11日間のペロポネソス半島旅行を終えて、最後の夜は再びアテネの空港ホテルです。
その日のフロント係によるのでしょうか、チェックインのときの勝手が11日前とは少し違います。先回はごく普通だったのですが、今回は宿泊費を全額前払いで帳場を閉めてしまったため、部屋の冷蔵庫のキーをくれないし、(後で知ることになるのですが)レストランでの飲食費の部屋付けも出来ませんでした。客の自由を制限する、まったくもって良くないシステムですね。
セットされた晩餐のテーブル ・ ギリシャらしい船舶の装飾
パン と オリーブ油 と バター
レストランでも今回はシェフの挨拶の突き出しが出てきません。白黒パンとバターとオリーブ油だけです。先回はオリーブ油がなかったような、、、? 飲み物はあいも変わらず妻はシャンペンと地元の赤ワインで、私はノンアルコールビール。
前菜のひとつは牛肉のカルパッチョです。トリュフ風味のオリーブ油がかかっていて良い香りです。しっかりと極薄に切っています。ケイパーとチーズとサラダ菜と棒状のパンが上にのっています。
カルパッチョ ・ サーモン と その他の前菜
もうひとつは自家製のマリネードに漬けたサーモンで、これが穏やかな味で旨い。その他にもいろいろと皿にのっています。酢漬けの小キュウリとケイパーはたやすく想像できる味でした。玉セロリの根っこの薄切りはあまり味がしません。パンはまさに日本の昔の牛乳パンで、なつかしく食べました。金属の柄付き容器に入った料理は、少量の野菜が混ざっていますが、〈あわ〉でしょうか〈ひえ〉でしょうか。食感は良いのですが味はうすく、何とも形容しがたい味です。そして陶器の小鉢に入ったクリーム状のものですが、メニューには〈horseradish sauce〉とあります。〈ウマ・ダイコン・ソース〉ですか? 馬と関係があるとも思えませんし、大根の味もしません。これも薄味で何の味かよく分かりません。サーモンにつけるのでしょうかね? 何だかクエスチョンマークの多い前菜ですが、盛り付けは結構いいですね。
さてメインの料理ですが、メニューに先日はなかったギリシャ料理の項目があります。迷うことなく、その中から伝統的な〈ムサカ〉と〈クリタロト〉という料理を注文しました。
ムサカは私たちが知っているとおり、ジャガイモの薄切り、牛のひき肉、ナス、ズッキーニにたっぷりのホワイトソースをかけてオーブンで焼いています。熱々で美味しいのですが何とも重い。胃にズシンときました。
ムサカ ・ クリタロト
もうひとつのクリタロトという料理をひと目見て、「あっ」と思いました。そうです、そうなんです。1週間ほど前にミケーネ古代遺跡で食べた、おそろしく不味かったあれと同類の料理です。大きな米粒の形をしたヌードルを見てすぐ分かりました。ただ、今夜のは牛肉ではなくて海老とライムの皮入りです。そうなんだ。これもギリシャの伝統料理なんですね(シミジミ)。しっかりした味付けは海老のエキスとライムの酸味です。上にのったチーズ&ポテトのカリカリ薄焼きが、味といい食感といい、良いアクセントです。全体的に大変美味しい。同じ様な料理でも料理人の腕によってこうも違うものなんですね。ただ、伝統ギリシャ料理は庶民の食べ物らしく、美味しくても繊細さに欠けますね。このホテルのレストランには似合わない料理です。
ギリシャコーヒー
食後にギリシャコーヒーを飲みました。底に〈おり〉が溜まるトルココーヒーと同じものです。私は普通のエスプレッソの方が好きですね。先回の飲食時にはコーヒーを頼まなくても数個のひと口チョコレートが出てきたのに、今夜はありません。サーヴィスに一貫性が無いのはギリシャの特徴かな。それともこのホテルの怠慢かな。
今回何度かレストランで食事をしましたが、やはり高級レストランで食べる料理は美味しいですね。何だか、よく考えて調理していると思われます。
朝食時にもサーヴィスの一貫性がありませんでした。
私たちの朝食は少なくていいので、また簡単なコンチネンタル・ブレックファーストにするつもりでしたが、
「同じ値段で最高級の朝食を供するサーヴィスはいかがですか。」
というので、もちろん承諾しました。
今朝は宿泊客が少ないのでしょうか、昨晩のレストランを朝食場にしています。ビュッフェにある食物が多すぎて、ほんのいち部しか取れません。
朝のレストラン ・ リンゴジュース
オムレツ ・ 朝食
デザート
意地汚くたくさん食べたので、腹いっぱいになってしまいました。
気が遠くなるほど古い遺跡の数々と心根の優しいギリシャ人に触れた休暇旅行でした。また近いうちに訪れようと思った次第です。
でも、ひとつだけ気になることがあります。トイレです。ギリシャではどこでも便器の横に大きめのゴミ箱が置いてあって、使った紙を流さずにその中に入れるのです。唯一の例外は空港ホテルの客室でした。偶然出会ったギリシャ生活が長いドイツ人が言うには、ここはドイツと違い下水道ではなく下水管が通っていて、その管が細くて詰まりやすいのだそうです。洗面所の中に何となく臭気と不潔感が漂っているようで気になります。
〔2018年1月〕〔2023年11月 加筆・修正〕