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おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

ほくろクラブ株式会社8≪プレゼント・・・その1≫

2007年05月29日 | ほくろクラブ
あの中学生の話を聞いてから1週間ちょっとたった頃僕らは赤城先生に呼ばれて・・・すごく怒られた。
どうやら僕のお母さんから連絡が入ったらしい。
先生は、ちゃんと報告しないで自分達で調べに言った事について延々と怒り、今回の事はハンコはやれない最後に言った。
ただ、あの二人の中学生達の事は中学校でもうわさになっていて、すぐに調べられ彼らがやった事だったとわかったそうだ。
そのあと彼らがどうなったのかは先生は教えてくれなかかった。

職員室から出る前に先生は言った。
「お前達、会社としての活動をちゃんとしてるのか?探偵団ではなかったはずだぞ」

僕達は早速その日、また僕のうちの庭で会議をした。
社長(そう言えばそう決めたんだな)のやまさんが
「今度はどんな事をしようか?」と言うも全然話は決まらず、結局話はどんどん脱線していった。
やまさんは最近、飼犬の『ポンちゃん』をつれてドックランに行ったらしい。
そこでおじさんとキュンに会ったんだと言った。
やまさんちのポンは雑種で白い犬だ。やまさんに似て?とても大きい。でもとてもおとなしくてキュンと一緒でとても賢い犬だ。
僕はいつもやまさんちに行くとポンに挨拶をする。ポンはクルッした尻尾を振って僕に挨拶を返してくれる。僕はさわる事は出来ないけどポンは大好きだ。
キュンとはすぐに親友になったそうだ。
僕は犬も親友と言うのがあるのか・・・と突っ込みそうになったがやまさんがそう言うなら2匹は親友なんだろう。
休みの日はおじさんと待ち合わせをしてキュンとポンを遊ばせようという話になったらしい。2匹は一緒に駆け回りとっても楽しそうなんだとやまさんは言った。
僕らは次にする活動の事なんて全然忘れてキュンとポンの事ばかり話した。

バイクの音がした。
お母さんが帰ってきて僕らは解散となった。
結局何をするか全然決まらなかった。

それから数日立ったある日、僕の横の席の女子の丸山さんが声をかけてきた。
「ねえ、平社員の内田君。ほくろクラブに引き受けてほしい仕事があるんだけど」
僕はなんていいタイミングなんだ!と丸山さんに
「引き受けた!」と言った。
「ばかねぇ!まだ何も話してないでしょ。実は私のおじさんなんだけど森林公園の管理やイベントの仕事をしてるんだけど今度夏休み入ってからすぐの日曜日にあるイベントの準備を手伝ってほしいの。日曜日にあるから用意をするのは前の日の土曜日。本当は私とお兄ちゃんが行くはずだったんだけど急に家族で旅行に行く事になってしまって・・・。そこで思いだしたのがほくろクラブなの!クラスの役に立つのがほくろクラブなんでしょ!だからクラスの困っている私のお願い聞いてよ!」
丸山さんは一気にまくし立てた。
僕は「上司と顧問に聞いて見ます」と返事をした。

森林公園は僕らのうちからバスに乗って10分ほどのところにある。ただ、自転車で行けば30分ほどだ。僕は何回かお父さんと一緒に自転車で行った事がある。

僕はやまさんみずっちテンちゃんとお昼休みに相談した。
やまさんとテンちゃんは大賛成だ。イベントの準備って何をするのかわからないけどなんだか楽しそうだ。
でも、黙り込んでいるみずっちが少し気になった。
「なんだ?みずっち。反対なの?」と聞くと
「そうじゃないんだ。僕もいきたんだ」と少し小さな声で言った。

僕らは放課後赤城先生のところに今度の仕事の依頼の報告に行った。
先生は「校区外になるからちゃんと皆お父さんやお母さんの了解をとること。ただ、あちらでは丸山のおじさんがいるから大丈夫だろう。そうだ、丸山のおじさんは山の植物や生き物の事くわしいぞ。夏休みの宿題の自由研究も一緒にしてきたらどうだ」と言った。

職員室を出て帰ろうとして靴箱のところに行くと丸山さんにあった。
引き受ける事を告げると丸山さんは「早速、おじさんに連絡して詳しい話し聞くわね!」と言った。

僕らはなんだかうれしくなっていろいろ相談しながら帰った。
「自由研究、植物採集なんてどう?そして丸山さんのおじさんに説明聞くんだ」とテンちゃん。
「そうしようよ!いつも自由研究最後まで残って大変なんだ」と僕。
「自転車で行こうな!坂道大変だけど。みずっちついてこれるか?」とやまさんが言って僕らは
振り返った。
笑顔の僕らと対象でみずっちの顔は暗かった。
「みずっち、自転車無理だったらバスでもいいよ」とテンちゃんが言った。
みずっちは少し体が弱い。自転車で坂道・・・と聞いて暗くなったのかと思ったが・・・

「そうじゃないんだ!多分、僕のお母さんが駄目だって言うから」とみずっちが言った。

みずっちのお母さんはみずっちの事をいつも心配している。暗くなるまで遊んでいる僕ら3人とは違いみずっちは少し早めに帰る。
今度のキュンや中学生の事で帰りが遅くなったかなり怒られたらしく、しばらくの間は遊ぶの禁止になったほどだ。

僕らはしばらく黙って歩いた。
やまさんが言った。
「みずっち、今回はみずっち抜きで僕らだけで行く事にするよ。もう丸山さんには引き受けたから。でも、採ってきた植物の整理は一緒にやろうぜ」
「そうだよ。押し花にしたり、調べたりあとの作業はいっぱいあるぜ」とテンちゃん。

みずっちは黙ったままだった。
そして別れるときに
「とりあえず一度お母さんに聞いて見る」と言いながら手を振った。

僕らはみずっちのお母さんが許してくれることを祈って別れた。

僕は夕飯を食べながらお母さんに行ってもいいかと聞いた。
もちろんOKだった。ただ、丸山さんのおじさんの連絡先を聞いてきなさいねとだけ言った。
僕のお母さんはこういった事には反対はあまりしない。
ちゃんと話をして行き先と連絡先を言えばいいのだいつも言う。
みずっちのお母さんは何故反対するんだろう。
僕らはもう6年生なのに。

そのあと帰ってきたお父さんにもその事を話し、みずっちのお母さんは何故反対するのかと聞いた。
お父さんは
「そりゃあ、勇気。うちのお母さんは太っ腹だからなぁ!見た目どおり」と言ってお母さんに持っていた本で叩かれた。
そのあとお父さんと一緒にお風呂に入り、山の中にある植物や虫の話をしているとすっかりみずっちを心配してた事は忘れてしまった。

でも、布団入ってから思いだし、何かの神様にお願いしてみようと思った。
「みずっちのお母さんが許してくれますように」と。
何かの神様って?なにの神様でいいんだ。僕のお願いをきいてくれるなら。

そしてまたすぐに眠ってしまった・・・ZZZZZZ

≪その2へ続く≫
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ほくろクラブ株式会社7≪行け!キュン!その2≫

2007年05月27日 | ほくろクラブ
おじさんとキュンと会ってから数日がたった。
僕らはおじさんとキュンは犯人じゃなかった事を伝えた。
クラスの皆は今度おじさんとキュンに会ったら声をかけてみようと話していた。

雨が続いている。今日は降ってないけど結構どんよりした空で気温が低い。
どうせプールには入れなかったなと思った時、僕の横の席にいた通称「トミー」と言う女子が声をかけてきた。
「あのね、うちのお兄ちゃんのクラスで最近話題になってるんだけど。お兄ちゃんのクラスの中のちょっとワルの二人組みがさぁ、小学校のプールに犬のふんを入れたって言ってるらしいよ」
なんと!トミーのお兄ちゃんは近くの中学校に通う中学3年生だ。
僕はトミーにその2人組みの名前を聞き、いつも6時ごろに公園の前の道を通る事も知った。

早速、ほくろクラブのメンバーに話をした。
「えーーっ!中学生なんて怖いよ」とみずっち。
「そうだよな。何か言ったら仕返しされそうだよな」とやまさん。
僕はうーんとうなってしまった。
僕だって中学生でおまけに3年生なんて怖い。
最初に犯人を捕まえようぜ!なんて言ってた勢いはどこ吹く風で僕らはちょっと(x_x;)シュンとなってしまった。
その時、僕の横で黙っていたテンちゃんが急に立ち上がった!

「駄目だ!キュンやおじさんのうたがいをはらしてあげないといけない!今日皆で確かめに行くぞ!」

テンちゃんはまたもや手を組んで上を向いて闘志に燃える目をしてした。
そして僕らはつられて言ってしまった!

「おーー!頑張ろうぜ!」

・・・そしてその日の放課後。
僕らはまたもや公園で集まりその2人組みの中学生が来るのをまった。
トミーの話ではズボンをちょっとだらしなくずらした二人組みだからすぐにわかるよ、と言うことだった。
またもや遊びに夢中になって本来の目的を忘れかけていた頃、なんとその二人組みがやってきてベンチに腰をかけた。
僕らは後ろのしげみかくれた。

2人の会話が聞こえてきた。
「面白かったよな、この前プールに犬のふんを入れたの」
「おー!なんだか胸がすっきりしたよな。今度は中学のプールにいれようか。」
「それは駄目だ。俺らが入れないじゃないかよ」
「そうだな!もうなんだか水が入れ替わったみたいだぜ。またうちの犬のふんでも持ってくるか!」
「くせーけどな!」
「確かにな!」

二人はゲラゲラと笑った。

その時だった・・・

テンちゃんが立ち上がった!

「そんな事はさせないぞ!」

テンちゃんはまた空を見上げて腕を組んで口をへの字にまげていた。

僕らあとの3人は口がぽかーんと開いてしまった。

最初その中学生もびっくりしたようだが、すぐにすごく怖い顔になってテンちゃんと僕らをにらみつけた。

「なんだと、こいつ!やる気か!」
「生意気だな!やっちまおうぜ!」

二人が先にテンちゃんにつかみかかろうとした時だった。

「行け!キュン!吠えろ!」

と大きな声がした。そして

『ワン!ワン!ウゥゥゥ!!!!ワン!!!』

と大きな吠える声が聞こえて、キュンがものすごい勢いで駆けてきた。

「やばい!逃げろ!」

と中学生は叫ぶと駆け出して逃げて言ってしまった。

「よし、キュン。もういい」
おじさんの落ち着いた声が聞こえた。

しげみに隠れて腰を抜かしていた僕ら3人と立ったまま固まってしまっていたテンちゃんは同時に
「ふぅーーーー!」と声を出した。
みずっちなんて少し涙が出ていた。
僕は・・・口があいたままだったが。

テンちゃんが言った。
「キュン!ありがとう!おじさん!ありがとう!」
僕らも口々にキュンとおじさんにありがとうを言って交代でキュンを抱きしめた。
いつものようにキュンを公園で遊ばせようとしていたおじさんが僕らが中学生に殴られそうなのが見えてとっさにキュンを吠えさせたそうだ。
僕らはおじさんが通ってくれた事に感謝した。
おじさんは別れるときに言った。

「でも、やっぱり公園でキュンをはなすのは行けないことだな。今日の事誰かが見てたらきっともっと注意をされるだろう。おじさんは君達と友達になったキュンを悪者にする事はできない。明日からキュンにリードをつけるよ」

僕らはおじさんとキュンに手をふってそれぞれの家に帰った。

帰ってから僕はまた目が腫れた。
今度は思いっきりキュンを抱き締めたからかなり重症になった。
もう黙ってられなくてお母さんにこれまでの事を白状させられた。
怒られるかと思ったけど案外お母さんは優しかった。
中学生の事はお母さんから学校に報告してくれるらしい。
キュンを抱きしめた事を言ったら、お母さんは少し悲しそうな顔になった。
「お母さんやお父さんも本当は犬や動物大好きなのよ。勇気はひとっり子だからペットがいたらいいんだけどね」と言った。
そして
「でもね、今度からあとが大変だからさわるのはなるべくやめて見てるだけにしなさいね」
とも言った。

キュンが公園を駆け回るのが好きだと言うと『ドックラン』と言う所がある事を教えてくれた。
結構、近くにあるみたいでおじさんに教えてあげなさいと言われた。

僕はその日夢を見た。
僕とキュンがドックランに遊びにきている。
そして僕がキュンに言った。
「行け!キュン!」
キュンはうれしそうに駆け回りそして僕の方に駆けてきて飛びついた。
僕はキュンを思いっきり抱き締めたけど僕の目は腫れなかった。

どうぞ夢が本当になりますように。

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ほくろクラブ株式会社6≪行け!キュン!その1≫

2007年05月24日 | ほくろクラブ
梅雨にしては珍しくお天気が続いている。
今日も傘なしで登校だ!

今は6月後半。
明後日からプールが始まる。
6月はちょっと寒いけど今年はプールに初めて入るみずっちの為に皆楽しみにしている。
みずっちはずっと耳が悪くて入れなかったけど、今年から入ってよしと病院の先生から言われたらしい。

僕たちはみずっちに泳ぎを教える予定だ。
泳ぎの得意なテンちゃんが中心になって教えていこうとなった。
僕だって一応は25メートルは泳げるけどね。
みずっちはうまく水に顔をつけれるだろうか。
まずそこからだな~。

「おはよう~!」
僕は元気よく教室にいた皆に挨拶をした。
「?」
なんだか教室の雰囲気が暗い。
どうしたんだろう。
僕が口を開きかけたそのとき、クラス一運動音痴でクラス一お調子者の関田君が
「よっ!ウッチー!プール、犬のふんがたくさん入っててしばらく使えないんだって!今おまわりさんがきてるよ。あはは~~!ラッキーだよな~!」

エッーーーー!!それは君だけだろう!

関田君だけが妙にはしゃいでいるがクラスはどんよりしている。
ほくろクラブのメンバーも皆そうだ。
特にみずっちの落ち込みようと言ったら・・・。

テンちゃんがそのとき立ち上がった!
「ゆるせーーん!」
やまさんも立ち上がった。
「よし!僕らで犯人をつかまえようぜ!」
つられて僕も立ち上がる。
「そうだ!皆ほくろクラブにまかしておけ!」
みずっちも慌ててたった。
「僕のプールをかえせ~~!」

拍手が起こった。

僕らはほくろのある手を上にかかげてエイエイオーをした。
(僕はあわててマジックでかいたけど)

早速、聞き込み調査だ!
クラスの皆に怪しい人はいないかと聞くと・・・。

ある1人のおじさんの事が浮かび上がってきた。
いつも柴犬をつれて公園を歩いているのだけど、リードをつけてない。
見かねた誰かのお父さんやお母さんが注意するけど怒って全然聞いてくれない。
リードは義務付けられているがしつけのいい犬ならいらない・・・と言うのだそうだ。
(僕はそのあたりは難しくてわからないけど)
そのおじさんとけんかになった人もいるという。

何人もの人の証言で早速僕らはそのおじさんの後をつける事にした。
「ほくろクラブ探偵団」と急遽名前も変えて見た。

おじさんは夕方の6時ごろいつも公園を散歩するらしい。
僕らはその時間になるまで遊んだふりをしながら公園で待った。
ちょっぴり遊ぶのが楽しすぎておじさんと犬の事を忘れてしまいそうになったんだけど。

そして6時・・・。
皆の証言どおりおじさんと犬は来た。
おじさんはリードを一応は手に持っているが犬にはつけてない。
そして
「行け!キュン!」と言った。
キュンと言う犬はうれしそうに公園を走り回った。
僕らは唖然として見ていた。
公園には小さい子も結構遊んでいる。
きっと僕のお母さんなんかが見たら目を廻すだろう。
僕はアトピーで犬アレルギーだ。
犬に少しでもふれると目が真っ赤に腫れて大変な事になる。

その時、僕の横にいたテンちゃんがすごく大きな声で言った。
「おじさん!犬を公園で放したらいけないよ!公園の規則に書いてある!」
僕、みずっち、やまさんは
「ひえ~~~~!」ってなった。
だって、皆から怖いおじさんだって聞いているから。

僕らは逃げようと構えたけどテンちゃんは上を向いて手を組んで怒った表情をしている。
・・・おじさんが近づいてきた。
僕は怖くて足がすくんだ。
みずっちとやまさんもおんなじようだ。
みずっちの
「あわわ・・・」と言う声が聞こえた。

近づいてきたおじさんは手をあげた。
ひえーーー!叩かれるのか!

でもおじさんは「キュン!」と手をあげて犬を呼んだだけだった。
そしたらキュンが駆けてきた。
そしておじさんは僕たちに悲しそうな顔をしていった。
「キュンはね、とってもいい子なんだ。おじさんのたった一人の家族なんだよ」

僕らは公園のベンチでおじさんの話を聞いた。
おじさんは事故で奥さんとたった一人の子供さんをなくした。
その2人が可愛がっていたのが犬のキュンだったそうだ。
1人になったおじさんをキュンが慰めてくれたらしい。
おじさんはキュンが喜ぶ事をしたくていつも公園でノーリードで遊ばせていたそうだ。
6時ごろになると子供たちも少なくなる。
だから・・・だと言う。

「でも、おじさん、やっぱりキュンを公園で放したらいけないよ。それは決まりだからね」
とテンちゃんが言った。
「そうだよな・・・でもやっぱりおじさんはキュンが喜ぶことがしたいんだよ」とおじさんは言った。
「おじさん、きっとキュンは皆とおじさんがけんかして悲しんでいるよ。だから、やっぱり駄目なんだよ」と僕が言った。

おじさんはもう何も言わなかった。
そのかわりにキュンが僕に近づいてきて僕の顔をなめた。
僕はキュンの背中をなぜてやった。
ちょっぴりごわごわしてて、でもツヤツヤの毛だった。

おじさんと別れて僕らは家に帰った。
もうかなり遅かった。
その事でお母さんに怒られたけど、もっと怒られたのは・・・。
僕の目が真っ赤かでとても大変な事になってしまったからだ。
「何をさわってきたのよ!」と怒りながらお母さんは目薬や薬をだしてくれた。

目はとってもつらかったけど、そんな事よりおじさんとキュンの事が気になって少し眠れなかった。
・・・グー・・・ZZZZzz
僕の眠れないというのは10分間ぐらいの事なんだけどね(o ̄∇ ̄o)

                                    <その2へ続く>

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ほくろクラブ株式会社5《走れメロス・・・じゃなかった。やまさん》

2007年01月14日 | ほくろクラブ
僕らの「ほくろクラブ株式会社」の事を赤城先生がクラスのみんなに紹介した。
僕らだけが「ご褒美」をもらえるのは不公平だろう・・・と言うことになってみんなそれぞれ好きな仲間と集まって「会社」を作る事になった。
最初、仲間はずれになる子がいるかどうか心配だったけどそれぞれうまくわかれたみたい。
よっかったー!

来週のこの時間までにみんなどんな活動内容にするのか相談して各会社それぞれ発表することになった。
うひょーーー!
僕らは早速、学校から帰ったらぼくんちの庭で会議することにした。

赤城先生が「クラスの役に立つこと」って言ったけど、どういうことが役に立つことになるんだろう。

「掃除をする!」みずっちが言った。
もちろん僕らは大反対だ。
「この前みたいにクラスの子のなくしたものを探すとか言うのはどうだろう」とテンちゃん。
「それもいいね。クラスの困った人を助ける会社にしようよ」やまさん。

と言う事で僕らは「困った人を助ける会社」にすることにした。
探し物をしたりクラスで何か出来なくて困っている人を積極的に助けるというのが僕らの仕事だ。
なくした物を探す以外にたとえば逆上がりが出来なくて困っている子がいたら出来るようになるまで一緒にがんばるとか・・・いろんな困った事を助けるんだ。

スケッチブックに僕らの役割(役職)と会社の内容を書いた。
「ねぇー。誰が発表する?」と僕。

じゃんけんで決める事にした。
「さいしょはグー!じゃーーんけーーん!ポン!」

やまさん以外みんなパーだった。
そしてやまさんがグー。

決定だ!

「それじゃ、僕がこのスケッチブック持って帰るね。」
やまさんがそういって帰って行った。

自転車で去って行くやまさんを見送りながら僕ら3人はちょっと不安になった。

やまさんは遅刻の常習犯だ。
ひどいときには休んでしまう時もある。
やまさんのお母さんは夜が遅い仕事をしている(らしい)
お母さんの帰りを待っているとどうしても夜更かしをしてしまって・・・起きれない。
先生が何回電話をかけてもぐっすり寝ているやまさんとやまさんのお母さんは電話にもでない。
この話を僕のお母さんにした時にお母さんが
「それはやまさんのお母さんの責任だね」と言った。
それ以上お母さんは何も言わなかった。
やまさんが自分でちゃんと早く寝て、朝起きるようにしたらいいからやまさんの責任じゃないのかな。
僕にはよくわからない。

でも、あんなにやまさん張り切っていたから大丈夫だろう・・・と僕らは思うことにした。
やまさんはきっと友達を裏切らないよ。

・・・そして当日の朝が来た。
今日の3時間目にみんな発表する事になっている。
そして・・・そして・・・やまさんは来てなかった。

みずっちとテンちゃんとひそひそと相談。
「どうしよう」
「大丈夫だ、まだ時間はあるよ」

僕らは待つことにした。
1時間目の算数が終わって、2時間目の国語が終わってもやまさんはこなかった。
そしてとうとう3時間目が始まった。
それでも、やまさんはこなかった。
なんでだよ・・・。
漫画とかだったらこんな時は間に合うんじゃないのか・・・。
いや、僕らの発表までにはまだ時間がある。
信じるんだやまさんを。

みんなそれぞれの会社の内容とかを発表していた。
「めだか株式会社」教室にいるめだかの世話をするんだって。
「給食研究会」毎日の給食の献立についての感想や評価を研究する会らしい。
そのほかにもいろいろと面白い内容の集まりがいっぱいだった。
言いだしっぺの僕らは最後の発表だったけど・・・とうとう順番が回ってきた。
やっぱりやまさんはこなかった。
仕方ないので僕がとりあえず発表をすることになった。

「えーっと。えーーっと。僕らの会社名はえーーーっと。『ほくろクラブ株式会社』です・・・えーっと」

「えーっとはいらんよ!」

クラスのお調子者の三国君が言ってみんなが大爆笑した。
僕は顔がまっかになった。
テンちゃんとみずっちもなんだかもじもじしている。
えーい!くそーー!もうどうでもいいや!もう適当にしゃべっておわらしちゃえ!
と思ったときだった。

「すいません!遅れました!」
やまさんが教室に入ってきた。
やまさんは僕らの横に立つとVサインを出した。
わーーーーい!なんだかやまさん格好いいよーーー!
僕らもVサインを出した。

やまさんがスケッチブックを取り出して説明しだした。
「僕らの会社の名前は『ほくろクラブ株式会社』です。社長が僕で専務が水上君、そして課長が天童君。それから平社員の内田君です」
「平社員」と言うところで笑いが起きた。
「困った人を助ける会社です。みんな失くした物とかあったり何か困った事があったら僕たちに言ってください。」

「なんでほくろクラブって言うんですか?」と声がした。

「それは皆手にほくろがあるからです」とやまさん。
ぼくらは手を上にあげた。
ただ・・・僕だけはマジックで書いたほくろだけど。

あとはぼくら皆でどういう「困ったことを助ける会社」なのかを説明した。

とりあえず発表は無事に終わった。
僕ら皆で
「やまさん、よかった。心配したよ」
「でも、登場のしかたが格好良かったよ」
とか言い合った。

帰ってからお母さんに今日の事を話した。
「『走れメロス』みたいだね。でも、勇気たちはやまさんに怒らなかったの?」
とお母さんが言った。
「来てくれてよかったー!って皆で言ってたんだけど」
「あっそ・・・。」

僕らの友情はお母さんにはわからないんだ。
でも、「走れメロス」ってどんな話なんだろう。
いいや、わかんなくてもだってもう眠いし・・・Zzz ( ̄~ ̄)

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ほくろクラブ株式会社4≪初仕事!≫

2006年11月03日 | ほくろクラブ
翌日、僕達は休み時間に引き続き相談。

ほくろクラブ株式会社

社長・・・山内 透
専務・・・水上 真之介
課長・・・天童 直太
平社員・・・内田 勇気

とノートに書き込む。

そして、放課後赤城先生に見せに行く事になった。

職員室に入り赤城先生のところに行くと先客がいた。
同じクラスの前田さんだ。
なんだかうつむいて泣いている。
赤城先生が僕らの方を向いた。

「よっ!ほくらクラブ!何のようだ?」と。

僕らは役職が決まったことを赤城先生に告げた。
赤城先生はノートを見て
「すごいな~!偉い人ばかりだ。内田一人が平社員か!ワッハッハ!」
と大きな声で笑った。
僕はボリボリと頭をかいた。

そのあと赤城先生は急に笑うのをやめて真剣な顔で僕らに向かって話し出した。
「よし!ほくらクラブに最初の仕事の依頼だ。実はこの前田さんの靴が片方なくなって彼女は帰れなくて困っている。一緒に探すのを手伝ってほしい」

僕らはいっせいに前田さんの方を見た。
僕らの学校の中では上履きを履いている。
家からはいてきた靴は靴箱の中に入れているはずなのになんでなくなったんだろう。

「よし!そうしたら皆で手分けして探そうぜ!」テンちゃんの掛け声で僕らは運動場チームと教室チームに分かれた。
僕とみずっちは運動場チーム。
やまさんとテンちゃんは教室チーム。
どちらも広いから大変だ!
僕とみずっちはしげみの中とか溝の中とかを一生懸命に探した。
今はまだ入れないがプールの中も柵によじ登ってみてみた。

でも、ない・・・。
溝の中から誰かの35点のテストが出てきたりしたけど・・・やっぱり靴はなかった。

日も暮れてきた。
ちょっと疲れて木の下で休んでいると、テンちゃんとやまさんが駆け寄ってきた。

「見つかった?」みずっちが叫んだ。
「だめだよ~!見つかんない!」やまさんとテンちゃんが同時に叫ぶ。

空も暗くなってきたし帰らないとな~と僕は空を見上げた。




「あった!」

木の枝に靴が引っ掛かっていた。

僕らはジャンプしてみたりしたが当たり前だけど届かない。
やまさんが「揺らしてみようぜ!」と言ったので皆で思いっきり木をジャンプしてけってみた。
いろんな葉っぱや屑が落ちてきて・・・そして靴も落ちてきた。

「やっほ~~~!」と喜んで靴を持って職員室に走る。
職員室に入ろうとした時に廊下のすみに一人の女の子が見えた。
やっぱり同じクラスの佐藤さんだ。
僕は今日のことを「あっ!」と言う感じで思い出した。
前田さんは内気でクラスになじめない。
内気というより話したり行動したりと言うのがどちらかと言うと苦手なほうだ。
そんな前田さんのことでクラスの女子は班分けなどになるといつももめる。
決して女の子たちは前田さんを仲間はずれにしているのではない。
「こっちにおいでよ」と誘っている。
でも、前田さんは動かないままだ。
自分の意思でどこかに入ろうとはしない。女の子たちが話し合って決めるのをただ待っている。
今日は休み時間にいつもポツンといる前田さんを佐藤さんが
「一緒に外で遊ぼうよ」と誘っていた。
前田さんが何も言わないので
「ねっ!皆で外で遊ぶと楽しいよ」
と佐藤さんは一生懸命誘った。
その時珍しく前田さんが大きな声で言った。
「ほっといてよ!」と。

佐藤さんの顔が白くなって真っ赤になるのを僕は見た。
そして何も言わず外に駆け出していった。

だから佐藤さんが前田さんの靴を隠したなんて思わないけど・・・。
僕と佐藤さんの目があった。
佐藤さんはパッと後ろを向いて走り去ってしまった。

職員室に入ると赤城先生と前田さんが待っていた。
僕らが靴を差し出すと
「お~~!さすが!ほくろクラブだな。どこにあった?」と。
僕らは木の上だとつげた。
赤城先生は何も言わずちょっと難しい顔した。
前田さんが小さい声で
「ありがとう」と言った。
僕は靴を渡す時に小声で
「もっとクラスの女子と仲良くしろよな」と前田さんにだけ聞こえるようにつぶやいた。
前田さんは小さくうなずいたように見えた。

暗くなってきたので皆急いで家に帰った。
僕のうちのお母さんとやまさんちのお母さんは帰りが遅いから大丈夫だけどあとの2人のお母さんは心配するだろう。
帰る前に赤城先生が僕らのノートにハンコを押してくれた。
これが20個たまるとご褒美を出してくれると言った。
僕らは一気に燃えてきた!

お母さんが帰ってくると僕の姿を見てびっくりした。
僕は自分でも気がつかなかったけど体中木から落ちてきたゴミだらけだった。
ぷりぷり怒りながらお母さんは掃除機をかけていた。

お父さんと一緒にお風呂に入った。
今日の話をすると
「女の子は複雑だな~」とお父さんが言った。
そしてさらに「お母さんも一応女の子だからお父さんは大変なんだ」とも言った。

・・・そうなのか・・・女の子は複雑なのか。
お風呂を出るとお母さんが僕の脱いだ服を見てまた怒っていた。
「こんな中まで葉っぱが入っている」

確かに複雑だな~(#´ー´)旦 フウゥゥゥ・・・

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