

ペーニャ・フェルナンド・テレモートではじまった
フラメンコ教室からはじまったこのグループ、
モラオ、パリージャ、ヘロ 、テレモート、ミヒータといったフラメンコ・ファミリー出身だが
アルティスタになるなんて思ってもいなかったそうな。
それがこのアルバム、そしてヘレスのフェスティバルで公演。
プロ志望が夢見るスタートを、自然体で生きている。

マヌエル・デ・ラ・チョチェーテがソレア、ファンダンゴと
“まじめな”フラメンコもきかせるが、
あとはルンバ/タンゴとブレリア。
ヘレスというとブレリアだけど、
ヒターノたちの結婚式とか、タンゴ/ルンバもよく歌い踊られるんで
これも当然といえば当然。
コンパスの中でのびのびと遊んでいる感じ。
そう、楽しんでいる、感じが伝わってくるのが一番の魅力かな。
声のフラメンコ性とか、おおって感じだけど
今のところその先がみえない。

でも、今が楽しければそれでいいよね?!


ロサリオ・ロペス「フラメンコの深い炎 II 心から心へ 」

2010-01-18 03:45:00 | カンテ
今回のアルバムは日本盤です。日本発のフラメンコ。

歌うのはハエンのベテラン・カンタオーラ、ロサリオ・ロペス。
その度重なる日本公演の録音から選りすぐった12曲を収録したアルバムは
ライブならではのあったかさがまっすぐ心に飛び込んでくる1枚だ。

いやあったかさはライブだから、だというだけじゃない。
ロサリオその人の心のあったかさ、そのものなのだ。
そしてその歌を支える、エンリケ坂井さんのギターも
カンテへの愛にあふれてあったかい。
それを聴く日本の観客もあったかい。
いいフラメンコを聴きたい、という気持ち。それを聴くことができるうれしさにあふれている。

昔ながらのカンテとまっすぐむきあって
そのままのかたちを大切に、カンテを大事に大事に歌っているロサリオ。
巧い人ならたくさんいる。さまざまなレパートリーを歌い分けれることができる歌い手も一杯いる。
でもこんなに真摯であったかい歌い手、というと、そういない。

ちゃんちゃらした最近のカンテのCD(もちろんそうじゃないのもありますけどね)にあきている人にもおすすめです。
ある意味、日本ならではのCDかもしれません。

ラ・アルヘンティーナ「ラス・ミーナス・デ・エヒプト」

2009-12-18 03:24:24 | カンテ
今年25歳の新進カンタオーラ、ラ・アルヘンティーナ。
ウエルバ出身の彼女は3年前にCDデビューした彼女はまたたくまに
ビエナルやラ・ウニオン、スーマ・フラメンカなどおもだったフェスティバルに出演するなど
フラメンコ界の中心に躍り出た。

その彼女の2枚目のアルバムがこの「ラス・ミーナス・デ・エヒプト」。
タイトルは、ロサリア・デ・トリアーナが歌っているソレアの歌詞の一節からとっている。
CD不況もあってか、自らのマネージャーとおこしたレコード会社からの発売だ。

1曲目のタンゴ、2曲目はカンシオン調のブレリアス、とモダンな、いわゆる“いまどき”のカンテCDかと思うのだが
3曲目のソレアがいい。伝統的なソレアと正面むいて取り組んで真っ向な勝負をしている、という感じ。
伴奏のマヌエル・パリージャも、ひたすらカンテをバックアップする重みのある演奏でサポート。
4曲目はカンシオン。現在スペインで再流行しているコプラとかもうまく歌いそうな感じでこなしている。
5曲目のアレグリアスはカディスのギタリスト、リカルド・リベラの作で、地名やバルの名などカディスゆかりのものなども織り込まれたレトラで、元気な曲もカディスらしい明るさをよく表現している。曲もいいが彼女のキャラクターにもあっている?
6曲目はシングルカットされたルンバ。いかにも、ヒット狙い、な感じか。一般に受けそうなつくりではある。
7曲目はナナらしからぬナナ。ちょっとゆっくりめのソロンゴみたいで、舞台作品に使われそうな感じ。
8曲目のブレリアは「ウトレーラとヘレスの間のカサ・ベラで」でタイトルになっているが、フェルナンダ・デ・ウトレーラとパケーラが歌っていたレトラを歌っているのが面白い。先駆者たちのレトラだが真似にならず彼女の感覚で歌っているのが楽しい。知り合いの家でのライブ録音という、その雰囲気も楽しい。最後にちょっとお楽しみも。。。
(この曲はライブでも聴いたが、ライブの方がいい。CDだとカルメン・リナーレス風な発声/歌い方がちょっと気になる)
9曲目はマラゲーニャ。しっかりはしているが、味わいが足りないというのは欲張り過ぎ。
最後はファンダンゴ・デ・ウエルバ。同じウエルバ出身のホセ・ルイス・ロドリゲスのギター伴奏。

というわけで,若手カンタオーラがたっぷり楽しめる1枚となっておりまする。
オフィシャルウエブ
http://www.lasminasdeegipto.com/
では試聴可能なほか、レトラなどもダウンロードできます。こういうのも今っぽいよね



ダビ・ラゴス「エル・エスペホ・エン・ケ・メ・ミロ」

2009-12-07 04:51:07 | カンテ
ダビ・ラゴス、待望の初ソロCD。

1973年へレス生まれ。歌い手のアギラール・デ・ベヘールは従兄弟、叔父にアギラール・デ・ヘレス。兄にアルフレド・ラゴスというフラメンコ一家に育ち、こどもの頃から歌い始め10歳で初舞台。叔父に導かれプロとなり、95年にはドミンゴ・オルテガのグループで新宿「エル・フラメンコ」出演のため初来日。後、ドミンゴをはじめ、ベレン・マジャ、アドリアン、ルイシージョ、クリスティーナ・オヨスらの伴唱で活躍。オヨス舞踊団での活躍で注目され、2002年のビエナルでは舞踊伴唱だけでなくソロのリサイタルも行った。ホアキン・グリロ、イスラエル・ガルバン、パストーラ・ガルバン、アンドレス・マリン、マヌエラ・カラスコ…一流の舞踊家たちと数多く共演している実力派。

1曲目は熱血ブレリア。パケーラ・デ・ヘレスに捧げたもので、タイトルからして「ブレリアの女王」。
めちゃくちゃのりがいいしドライブ感がすごい!オリジナルのレトラもいい。言葉がはっきりきちんと聴こえてくるのもいい。
そう、彼はシンガーソングライターならぬカンタオールアウトールなのである。

2曲目はイスラエル・ガルバンの闘牛をテーマにした作品「アレーナ」のタンゴ。
最初の部分はミゲル・ポベーダの、後半はアルフレドの音楽だというが、ゆっくりとしたリズムでしっかりきかせてくれる。

続くはカンテ・デ・レバンテもオリジナルのレトラで、僕は好きに歌いたい、と訴える。
伴奏のギターが美しく彩ってしっとりきかせる一曲。そう、カンテのアルバムって伴奏とのバランスもポイントです。
高い音も深みを失うことなく見事にこなしているのはさすが。

再びのブレリア。1曲目と比べると今度はかなりゆっくりめ。でも落とすところや曲がるところがいやー、巧い、うまい。
最後の趣が変わるところも自然でいいし。

マラゲーニャも彼の美しい響きをもった声によく似合う。これもギターが最高。
彼といい、テレモートといい、今、マラゲーニャに注目!なのかも。
古いマラゲーニャをもちろんベースにしているのだけど、彼らしさ、というのがでているんだよね。お見事。
お手本通りというだけでない熱唱です

アレグリアスもカディスの町の風が香って来るような感じ。リガールという、つなげ方がめちゃうまい。
メリハリも利いていて、踊り手でなくても踊りだしたくなってくるような感じ。

7曲目。ミロンガ風にはじまってブレリアになる。これも彼の声質とよくあっている。歌い回しのうまさも特筆もの。

8曲目はゲストのフェルナンド・デ・ラ・モレーナのトリージャにはじまるソレア。二人で歌い継いでいくかたちはフィエスタの雰囲気。二人は声質も、キャリアも、年代も、何もかも違うわけだけど、ヘレスはヘレス。
フェルナンドもいいが、ダビの熱唱も決してフェルナンドに負けてない。
こういうのを聴くとやっぱフラメンコはヒターノもパジョもないねえ、結局はフラメンコは愛。
フラメンコ好きは皆ファミリー、って気になるのでありました。

最後のトナーはシギリージャ風に終わるのが面白い。古いカンテなのに彼が歌うと古い中にも新しさがきこえてくるのが、これまた面白い。


というわけで、古いフラメンコを愛し学び、自ら新しい息吹を吹き込んでいくダビ・ラゴス。
2年前、このCDは録音にも入っていなかったのに、批評家協会の新人ディスク賞を授賞したというエピソードもあるダビ。
(リストにあった名前をみてCDを聴かずに投票した人が多かったってことですね)
デビューアルバムとは思えない、すばらしい出来のアルバムでございます。
カンテ好きはぜひ1枚!


ちなみにこのアルバムの発表記念ミニコンサートの模様はこちらのブログ、フラメンコ最前線で



http://noticiaflamenca.blogspot.com/2009/12/blog-post_07.html