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おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

ほくろクラブ株式会社13≪孫の代まで・・・その1≫

2007年06月14日 | ほくろクラブ
長かった夏休みが終わった。
そして新学期が始まった。

最初の一週間、夏休みぼけ(お母さんがそう言った)が治らず、学校に行ってもなんだか調子が出なかったけど、運動会の練習が始まってやっと僕らの調子が戻ってきた。
運動会は今月の終わりにある。
今、体育の時間は練習ばかりだ。組み体操って難しいけど格好いい!

そんな僕らが運動会で盛り上がっている中、女子の話題は運動会ではなく修学旅行の事ばかりだった。。
修学旅行は11月にある。
そんな先の事が何で気になるのかと思ったら誰と班が一緒になるかが問題なんだって。
「そんな誰と一緒になっても楽しいんじゃない」とみずっちが言ったら女子に袋叩きにされたと言ってた。
女の子ってなんでそんな事が気になるのかよくわからない。
僕ら男子は休み時間は皆一緒にドッチボールとかして遊ぶ。
「ドッチボールやろうぜ!」って掛け声で皆が集合するんだ。
そう言えば女子は皆3人から5人ぐらいでいるのが多いよな。
僕は一番の仲良しはもちろんほくろクラブの仲間だけど、クラスの男子は皆仲良しなんだ。

ある帰りの会をしている時、女子の1人の子が赤城先生に
「先生、修学旅行の班分けは先生が決めるんですか?それとも自分達で決めるんですか?」と質問した。
赤城先生は言った。
「君らは最近、寄るとさわるとその話題ばかりだな。昨日も放課後、職員室に来て同じ事を言ったのがいたぞ。そんな事より今は運動会の練習が先だ」

僕ら男子は皆「へー」って顔で女子達を見た。
なんだか女子は皆怒った顔をしている。

「先生、そんな事が私達にとっては大切な事なんです!早く決めて貰わないと運動会の練習も出来ません!」
別の女の子が席を立って言った。

赤城先生は少しだまって考えてそれから・・・
「よし、こうしよう!運動会で青組が優勝したら、自分達で班を分けてもいい事にしよう」

「エーーッ!」
クラス一斉に声があがった。
そして女子の目が一斉に僕ら男子に向けられた。

「頑張って優勝するのよ!」
クラスで僕らの間で「ボス」と呼ばれている女の子が言った。
ひえーーー!大変な事になったぞ!

放課後、僕らほくろクラブが帰ろうとしていると「ボス」が近づいてきた。
「ほくろクラブってクラスの為になる事をするんでしょ。だったらやる気のない男子達にやる気を出させてよね!」
そう言うと「ボス」は去って行った。
僕ら4人は唖然として立ち尽くした。

「どうする?」とやまさんが言った。
「僕なんか足が遅いからきっとボスにボコボコにされちゃうよ」とこれはみずっち。
「とりあえず赤城先生に依頼されたって言いに行く?」とテンちゃんが言ったので僕らは職員室に向かった。

赤城先生は僕らの話を聞くと
「うーん、女の子達があんまり修学旅行の事ばかり言うので運動会に集中させようと思ったんだけどな・・・。そうだな・・・」
赤城先生はちょっと考え込んでから
「ほくろクラブで応援団を作るか?練習の時も皆を盛り上げるために応援を頑張るんだ。今回のことは君らに無理を頼むからハンコを2個あげよう」

僕らはそれで了解した。
ハンコ2個って言うのは中々いい。これで今9個になっている。
クラスの皆の手伝いやらでためているけどなかなか20個までにはほど遠い。

帰ってから「いつもの公園」で集合した僕らは相談した。
応援団を作るからには本格的なのを作ろうと言うことになった。
普段の練習の時は、僕ら4人が中心になって声を出して応援し、本番の運動会は旗とかも作ろうと言うことになった。
明日から放課後は声を出す練習だ。
練習場所は「いつもの公園」
旗も材料を持ち寄ってここで作る事にした。

ちょっとわくわくしてきたぞ。

帰ってから僕はお母さんにこの話をしたら
「女の子はグループを作りたがるからね。そんな事が結構重要で心配なのよ。勇気たちの心配って『今日は何して遊ぶ?」か『今日の晩ごはんは何?』だもんね」と言ってケラケラ笑った。
失礼な!と僕は思ったけど今僕の心配事って・・・。
晩ごはん食べてもう寝るだけだから今のところ何にもなかった。

当たってるかもしれない。

                            ≪その2へ続く≫

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ほくろクラブ株式会社12(番外2・・・『ぼく』編)≪ある日のウッチー≫

2007年06月03日 | ほくろクラブ
ほくろクラブ株式会社も夏休みに入ってから休業状態だ。

僕は毎日暇で仕方ない。
皆の予定が中々合わないんだ。
皆のうちには兄弟がいるけど、僕は一人っ子だから皆と遊べないとなると夏休みは本当に暇だ。
結構、やまさんと一緒に遊ぶことが多かったのに最近やまさんは何故か料理に目覚め一生懸命料理本を開いて頑張っている。
将来は洋食屋さんになってお母さんに食べさせたいらしい。
最近は皆美味しいと言って食べてくれると自慢してた。

今日は誰とも遊ぶ約束をしてないと言うか出来なかった。
そんな日は・・・家でゴロゴロテレビを見て過ごすことが多い。
「夏休み子供劇場」を見た後ぼーっとしていると、すごいものがテレビに出てきた!

「カキ氷まで出来るスライスカッター」
すごいぞ!きゅうりも切ってるしキャベツも切ってる!
何よりもカキ氷までできるなって夢の機械のようだ!
そう言えば、カキ氷食べたいな~。
テレビの画面のカキ氷を眺めていると急に食べたくなった。
値段は・・・一台8,000円で・・・2台でなんと14,000円だって!
すごいお買い得だ!これはお母さんに言って買ってもらわないと!

なんだかわくわくしてお母さんが帰ってくるのを待った。

「ただいま~~~!」
お母さんが帰ってきた。

「お母さん!僕、今日すごいものテレビで見ちゃったんだよ!カキ氷まで出来るスライスカッターがなんと2台買うと14,000円なんだって!」

お母さんは
「ふーーん」って言った。もっと感動してくれると思ったのに。

その日の夕食はとんかつだった。横には千切りのキャベツがいっぱいついていた。
ご飯が終わってしばらくするとカキ氷器を出してきてカキ氷を作ってくれた。
電動だったから僕でも出来た。

僕は大好きな練乳をかけて食べた。美味しかったよ。

お母さんは無言で「うちには何でもあるのよ」と言ってるのかな~。
でも、あのスライスカッターやっぱりすごいと僕は思うんだけどな。ただ良く考えたら2台もいらないかもしれないけど。

そして次の日・・・。
僕はテレビでまたすごい物を見た。
布団があんなにぺったんこになる布団圧縮袋。今ならさらに棚がついてくるって!すごいなぁ~!僕、布団がぺったんこになるところ見てみたい!
お母さんに知らせないと!今度はきっと「そんないいものがあるの?早速申し込まなくっちゃ!」って言うかもしれない(*^_^*)


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ほくろクラブ株式会社11(番外1・・・やまさん編)≪元気もりもりオムライス≫

2007年06月02日 | ほくろクラブ
僕、山内 透。小学校6年生。

僕のうちはお母さんと僕と妹の沙織(小学校4年生)と犬のポンの4人?家族だ。
お父さんはいない。だからお母さんは朝から夜遅くまで働いている。
お母さんの仕事は看護士だ。帰りは深夜や翌日になる事なんかも多い。
僕は、小さい頃はお母さんがいないから寂しいと思った事もあるけど今ではお母さんが僕や妹の為に一生懸命働いているのを知っているから、もう寂しいと思わない。
それに僕が頑張って沙織の世話をしないといけないと思っている。だって家の中で男は僕1人だから・・・あっ!ポンもいたか!
ただ、お母さんが帰って来るのが遅かったり、翌日お母さんが休みだったりすると一緒によく寝過ごして遅刻をしてしまう。
担任の赤城先生には怒られてばっかりだ。

今、学校は夏休みだ。
同じ留守番友達のウッチーと遊んだ。ほくろクラブの他のメンバーのテンちゃんは野球のチームに入っているからずっと練習だし、みずっちはお母さんの許しがないとなかなか出してもらえない。
夏休みに入ってからは自由なウッチーと遊ぶことが多い。
今日は遊んでいる時に、一番好きな食べ物は何か?と言う話しになった。
「僕は、おでんとオムライス!」とウッチーが言った。
「僕もオムライス一番大好きだよ!」

僕はとたんにオムライスが食べたくなった。
お母さんはオムライスは手がかかると言ってめったに作ってくれない。最後に食べたのはもう何年か前かもしれない。
ウッチーが
「昨日、僕んちはオムライスだったよ。お母さん朝から玉ねぎ刻んで用意をして帰ったらすぐに作ってくれた」と言った。
ウッチーのお母さんも働いているけど毎日7時ごろまでには帰ってきている。
だから作れるんだな・・・きっと。

僕はふとある考えが浮かんだ。
「よし!自分で作ってみよう!」って。

「ウッチー、昨日食べたオムライスって何が入っていた?」と僕が聞くと
「えっと、うちのはね、玉ねぎと・・・にんじんと・・・あっ!忘れてならないのがとり肉だ!」
と言った。

僕はその場でウッチーと別れ、スーパーに買い物に行った。
僕と妹はお母さんが遅くなるときや夜勤の時はコンビニやスーパーでお惣菜やお弁当を買いなさいとお金を渡されている。
今日はそれを使って・・・自分でオムライスを作るんだ!

冷蔵庫の中にたまごが入っていたし、玉ねぎもあったと思う。
ケッチャプもそう言えばあったはずだ!
僕はにんじんととり肉を買って、家に帰った。

まずはとり肉を切った。案外よく切れない。とり肉を切るので30分かかった。
次に玉ねぎとにんじんを切った。
玉ねぎってこんなに目にしみるものだったんだ。段々邪魔くさくなって玉ねぎもにんじんも最後にはかなり大きくなった。
お米を洗って炊飯器にセットして炊いて見た。
炊きあがったご飯はなんだかベチョベチョしてた。
でも、まあいいや。炒めたらカラッなるかもしれない。

沙織が遊びから帰って来た。
「兄ちゃん、コンビニに弁当買いに行こうよ!」と言ったが僕が
「待て!今日は兄ちゃんがオムライス作ってやるよ」と言うと沙織は大喜びした。

僕らだけで火を使うのはお母さんが禁止している。
だから僕はホットプレートを出してきて材料を炒めて次にご飯を入れた。
なんだかべチャべチャでよく混ざらない。団子みたいになってきたので仕方なしにケッチャプを入れたらもっとべチャべチャになった。
いやな予感がしたが「味で勝負だ」と自分に言い聞かせ、一旦ホットプレートの中からチキンライス・・・と言うかチキンライスだんごをとり出した。
次は卵だ。1個1個するのは面倒なので全部流し込んでその上にさっきのチキンライスだんごを入れた。
当たり前だけど・・・ひっくり返せなかった。
出来たのは・・・なんだか卵が下でぐちゃぐちゃしててその上に赤い塊のごはんがのっていると言うものだった。

「兄ちゃん、これ食べれるの?」と沙織が不安そうに言った。
「当たり前だ!」
といい、沙織にそれをよそった。
一口食べた沙織は
「こんなのオムライスじゃない」と言って泣いた。
僕も一口食べた。玉ねぎは大きすぎる。にんじんもまた大きすぎて中まで火が通ってなくてゴリゴリ。
ご飯はべちゃべちゃでケチャプのかけすぎでどろどろした部分とご飯のままの部分がある。
最悪なのは卵が包めてなくてこげている。
僕自身も食べれなかった。
ポンにもちょっとだけだして見た。
ポンは匂いを嗅いでクルッと後ろを向いてしまった。

最悪だ・・・。
泣きじゃくる沙織をなだめカップ麺を出してきてポットのお湯を注いで2人で食べた。
ポンにはドックフードを改めてだしてやった。ポンはうまそうにドックフードを食べた。

なんだか疲れてホットプレートの上のオムライスもどきも片づけずに沙織を寝かせてから僕も眠った。
いつもはお母さんが帰ってくるのを待っていようと思うのに・・・。
なんだかとても悲しかった。

翌朝、僕が起きると食卓の机の上はきれいに片付いてた。
そして手紙が置いてあった。

『オムライスごちそうさま。お母さん、とっても美味しかったしうれしかった。今度はお母さんがオムライスを作るわね』と。

お母さんは昨日は遅かったみたいでまだ寝ている。
僕の作ったあのオムライスもどきが美味しいなんて・・・。
僕はなんだか胸が熱くなった。

その日の夕食はもちろんお母さんの作ったオムライスだった。
黄色い卵で包んだオムライスを食べたらなんだか力がわいてくる。
そしてこれから何か悲しい事があっても今日のオムライスの黄色い色の事を思い出せばきっとなんでも乗り越えられるような気がした。


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ほくろクラブ株式会社10≪プレゼント・・・その3≫

2007年06月01日 | ほくろクラブ
いよいよ森林公園に行く日がやってきた!
僕らは家でご飯を済ませ、いつもの公園に12時半に待ち合わせた。

少しだけおくれてみずっちがやってきた。
さあ!出発だ!

森林公園までの道のりはずっと歩道で行ける。だから案外わかりやすくて簡単だ!
でも、坂道が多い。行きの方がくだりが多くて楽かな~。
少しだけ遅れるみずっちを待ちながら僕らは約40分ぐらいかかって目的地についた。

森林公園内の事務所で丸山さんのおじさんが待っていた。
丸山さんのおじさんはとても大きな人で日に焼けて真っ黒な顔が「くま」みたいな感じだ。
「さあ!そうしたら皆木を拾うのを手伝ってくれ」
おじさんはそう言うと工作に使う木切れの説明をしてくれた。
僕らは一生懸命探した。
やまさんなんて体中葉っぱだらけになっていた。テンちゃんだって同じだ。僕もきっとそうなんだろう。
みずっちは皆に比べると少し山道がつらそうだったけどそれでも一生懸命だった。

僕らは汚れた顔を見比べて笑った。
工作に使う木が集まるとテーブルやいすを並べて用意をした。
そして終わったのが丁度3時だった。
丸山さんのおじさん・・・名前は片桐さん(丸山さんのお母さんの弟だそうだ)は僕らに手作りのパンとジュースをご馳走してくれた。
パンはこの公園内で釜を作って焼いたんだそうだ。
こんな美味しいパンは初めてだ!と言いながら僕らは次に作るときは僕らも手伝いたいと言った。
だってパン作りなんて皆した事ないから。

僕らの頭の上で木の葉が揺れて光が少しさした。暑い夏の日なのにこんなに木陰が涼しいなんて。
僕らの笑い声が森の中にこだました。

僕らは片桐さんにご馳走になったお礼を言い、今度は僕らの宿題の植物採集にとりかかった。
こうやって植物を見る事なんてなかった。良く見る植物なのに名前を知らない。
僕らは採ったのを片桐さんに見せては名前を聞いて説明をしてもらった。

そんな中・・・みずっちだけがずっと下を向いて何かを探していた。
僕らが山の方の植物を探しているのに対し、みずっちだけが原っぱになっているところを探している。
僕らは別に皆が一緒に同じところを探すより別なところの方がいいか・・・と思ってみずっちの好きなようにさせておいた。

あっという間に5時になった。
帰る時間を計算に入れるともうここを出ないといけない。
僕らは片桐さんにお礼を言い、次の約束をした。

さあ、急いで帰らないと!
「皆で採ったのを分けてそれぞれの家で押し葉をしようよ」とテンちゃんが言って皆で採ったのを分けた。
みずっちはあんまり採ってなかった。でも何かを大事そうに別の袋に入れていた。

帰りは行きと逆になって登り道ばかりでやっぱり体力のないみずっちが行きよりもさらに遅れた。
みずっちが追いつくのを待ったり、一休みしたりで予定の時間よりかなり遅くなった。
僕は時計を見るともうすぐ6時半になるところだった。
僕とテンちゃんは途中でお母さんに「ちょっと遅くなったけど今家に向かってるから」と公衆電話から連絡を入れた。(森林公園を出る時も連絡をした)
やまさんは7時までに帰ればいいらしい。
でも・・・いつも皆のお母さんより厳しいはずなのにみずっちが電話をいれなかった。
もしかして・・・僕はちょっと不安になった。
みずっちはなんだか泣きそうだ。
僕らはみずっちを励ましながら進んだ。登り道は乗らないで押しながら。

やっと集合場所で解散場所でもあったいつもの公園についた。
これで皆帰ったも同然だ。
僕らが「じゃ!またね!」と別れようとした時・・・公園の隅から走ってくる女の人が見えた。
みずっちのお母さんだ!

「真之介!」

すごい声がした。

「黙ってこんな遅くまで!今日は何の日かわかっているの?」
そう言ってみずっちのお母さんはなんだかみずっちを叩きそうな雰囲気だ。

その時みずっちがすっと手を出した。

「ハッピーバースディ!お母さん!」

みずっちの手にはクローバーがのっていた。僕らが覗きんでよく見るとそれは四葉のクローバーだった。
幸せを呼ぶと言う・・・。
そうか・・・みずっち今日はこれをずっと探してたんだな。

みずっちのお母さんがぎゅっとみずっちを抱き締めた。そして何にも言わずみずっちの代わりに自転車を押して歩き始めた。
みずっちもその後を追って帰って行った。

僕らは何も言わずに見送っていたが、自分達も帰らなければ!と気がつき「バイバイ」をして公園を出た。

公園を出たらなんと僕のお母さんがいた。
「よっ!お帰り!」なんて言っている。
僕が?と思っていると
「水上君のお母さんから連絡があったのよ。だから今日一緒に行っているはずですけどって言ったらすごく驚かれて・・・。どうやら言わないで黙って言ったらしいのよね。だから一緒にここに来て待っていたのよ。いろんな話をしながらね」
お母さんはフフッって笑った。
「今日はね、水上君のお母さんのお誕生日でお祝いを6時からかお出かけしてするつもりだったんだって。だから、余計に心配したのよね。そして子供同士で行くのは不安だって。でもねお母さんはね、うちの勇気も水上君も私達が思うよりずっとしっかりしてます、自分の子供達を信用しましょうよって言ったのよ。」

さすが僕のお母さんは太っ腹だ。
と思ったけど声に出しては言わなかった。だってお父さんみたいに本で叩かれたら大変だ。

僕とお母さんは夕暮れの中を一緒に歩いた。なんだかお母さんが僕を信用してくれてると言うのがとてもうれしかった。
僕もお母さんの誕生日に四葉のクローバーを採ってこよう。
来年のお母さんの誕生日まで覚えていればね。

そうそう、その後みずっちのお母さんは少しだけみずっちの事を心配しなくなった。
そのかわりうちのお母さんと長電話をしている。
僕らの様子はお母さんを通じて丸わかりみたいだな
・・・恐るべきお母さん達の情報網ε=( ̄。 ̄;A フゥ…

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ほくろクラブ株式会社9≪プレゼント・・・その2≫

2007年05月31日 | ほくろクラブ
次の日、僕らは親の了解がとれたかどうか確認しあった。
僕はOK。テンちゃんもOK。やまさんはお母さんはいなかったけど、いつも自分の責任がとれる範囲ならいいといわれてるからという事でもちろんOK。
みずっちは・・・。

「・・・大丈夫だよ・・・」と言った。なんだかちょっと元気がない。

やまさんが心配して
「無理するなよ。もし来れなかったら植物採集したあとの作業を手伝ってくれればいいんだから」と言ったら

「大丈夫なんだって!お母さんもいいって言ったんだ!」とみずっちが叫んだ。

やっぱりちょっと元気がないとこが気になったけど皆これでOKだ。
どうやって行こうかと言う話しになったんだけど、自転車で行く事になった。道は僕が知っている。
僕らは赤城先生に報告をしに行った。

赤城先生は「良し!それなら気をつけて行くように。ちゃんとご両親に連絡が取れるようにしておけよ。そしてちゃんと報告を月曜日に先生に誰かが報告に来る事」と言った。
先生は夏休みでも学校に来ているらしい。大変なんだな。

丸山さんに詳しい時間と仕事の内容を聞きに言った。
「そっか~~!皆大丈夫だったんだね。時間はお昼の1時半からでいいらしいよ。多分3時ぐらいには終わると思うからそのあとは遊んで帰ったら?仕事の内容は次の日に『森の木で作る工作』と言うのをするらしいから、その木を集めたり運んだりするのと道具や机の用意を手伝ってほしいらしいの」
とまた一気にまくしたてた。
僕らは仕事が済んだ後、夏休みの宿題の自由研究として植物採集がしたいのでおじさんに植物の名前を教えてもらえないだろうか・・・と聞いた。

「もちろん、大事丈夫だと思うよ。それが報酬という事でおじさんに言っておくね!じゃ!私は帰ってすぐにおじさんにまた連絡しておくから!」と言ってバタバタと走って行った。いつも忙しい人だ。

僕らの夏休みの最初の計画。
なんてわくわくするんだろう。
それから、夏休みにはいるまでの2週間、僕らはこの日の事ばかり話していた。

僕は休みの日は自転車の調整をして、山にはえている植物の事を調べたりした。
おしば標本の作り方なんて言うのもインターネットで調べてたりもした。植物は根からとってくるのがいいらしい。標本を作るには新聞紙が必要だ。
たくさん用意しないといけないなあ~。
皆もいろんな事を調べてきてあれもしようこれもしようなって一日で出来れないほどの話しになった。
だから別の日にも遊びに出掛けようと言う事になった。お弁当を持って一日中いるのもいいななんて。
こんな楽しみな夏休みは初めてだ。

ただ・・・この話をしている時やっぱりみずっちがあんまり元気がないのが少し気になった。
どうしてだろう。お母さんの許しも出たと言うのに。
体力がないみずっちの事だ。自転車で坂道を走るのが不安なんだろうか。
出来るだけ皆にゆっくり走ってくれるように言わないとけないな。

そして・・・待ちに待った夏休みがやってきた!
通知簿の事は聞かないでね。だってそれはプライバシーの問題だから。
長い、長い夏休み!なんて楽しみなんだろう!
そして明日はいよいよ森林公園に皆で行く日だ!
僕は枕元にリュックを用意した。お昼から出掛けるのにね。

お母さんが言った。
「勇気はお父さんとそっくりね。お父さんも楽しみな事があると一週間ぐらい前から用意するもの」

そう言えばお父さんはゴルフに出掛けるとき何日も前から用意をしてお母さんに怒られる。
納屋からゴルフバックを一週間前からだし、玄関に出して「邪魔よ!」と言って怒られもう一度納屋にしまっている。
でも、お父さんの気持ちわかるな~。楽しみな事は早くから用意をしたいよね。
明日はどんな楽しい事が起きるんだろうと思いながら僕は眠ってしまった('-'*)

                         ≪その3へ続く≫

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