染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

個人が作る「ブランド」

2012年06月25日 | 店主の一日
長岡に行った時にたまぁに寄る喫茶店があります。
長岡は十日町からすると最も身近な都会で、曾ての駅前の賑わいは十日町からみると都市としての活気でした。
当時は百貨店や映画館のあった一角ですが、現在はすっかり静かです。その小路に喫茶店はあります。
30年以上前からある個人のお店で、集められた立派なカップが飾り棚に並び、美味しいコーヒーを出します。
僕が知ったのは25年程前ですが、当時と殆ど変わりのないお店です。
変わったと云えば、オーナーのご主人が(多分)亡くなり、奥様とご子息がお店を守る事くらいでしょう。
ご主人も奥様もご子息もお客さんがカウンターに座っても軽口をするわけでもなく、店内にお客さんがいる間はいつも静かにレジの脇で立っていらっしゃいます。
その日は、お母さんがお店にいらっしゃいました。私の母親より少し年が上くらいで、いつもこざっぱりとしています。
カウンターの中には小さな折り畳みの椅子があるので、誰もいない時は腰掛けていらっしゃるのだと思いますが、その椅子に座っているのを一度も見た事がありません。

コーヒーが出た後も、カウンターの端のほうで静かに立っていらっしゃるので、~母親よりもお年がうえでしょから~「お掛けになったらいかがですか」と促すと「ご丁寧にありがとうございます。お客様の前でそんな失礼な事はできません。立ち仕事ですので大丈夫です。」と予想の通りに静かにおっしゃいました。
とても丁寧な様が好きで長岡にいくと時々、そこでコーヒーを飲みながらぼんやりします。

チェーン店のマニュアルというのはとてもよく出来ていて、その道のプロが店のブランドイメージを強く意識しながら構築しているので、その出来のよさに感心する事がよくありますが、個人によって長く続いている店が培ったサービスにはマニュアルと全く異なるその店独特の快適さがあります。
大きくても小さくても古くとも新しくとも「ブランド」とはそんなものかも知れません。
コメント (2)
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