今回は、赴任後1年頃をめどに提出した、第3号報告書です。
長い文章ですので、時間があるときにお読みください。
≪要約≫
活動の中間地点としてこれまでの活動をふりかえり、今後の方向性を確認することが本報告書の目的である。1年目は、私の本来の活動は、観察することおよび人間関係づくりを主にしていたため、これと言って成果を残せた実感がない。ただ巡回先の学校のうち、何校かは、とても熱心にアプローチをしていただき、今年は一緒に授業研究を行うことができそうである。それを踏まえて、今後、教員向けのワークショップを開いていくことも視野に入れるが、これはCIとの綿密な事前打ち合わせが必要なため、実施時期は、予定より大幅に遅れそうである。
また日本紹介のイベントに関しては、5月の隊員共同イベントに始まり、11月の日本とつなぐインターネット授業、下半期の折り紙教室、MASAジャーナル発行と矢継ぎ早にいろんなことに挑戦した。いずれも巡回先の学校からの評価が高く、今年度も継続して行っていくつもりである。
≪活動の進捗状況≫
現地の小学校の算数科担当教師に対して、指導補助をするという従来の活動に変更はない。特に一年目は、南アの教師たちの授業の長短所を書きつづる作業を行った。活動全体を通して言えることだが、配属先は教育委員会であるため、私の算数科の活動に対してのアドバイスは期待できない(学校巡回のためのアドバイスはある程度期待できる)。そのため、本来教員の授業研究をつかさどるCI(カリキュラムインプリメンター)との連携が重要になるのだが、なかなか連絡調整ができない。前任者のときと配属先と異なる現状から考えるとやむをえないので、今後もCIとの連携を探りながら、支援を行うつもりである。
またもう一つの柱である日本紹介に関しては、順調に行っている。特に『折り紙』は、南アの先生たちにも少しずつであるが、浸透し始めている。教科としては、算数科というよりArt&Cultureという教科(低学年では、LifeSkill)になるようで、一部の学校から継続的に授業の在り方を探りたいという打診も受けている。それらの学校側と打ち合わせしながら、開催の在り方を今後も模索していくつもりである。
≪着任後1年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決策≫
1年目にサーキット内の全25校のうち、22校を巡回してたくさんの先生の授業を見られたことは、とても有意義であった。彼らの授業の多くは、『一方的』、『単発的(非継続的)』であるため、なかなか児童の理解につながっていない。それらの対策として、1年目は、先生たち同士のつながりといまある教材を充分に活かすことに重点をおいて、活動してきた。
先生同士のつながりは、学校内でもばらつきがあり、なかなか難しい。そのため、私が媒介役になることで、各先生の授業の長所の共有が図れるようになった。2年目は、ワークショップを行う予定で、その際に、今度はサーキット内で、良い指導法の共有を行えればと考える。
次に、いまある教材を充分に活かすことですが、南アには、教師用の教材がそれなりにあるため、新たな教授法を探るというより、現状ある教材の使い方をしっかりと理解することが重要になってくると感じた。これはCIも同じことを言っているので、私もCIとともにどう活かしていくか考えたうえで、ワークショップを開くことを検討している。
≪現地支援制度活用計画≫
2010年11月下旬に、現地業務費支援制度を利用して、日本の小学校と私の任地内の小学校をつなぐインターネット授業を実施した。これにより日本と南アフリカ双方の子どもたちが、互いの文化に触れることができた。今年も同様のインターネットを通したイベントを企画していくつもりである。
また、昨年5月に私の任地に南アにいる科学隊員を呼び、隊員共同イベントを行った。日本紹介やサイエンスショーなどを通してJICAの存在を広く知らしめることができたと感じている。科学隊員をはじめとした協力隊員の得意分野を中心に、任地の子どもたちに伝えたので、日本の認知度アップに著しく貢献できたと感じる。したがって、今年も下半期に同様の企画を行えればと計画中である。
さらに、活動計画表に書いたとおり、南アの算数教育研究のNGOであるAMESAとの協力を今年は実施できれば活動がさらに有意義になると考える。AMESA主催のワークショップへの参加およびAMESA代表のいる大学の研究所の訪問も視野に入れるつもりである。
≪社会的な格差に関する所見≫
配属先であるマレラネ地域事務所をはじめ、巡回する各小学校においても男性より女性の方が多い。仕事内容にしても、力仕事を除けば男女がほぼ同様であり、待遇面で男女差があるとは聞いていない。また女性のジェネラルワーカー(用務員)もかなり見かける。もちろん、治安上の関係からか男性のほうが好ましい職種(乗合コンビの運転手など)もあるが、全体としては、ジェンダー問題を感じることはない。
しかし、ふと街をみると、能力があるのに仕事をもたない(もてない)若者が多数存在している。仕事を求める人も多いが、日本のような職業安定所などがないようで、求人情報を得られない。また、採用基準が不明確な企業も多いと聞く。
さらに、現在ムプマランガ教育省では、自国民教員の雇用を確保するために、国内の公立学校で勤務する外国人教員に対して、契約を延長しないなどの対策を採っている。その流れを受けて、外国人排斥運動につながらないことを祈る。
≪その他特記事項≫
1)MASAジャーナル発行
配属先の小学校に対して、算数科にいかせるクイズと日本紹介を記したMASAジャーナルを現在までに3号まで発行している。詳しくは、添付データを参照ください。
2)日本とつなぐインターネット授業の開催
2010年11月に日本と南アの小学校をつなぐインターネット授業を行った。今年度も要請があれば、行っていきたいと考えている。
3)折り紙教室の開催
こちらも巡回先の小学校で、主に低学年を対象に行っている。学校側から継続開催の申し込みがあるが、現状では、活動に支障のないように最低限でとどめる予定である。
4)国内旅行
年末休暇を利用して、ケープタウンおよびポロクワネに約1ヶ月ほど滞在した。私の任地とは違う景色がたくさん見られ、とても有意義な時間となった。治安面に気をつけて、今後も安全に活動する所存である。
なお、この第3号報告書には、
添付書類として『活動状況表』と『MASAジャーナル』を提出しました。
活動状況表については、読んで字のごとく
活動状況の報告と今後の活動計画の変更点を記載しました。
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