虹の国へ-日々を楽しんだり嘆いたりしちゃったりして-

平成21年度3次隊青年海外協力隊として
南アフリカ共和国での活動記録

任期延長依頼に関する同意と活動計画

2011-11-20 20:43:19 | 南ア-報告書-

先日もお伝えしたとおり(リンク)、
協力隊員としての任期を延長することになりました。

延長期間は、2012年4月8日(日)までとなります。

協力隊員の任期は、原則として2年間ですが、
配属先からの要請に対して、
本人(私のこと)の希望を考慮した上で決められます。

そこで、今回の記事では、
『任期延長依頼に関する同意および活動計画』を紹介しようと思います。

以下、全文です。
※多少長いですが、時間のあるときにご覧ください。

2010年1月、南アフリカ共和国 ムプマランガ州にあるマレラネ地域事務所に配属された。

 私は、この地域に3代目の隊員として配属されたが、前任者までがTeachers Centreという教育センターに配属されていたのとは違い、主に学校を管轄する教育委員会の役割を果たす、Malelane Circuit Officeに配属された。

 現配属先からは、赴任当初より、管轄内に25ある、公立小学校の算数科担当教師の指導力向上を求められた。

実際学校を巡回してみて、感じた課題点は根深く、具体的には、

    一話完結型の授業構成で、日々の授業に関連性がなく、学習の継続性がない。

    教員研修システムが充分ではなく、教師同士が切磋琢磨する場がない。

    指導内容に対する知識が乏しく、児童に分かりやすい教材を作成する術がない。

要望調査票通りといえば、それまでであるが、実際に体験すると、苦労することも多い。

とはいえ、昨年度途中から巡回拠点校を決め、指導力向上につながる教材づくりと研修体制の構築を行ったことが功を奏し、今年度一部の学校で、目に見える形で、基礎計算力が向上した。教員同士が互いのもつ知識や技能を共有して、指導法の向上をはかるという組織づくりが、現場に根付き始めたと言える。

しかし、私の活動期間が実質12月までであることで、当初の任期では、2012年の新年度当初の方向性を決める重要な時期に、協力隊員がいないという事態に直面する。これまでじっくりと築き上げた教師の指導力向上のためのシステムを、来年度以降も継続の上、より一層前進させるためにも、配属先および活動先からの要望は強い。

よって、私自身も延長の必要性を感じていることから、2011年3月末までの配属先からの任期延長要請に応えたいと考える。

 延長後の約3ヶ月は、これまでの経験を生かし、管轄内の多くの学校に対して、同様のサポートができるよう善処したい。また、組織としての教員研修制度の確立を図るため、今その場所で自分ができることを常に考え、実行し、延長した活動を有意義にするように勤めるつもりである。

後任は、2012年1月に1名配属されることになっており、私の活動期間を延長することで、より円滑に引き継ぎが行われる。来年配属される後任に、私が経験したことを引継書として作成した上で、一緒に学校巡回するなかで、現地教員とともにより具体的な活動計画を作成することで、活動がより有意義になるように努める所存である。

 

以上


第4号報告書より-赴任後1年半頃-

2011-07-16 17:19:01 | 南ア-報告書-
今回は、赴任後1年半頃をめどに提出した、第4号報告書です。
いよいよ次回(第5号報告書)が最終版です。活動の経過としてご覧ください。

※長い文章ですので、時間があるときにお読みください。

≪要約≫

 活動も2年目に入り、一年目には実行できなかったさまざまなイベントに取り掛かることとなった。現地の学校との対話を重視したため、実行まで時間を要することが多かったが、その分、彼らにとっても納得できる形で行うことができるので、より充実感を得られることが分かった。特に、今年6月に行った算数フェアの実施は、現地の教師からの要望で始まったもので、私がサポートする形態をとっているため、今後も継続的に実施される可能性が高い。また口コミで他の学校からもオファーが来ているので、今後の活動の基本路線として、計画実行していく所存である。
 課題としては、現時点で、どうしても一部の学校に偏っている学校巡回の在り方をどのようにしてサーキット全体に広げられるかである。非巡回校のなかにも、街のスーパーなどで、よく訪問の打診を受ける学校がたくさんあるのが、それらをどうやってサポートしていくかが今後の悩みの種でもある。

≪活動の進捗状況≫

 昨年に引き続き、地区内の小学校を巡回して、算数科担当教員の指導補助をしている。今年は、特に視覚化・具現化した教材作成の在り方を探っているが、時間的な問題もあり、一部の先生のみとしか議論できていないのが現状である。それは、どうしても一つの授業(単元)を作り上げるまでに、最低でも、3日から1週間程度の時間を要することに起因する。多くの学校より来てほしいとの要望があるにも関わらず、その期待に応えられないのは、誠に遺憾である。
 そこで、教員向けワークショップを開催したいところだが、一部の教員から開催の要望があるにも関わらず、CIやサーキットオフィスからのバックアップがあまり期待できないため、予想以上に準備に時間がかかっている。次タームでの開催に向けて、学校巡回をしばらく停止して準備、実施する方が賢明であると考えている。
 さらに、今年から一部の学校で低学年の指導補助を始めている。現地語での指導は困難ではあるが、要望が強く、学級担任制により時間割調整が容易で、継続的な指導が可能なため、今後も可能な限り協力していくつもりである。

≪課題解決に向けた取組み・進捗・結果≫

 昨年来、日本の指導法を紹介することに加えて、教員同士が切磋琢磨できるよう模索してきた。その一つがワークショップであったが、前項でも述べたとおり、未だ実施に至っていない。
 そこで、今タームでは、別のアプローチとして、算数フェアを計画、実施した。これは複数の学校の生徒および教師を一箇所に集めて、ペアになって同じ問題を解くことにより、お互いの持つ知識を共有するというイベントで、日本ではペアワークと呼ばれる指導法である。従来は子どものみがペアになることを想定しているが、教員にもペアになって問題を解いていただいた。第1回は、今年6月に行い、5名の教員に参加してもらい、子どもを介して、それぞれの指導法を学ぶ良い機会となった。またそれを他の学校教員にも紹介することで、今後、他校での開催を模索するつもりである。
 また、一部の学校で、算数科の校内研修という新たな試みを考えている。低学年では、複数学級あるため、同学年、同内容を教える教員が校内に複数いる。そこで、それらの教員を私を媒介として結びつける試みを考えている。

≪活動事例の紹介 成功例・失敗例≫

 教師を補佐する立場をとっているため、教師によっては、授業を見られたくないからか、授業直前に別の用事を思い出す人、私に全てを任せて失踪する人、また突然欠席する人がいる。もちろん多くはないが。そのため、当日学校に行くまで、活動できるかどうか分からない状況が続いた。また校長先生などの管理職がいるときといないときで、活動の質が変わってしまうことも少なくない。そこで、いくつかの学校を拠点校にして、担当教官を決めることにした。そうすることによって、事前の打ち合わせが円滑に行うことができ、一つ一つの参観授業の質が上がったように感じる。その一方で、要望の強い非巡回校の教師とは疎遠になってしまっている。
 マレラネ地区の教員を観ると、授業への事前準備にかなりの差があるため、その結果として、指導力格差がはげしい。ある教師でうまくいった事を、他の教師に紹介しようと試みるが、彼らのレベルによっては、まったくもって対応できないことがしばしば起こる。あまりに難しいことを言ってしまうと、意気消沈する。かといってあまりに基本的なことを言うと、彼らのプライドを傷つけてしまう。一人一人にあった形でのアシストが必要になる。

≪受入国の人々の変化(活動のインパクト)≫

 私が来て以来、劇的に変化したことは見られない。それは、私の活動形態が巡回型のため、一人ひとりの教師と関わる時間が長くないのも少なからず影響していると考えられる。しかし、まったく変化がなかったというわけではない。例えば、教師の子どもたちとの関わり方である。私が来るまで、現地の教師は、休み時間や授業中を含めて、生徒のことをよく見ていなかった。何日も同じ制服を着ていても、子どもたちが喧嘩していてもそれを気にかける教師はほとんどいなかった。私は、生徒との対話が成り立つことがいい授業をする前提と考えているため、生徒とのコミュニケーションを欠かさないように努力しているので、当初は戸惑っていた現地の教師たちが、子どもたちの微妙な変化に気を向け始めたことは、よい変化と感じる。
 また、一部の教師ではあるが、授業でも、一方通行な指導形態から子どもとの対話を重視した指導法に少しずつ変わってきているように感じる。今後も現地教師とも対話を重視した授業を考えていく所存である。

≪その他特記事項≫

1)MASAジャーナル発行
今期(半年)もMASAジャーナルを2部(4号、5号)発行した。詳しくは別添資料をご覧ください。

2)共同通信への記事投稿
JICAを通じて、共同通信より依頼を受けた記事が、全国の9つの地方紙に掲載されました。
掲載されたのは、東奥日報、デーリー東北、山梨日々、岐阜新聞、福井新聞、高知新聞、西日本新聞、長崎新聞、沖縄タイムズです。

3)国際児童画コンクールへの応募
JAXAの主催する国際児童画コンクールへマレラネ事務所内の3校約30名が応募した。

以上


上記の報告書とは別に『活動状況表』なるものを提出しています。
興味がおありの方は、ご連絡ください。

第3号報告書より-赴任後1年頃-

2011-02-12 02:07:36 | 南ア-報告書-
今回は、赴任後1年頃をめどに提出した、第3号報告書です。

長い文章ですので、時間があるときにお読みください。

≪要約≫

 活動の中間地点としてこれまでの活動をふりかえり、今後の方向性を確認することが本報告書の目的である。1年目は、私の本来の活動は、観察することおよび人間関係づくりを主にしていたため、これと言って成果を残せた実感がない。ただ巡回先の学校のうち、何校かは、とても熱心にアプローチをしていただき、今年は一緒に授業研究を行うことができそうである。それを踏まえて、今後、教員向けのワークショップを開いていくことも視野に入れるが、これはCIとの綿密な事前打ち合わせが必要なため、実施時期は、予定より大幅に遅れそうである。
 また日本紹介のイベントに関しては、5月の隊員共同イベントに始まり、11月の日本とつなぐインターネット授業、下半期の折り紙教室、MASAジャーナル発行と矢継ぎ早にいろんなことに挑戦した。いずれも巡回先の学校からの評価が高く、今年度も継続して行っていくつもりである。

≪活動の進捗状況≫

 現地の小学校の算数科担当教師に対して、指導補助をするという従来の活動に変更はない。特に一年目は、南アの教師たちの授業の長短所を書きつづる作業を行った。活動全体を通して言えることだが、配属先は教育委員会であるため、私の算数科の活動に対してのアドバイスは期待できない(学校巡回のためのアドバイスはある程度期待できる)。そのため、本来教員の授業研究をつかさどるCI(カリキュラムインプリメンター)との連携が重要になるのだが、なかなか連絡調整ができない。前任者のときと配属先と異なる現状から考えるとやむをえないので、今後もCIとの連携を探りながら、支援を行うつもりである。
 またもう一つの柱である日本紹介に関しては、順調に行っている。特に『折り紙』は、南アの先生たちにも少しずつであるが、浸透し始めている。教科としては、算数科というよりArt&Cultureという教科(低学年では、LifeSkill)になるようで、一部の学校から継続的に授業の在り方を探りたいという打診も受けている。それらの学校側と打ち合わせしながら、開催の在り方を今後も模索していくつもりである。

≪着任後1年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決策≫

 1年目にサーキット内の全25校のうち、22校を巡回してたくさんの先生の授業を見られたことは、とても有意義であった。彼らの授業の多くは、『一方的』、『単発的(非継続的)』であるため、なかなか児童の理解につながっていない。それらの対策として、1年目は、先生たち同士のつながりといまある教材を充分に活かすことに重点をおいて、活動してきた。
 先生同士のつながりは、学校内でもばらつきがあり、なかなか難しい。そのため、私が媒介役になることで、各先生の授業の長所の共有が図れるようになった。2年目は、ワークショップを行う予定で、その際に、今度はサーキット内で、良い指導法の共有を行えればと考える。
 次に、いまある教材を充分に活かすことですが、南アには、教師用の教材がそれなりにあるため、新たな教授法を探るというより、現状ある教材の使い方をしっかりと理解することが重要になってくると感じた。これはCIも同じことを言っているので、私もCIとともにどう活かしていくか考えたうえで、ワークショップを開くことを検討している。

≪現地支援制度活用計画≫

 2010年11月下旬に、現地業務費支援制度を利用して、日本の小学校と私の任地内の小学校をつなぐインターネット授業を実施した。これにより日本と南アフリカ双方の子どもたちが、互いの文化に触れることができた。今年も同様のインターネットを通したイベントを企画していくつもりである。
 また、昨年5月に私の任地に南アにいる科学隊員を呼び、隊員共同イベントを行った。日本紹介やサイエンスショーなどを通してJICAの存在を広く知らしめることができたと感じている。科学隊員をはじめとした協力隊員の得意分野を中心に、任地の子どもたちに伝えたので、日本の認知度アップに著しく貢献できたと感じる。したがって、今年も下半期に同様の企画を行えればと計画中である。
 さらに、活動計画表に書いたとおり、南アの算数教育研究のNGOであるAMESAとの協力を今年は実施できれば活動がさらに有意義になると考える。AMESA主催のワークショップへの参加およびAMESA代表のいる大学の研究所の訪問も視野に入れるつもりである。
 

≪社会的な格差に関する所見≫

 配属先であるマレラネ地域事務所をはじめ、巡回する各小学校においても男性より女性の方が多い。仕事内容にしても、力仕事を除けば男女がほぼ同様であり、待遇面で男女差があるとは聞いていない。また女性のジェネラルワーカー(用務員)もかなり見かける。もちろん、治安上の関係からか男性のほうが好ましい職種(乗合コンビの運転手など)もあるが、全体としては、ジェンダー問題を感じることはない。
 しかし、ふと街をみると、能力があるのに仕事をもたない(もてない)若者が多数存在している。仕事を求める人も多いが、日本のような職業安定所などがないようで、求人情報を得られない。また、採用基準が不明確な企業も多いと聞く。
 さらに、現在ムプマランガ教育省では、自国民教員の雇用を確保するために、国内の公立学校で勤務する外国人教員に対して、契約を延長しないなどの対策を採っている。その流れを受けて、外国人排斥運動につながらないことを祈る。

≪その他特記事項≫
1)MASAジャーナル発行
配属先の小学校に対して、算数科にいかせるクイズと日本紹介を記したMASAジャーナルを現在までに3号まで発行している。詳しくは、添付データを参照ください。

2)日本とつなぐインターネット授業の開催
2010年11月に日本と南アの小学校をつなぐインターネット授業を行った。今年度も要請があれば、行っていきたいと考えている。

3)折り紙教室の開催
こちらも巡回先の小学校で、主に低学年を対象に行っている。学校側から継続開催の申し込みがあるが、現状では、活動に支障のないように最低限でとどめる予定である。

4)国内旅行
年末休暇を利用して、ケープタウンおよびポロクワネに約1ヶ月ほど滞在した。私の任地とは違う景色がたくさん見られ、とても有意義な時間となった。治安面に気をつけて、今後も安全に活動する所存である。




なお、この第3号報告書には、
添付書類として『活動状況表』と『MASAジャーナル』を提出しました。

活動状況表については、読んで字のごとく
活動状況の報告と今後の活動計画の変更点を記載しました。

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第2号報告書より-赴任後6ヶ月頃-

2010-10-25 23:30:04 | 南ア-報告書-
今回は、赴任後6ヶ月ごろを目途に提出した、第2号報告書です。

いま思えば、もう少し、補足説明したいなと思うところもありますが、
やはりそのまま載せます。

長い文章になりますので、時間があるときにお読みください。

≪要約≫

 活動を始めて半年が経ち、南アでの現場のいいところも、改善すべきところも、身をもって体験しはじめたところです。この半年間、私の活動は、現場を見て歩くこと、そして感じたことをメモすることに終始しています。まず現地の先生方に出会い、彼らが何を思い、考え、授業をしているのか、そして、私に望むことが何なのかを世間話をしながら一緒に考えています。そのため、まだ活動が本格化した実感がないのが現状で、これからのための準備段階だととらえて日々活動しています。日本での学校現場での指導経験をふまえ、現地の先生方のために必要な基礎的な授業方法の共有をはかっていきたいと思っています。
 なお、活動計画については、配属先とも十分な議論をしたうえで、計画を立てることができたので、十分な見通しをもって、今後の活動を行えるのではないかと思っています。南アに現在是移籍する唯一の学校巡回隊員として、算数科の指導のみならず、折り紙や習字などの日本特有の文化を紹介していきたいと思います。

≪活動計画の説明≫

 要望書段階からの大きな変更はありません。まず1年間は、任地内の25校の公立小学校の巡回指導をしながら、現地教員の授業改善に向けて実地調査を行う。その中で、現地教員から日頃の授業で苦労することを聞いてまわり、それをレポートしてまとめてサーキットマネージャーに提出する。そして、それをもとに今後の活動の方向性について、議論をします。そのうえで、2年目は、サーキット内の5つのクラスター(地域) ごとに彼らの授業を改善するためのワークショップを行うことになっています。その際、1年目に記録した内容を基に、サーキットマネージャーのみならず、同サーキットを管轄するCIやティーチャーズセンターの方々などの意見に耳を傾けながら、ワークショップを行っていく予定です。また、学校巡回での活動が要請である以上、日本紹介を含めた、さまざまなイベント活動を受け入れていきたいと考えています。特に、今年5月にすでに一度行った、南アの協力隊員共同イベントを私の活動期間中(おそらく来年度)にもう一度行うこと、そして、折り紙を使用した「折り紙ワークショップ」を教師向け、子ども向けに行っていきたいと思います。

≪活動計画策定に向けた配属先との意見交換≫

 まずはじめに、南ア全体で公務員のストライキがあったため、サーキットマネージャーと意見交換をするのが、困難な時期がありました(現在は問題ありません)。また、活動先と配属先が離れていること、そしてサーキットマネージャーを頻繁に会議等で外出するため、なかなかじっくりと話す時間がとれていません。会うたびに、できる限り報告をするようにしていますが、お互いにもう少しまとまった時間をとって話をできればと思うこともしばしばあります。
 配属先からは、各クラスターごとに拠点校を置くことで、前任者のときにはなかったサーキット内全体を定期的に巡回するシステムを確立することを求められています。各クラスター内の拠点校以外の学校は、該当地区の拠点校に連絡をすることで、私と容易にやり取りができるようになると思っています。
 ワークショップの開催は当初の予定通り、来年度より始めるとしていますが、現時点で、具体的な話には至っていません。

≪配属先の動向≫

 これも要請書段階から大きく変わっていません。しかし、前任者の頃とは異なり、カウンターパートであるサーキットマネージャーが別の方になったために、前任者がお世話になっていたティーチャーズセンターや他のサーキットオフィスにまだ顔を出していません。顔を出してほしいという要請を個人的に受けることはありますが、現時点で、サーキット内の活動をしっかりと行うという、サーキットマネージャーの意向が感じられます。したがって、私もその意向を汲み取った上で、サーキット内のできるだけたくさんの学校に、顔を出すことに専念しているのが現状です。おそらく今後、ワークショップを行っていくうえで、必要に応じて、他のサーキットや地区に招かれることもあると考えられますが、やはりまず配属先の学校の先生方をしっかりと指導していきたいと思っています。

≪受入国の人々との交流≫

 カルチャーショックを受けています。また、週末を中心に任地内を散歩して、近所の子どもたちや年配の方と話をする機会も少なくありません。しかし、現地の方は、特に黒人の方は、旅行をあまりする習慣がないため、買い物以外で一緒に外出することはほとんどありません。そのため、現時点で、それほどうまく交流できているのかは疑問です。しかし、時間とともに少しずつ交流していけたらと思っています。
 また日本については、私が3代目であるため、同地区内の学校では、先生を中心に比較的知られているとは思いますが、日本人に対する評価は、人それぞれです。日本人は、G8の一つだとおっしゃる方もいれば、日本と他のアジア諸国とを混同している方もしばしば見られます。しかし、サッカーW杯後は、日本が躍進したこともあり、いい意味で少し知名度が上がったように感じています。

≪その他特記事項≫

 南ア人たちと生活をしていて、最近気になっていることは、話し言葉を活字でかけない人が少なからずいることです。これはおそらくこの国(もしくは地域)の人たちが、古くから話し言葉での継承の文化で育ってきたからではないかと思います。例えば、学校の低学年から中学年の授業で、現地語で数を数えるときも、15を現地語で書くために、1から順番に声に出して数えないと言えない子や、また言えたとしても書けない子がたくさんいます。
 また、図や表を読み取れない大人がかなりいるということも驚きました。表からの簡単な読み取りも、この国の学校の先生たちにとって苦手にしているようです。したがって、先生方が理解していないことを子どもたちに教えなければならないという非常に難しい状態で授業が行われているように思います。これらは、日本人であれば、ほとんどの人が比較的簡単にクリアできているところなので、思わぬところに落とし穴があることに驚きました。



なお、この第2号報告書には、
添付書類として、
『二年間のボランティアとしての活動計画』を提出しています。

ちなみに日本語版と現地語(南アは英語)版で書いています。

今回の記事を読めば、だいたいの内容が分かるため、
特にリンクははりません。ご了承ください。

第1号報告書より-赴任後3ヶ月頃-

2010-10-25 20:48:18 | 南ア-報告書-
今回は、赴任後3ヶ月後の第1号報告書です。

任地に着いてまもなくの状態で書いた報告書なので、
今思うといろいろと変えたい表現はありますが、
あえてそのままで載せますね。
(言葉足らずの箇所や誤字脱字があるかもしれません。ご了承ください。)

≪要約≫

 私が配属先は、南アの北東部にあるMpumalanga州の中のEhlanzeni地域内にあるMalelaneCircuitOfficeである。
 このCircuitには、代々複数のボランティアが在籍していて、南アの青年海外協力隊事業のなかでは、比較的歴史のある事業だと言える。この地域を含むMpumalanga州は現在、理数科教育強化プロジェクトを実施中であり、Primary段階からの基礎学力(特に算数科)の向上に取り組んでおり、私の要請もその一部と考えられる。
 私に対する要請は、配属されるCircuit内のPrimaryを巡回して、数学科の教職員に対して、指導助言を行い、そして教職員向けのワークショップを開催して、現地教員の指導力の向上をはかることである。
 私は現在、私のカウンターパートと言えるCircuitManager(この地区の学校をとりまとめる責任者)と今後の活動計画を作成中である。現在は、Circuit内の5つのクラスターを順番に巡回して、実際に教師と顔を合わせている段階であり、南アにおける数学教育の現状と課題を把握している段階である。各学校のGrade4~6(Interphase)と7(Seniorphase)の算数科の授業を参観させていただいているところである。
 今後の活動計画については、現在CircuitManagerと相談している最中であるが、巡回型のこの要請は、人脈が第一と言え、さまざまな人とのつながりなしでは、いかなる成果もなしえないので、地に足ついた活動をするためにも現場を多く見ることを重視する必要があるようだ。
 最後に、南アは、豊富な資源と整備された道路網があり、その上にさまざまな民族の方々が生活する未来に対して大きな希望をもてる国だと感じています。そのなかで私が何をできるのかを精一杯考えていく所存です。

≪活動地域及び配属先の概要≫

 私の活動地域は、南アの北東部のMpumalanga州の中のEhlanzeni地域内のMalelaneCircuitである。EhlanzeniRegionには、3つのCircuitがあり、その一つがMalelaneCircuitになる。
 このCircuitには、私の住むKamhlushwa地区をはじめとする5つのクラスター(地域)があり、それを取りまとめているのが、私の配属先であるMalelaneCircuitである。このCircuitには現在25校の公立小学校、約10数校のSecondarySchool、10校弱、IndependentSchool(私立学校)があり、それらの学校を総括する役割を担っている。配属先が所属するMpumalanga州は現在、理数科教育強化プロジェクトを行っており、PrimarySchool段階からの特に算数科を中心とした基礎学力の向上を掲げている。これはもちろんMalelaneCircuitでも同様で、同地区の各学校では、算数科を中心とした授業編成がなされている。

≪ボランティアの所属する部局の概要≫

 Malelane Circuitは、地区内の公立および私立の小学校と中・高等学校をまとめて管理する、日本で言うところの教育委員会のような組織である。
 このCircuitでは、主に基本的な業務として、各会議(Principle MeetingやClark Meeting)の主宰、Department(教育省)と各学校をつなぐ、各学校のPrinciple(校長)をまと
めるなどの役割がある。ちなみにEducator(教員)は、Teachers Centreに所属していると聞いている。
 私のカウンターパートにあたる人が、Circuit Managerになるのではないかと思われる。彼は、このCircuitの責任者で、基本的に彼の言うことが絶対で、彼を中心に回っている。ただ、彼は着任後、まだ9カ月ほどしか経っていないので、彼は、まだJICAボランティアがどのように活動していったらいいのかが、いまいちピンとこないようで、私もできる限り彼と会話する時間を取り、活動状況を決めているのが現状である(前任者のときとは違う方です)。


≪配属先のニーズ≫

 配属先からは、MalelaneCircuit内の該当小学校のIntermediatePhase(Grade4~6)とSeniorPhase(Grade7)の算数科教諭に対して、指導および助言を行うことを求められている。
 具体的には、該当授業を参観して、授業後に指導助言を行ったり、実際にTT(チームティーティング)の形式をとり、担当教諭の前で、子どもたちに直接集団指導を行ったりすることである。そのため、日本での指導方法や南アとのカリキュラムの違い、学校運営システムなどにかなり精通していることが望ましいと思われる。実際、現地教員から日本の教育システムなどに対して、度々聞かれることがあるからだ。
 また、前任者と同様、赴任1年後を目安に、教職員向けの算数科ワークショップを行うことが求められている。現時点では、前任者とCircuitManagerが違うため、詳細は不明。ただ、前任者同様、地区内の5つのクラスターごと(各クラスターは約5校程度)に開催する予定である。また要請に応じて、他のCircuitでも行うことも想定される。

≪活動計画準備状況≫

 赴任後早々よりCircuit内の各学校の校長をはじめとする教職員の方々にお会いすることができた。任地に到着後2ヶ月しか経っていないが、全5つのクラスターのうち、3つの地域のPrimarySchoolを学校訪問することができた。次のターム以降に他のクラスターにも顔を出して、現地の教職員とともに、南アにおける数学教育の現状と課題の把握に努めていきたい。
 活動計画については、現時点でCircuitManagerと今後の予定についてじっくり話す機会がとれていないので、作成については、もう少し時間がかかりそうである。ただ、先ほども述べたが、CircuitManagerとは、今年いっぱいは学校巡回を中心として、南アの現状把握とそれに対する課題の発見に専念すること、また前任者同様1年後を目処に、教職員向けのワークショップを行うことをすでに申し合わせている。

≪受入国の印象≫

 南アフリカ共和国は、日本にいたときは、世界有数の危険な国だとマスコミ等で聞いていたが、話で聞くのと実際来てみるのとでは大きく異なることが分かった。
 初めに、治安面。たしかに日本の報道のとおり、危険で近寄りがたい場所はあるので注意が必要だが、それが決してすべてではない。防犯対策のために日頃から周囲を気にしながら歩いたり、目があったら挨拶をするなどの努力を怠らなければ、危険な目に遭う可能性はぐんと下がるだろう。
 次に、交通面。この国は、アパルトヘイト時代から主要な道路網が整備されて、首都から任地ま での間、ほぼすべてが舗装道路である。これには、とても驚いた。しかし公共交通網は、あまり整備されていないのが現状である。コンビといわれる乗合タクシは、ときに不便で利用しがたい。また、ときに長時間待つ必要がある。ただこれも他の途上国に比べるとはるかにいいのではないかと思う。
 最後に諸々に問題はあるが、全体としては、将来にとても希望のもてる国であるという印象である。豊富な資源と雄大な自然、そしてあたたかい人々は、この国の宝だと言える。