お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

グリュンヴァルト城塞 & 城館ホテル グリュンヴァルト

2021年07月20日 | 旅行

バイエルン州のイザール渓谷は、1048年の古文書にその存在を記載されている古い地域だ。そこに1293年、狩猟用別邸 „グリュンヴァルト城塞“ が建てられ、この土地の名が „グリュンヴァルト“ になった。そして城塞は1486年から1487年にかけて、恒常的居城として使おうと改装及び拡充された。ところがその後 ”フランス風” が時代の流行になった為、しだいにおろそかな扱いを受けるようになり、フェーメ裁判(古くヴェストファリア地域において行われた、民衆的な特別手続きの刑事裁判)の牢獄、国家的犯罪者の拷問施設、火薬庫、そして死刑場といった使われ方をした。現在はミュンヘンにある国立考古学博物館の別館になっている。

  

グリュンヴァルト城塞 1 & 2

 

グリュンヴァルト城塞 3

私が宿泊した „城館ホテル・グリュンヴァルト“ は当時の狩猟用別邸グリュンヴァルト城塞に付属していた猟師の館で、すぐ隣に位置している。1879年にパウル・ツァイレルという彫刻家が手に入れてレストランになった。その後、この文化財保護の対象となっている建物は根本的に改装修理され、近代化されて、2001年に城館ホテル・グリュンヴァルトとして生まれ変わった。

 

城館ホテル・グリュンヴァルト

グリュンヴァルトは、緑の森という名の小さな村である。ミュンヘンから南南西に15キロぐらい離れ、イザール谷を望む高台にある。イザール川に沿って片側の堤防には良く整備された遊歩道とサイクリング道が、もう片側は林の中の川淵に自然に任せたトレッキング道がどこまでも続く。浅い川の水が透きとおっている。

グリュンヴァルト城塞の遠景

この瀟洒な村はミュンヘンの市電の終点になっていて、ミュンヘンからタクシーで約30分なので市電だと結構な時間がかかるだろうが、のんびりと市電で来てみるのも良いだろう。タクシーの運転手の話によると、この村には有名なサッカーチーム、あの „バイエルン・ミュンヘンの選手とOBが多く住み、ミュンヘンまでの道沿いにはチームの施設、事務所、練習場、リハビリ施設などがあるそうだ。サッカーの関係者以外でも億万長者が多く住んでいるらしい。なるほど、外国人労働者や不良っぽい青少年を見かけない。腹の出たおっさんが見当たらない。人畜無害そうな人たちと育ちのよさそうな子供達が道路を往来する。「喜んで。」とか、「失礼しました。」いう言葉がよく耳に入る。周りに遊歩道が沢山あり、ゆっくりと時が過ぎていく静かな村である。通常あまり品格のない中華レストランであるが、この村のそれは小奇麗でモダンで、客はいかにも金持ちらしい老人が多い。注文すると、「はい、喜んで。」と答える。メニューには料理にグルタミンを使っていないことを明記してあり、控えめな良い味を提供している。

 „城館ホテル・グリュンヴァルト“ は城館というには非常に小さい建て物で、ごく小さなレセプションの脇の螺旋階段を上って行く小さな広間に重厚な家具と大テーブルと椅子があり、この広間から8つの客室に行くようになっている。私の部屋はシングルで小さいが、改装して比較的間近いからか清潔感があり、良い材質の薄茶色の家具が配置してある。ただ事務机がないのが残念だ。シングルにしては広めのバスルームも良い建築材を使っている。天井の高い部屋には英国風庭園の絵とアヤメの花の絵がかかる。気持ちが落ち着く部屋である。連泊したら2日目には全部のタオルを新しく変えてくれた。このカテゴリーのホテルでは今までまったくなかったことである。

  

階上のロビーから下 ・ 階上のロビー

 

私の部屋 1 & 2 

私の部屋 3

夕食は „城館ホテル・リストランテ“ で。名前から分かるように、イザール谷を望む広いテラスがあるイタリアンレストランであるが、これといった特徴はない。設えも色も部屋の家具と同様のものを使っていて落ち着く。 „本日のお勧めメニュー“ を頼む。

レストラン

前菜は熱々の皿に面白い形のパスタがのり、それにリコッタチーズとチコリーを混ぜたものが詰まっている。ナッツのソースと胡桃の欠片がかかり、パルメザンチーズの薄切りが散らされている。惜しむらくは味にぐっと来るものがない。パスタにナッツソースは合わないのではないだろうか。さすがイタリアンレストラン。パスタの茹で方は申し分ない。

メインディッシュは魚か子牛のレバーか選べるので魚にした。白身の海魚のフィレを3個焼いているのであるが、もっと皮をパリッとさせて欲しかった。その下にアーティショッケン、ポテト、ズッキーニ、ブロッコリの煮たのんがある。海老ソースがかかり、真ん中に海老1匹と装飾の葉っぱがのる。まずくはないが、もっと海老ソースの味が濃いほうがいいと思う。海老が一寸古いかな?

デザートはアイスクリーム、プリン、ティラミス、果物の盛り合わせ。色合わせが美しく、それぞれに美味しい。

デザートの前にコーヒーの注文を聞いて、デザートを食べている途中にエスプレッソを持ってくるのは客主体のサーヴィスではない。

イタリア人らしく、給仕が皆明るい。そしてがさつである。サーヴィススタッフ同士でイタリア語で大声で話したり、客との口の利き方が特に老人に対してぞんざいであるのは、聞いていて気分が悪い。

まあ、イタリア料理として可もなく不可もなくと言ったところか。しかし給仕を含めた評価からいうと、もうここでは食べたくない。

ドイツの城館ホテルで純粋なイタリア料理は珍しい。多くの客で大々的に展開しているこのレストランはホテルと経営者を同じくするものの、経営自体はお互いに独立しているそうで、勘定を部屋に付けてもらえなかった。

朝食も同じレストランで取ることになっている。全体的にはスタンダードな朝食を供するが、シャンペンがあり、オレンジジュースは絞りたてであり、銘柄の良いお茶を使っている、ヨーグルト類が市販のプラスチック容器の物だが、氷の上に置いている。良いものを少しだけという私の理想に近い朝食になった。他に宿泊客が居ないから、もっとお茶はどうか、とか、卵はいらないか、とか聞いてくれる。ちなみに、給仕はドイツ人の若い女性である。

グリュンヴァルト城塞は由緒があり、それなりに名は知れているらしいが、ホテルの存在感が薄いと思う。滞在そのものを楽しむというよりもビジネスホテル的な機能のホテルで、私には再訪の興味はない。

〔2011年4月〕〔2021年7月 加筆・修正〕

 


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