牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

12月17日(火) 「聖書的説教とは?⑪」 渡辺善太著

2013-12-17 09:19:11 | 日記

 著者は聖書的説教の種類として、「聖句説教」、「段落説教」、「一書説教」、「Bible Reading」の4つを挙げたが、まず「聖句説教」について説明をしている。

 本からの引用。「聖句説教とは、一つのテキストを聖書中から取り出し、それを説教者の信仰的・神学的・牧会的操作によって、一つの説教として構成するものである。、、、、この説教は誰にでもできそうに、たやすいようにみえるが、実は非常に難しい。」

 まとめると著者は以下のように書いている。聖句説教の準備として、基礎的準備、思想的分析、説教的総合の3つがある。
 基礎的準備は、そのテキストにおける「語」の意義決定、「句」の正しい理解、そのテキストの「文章」としての性格の理解の3つである。

 本からの引用。「そのテキストの「文章」としての全体的意義の理解が肝要である。まずそれは注釈的に、その文章の前後関係(コンテキスト)からの理解、次にこの文章のおかれている段落における位置と意義、終わりにその書物全体におけるその文章の位置と意義との把握が十分になされなければならない。」

 次はこれを説教とするための分析と総合が続く。基礎的準備でテキストの文章が何を言っているかを客観的に学んだ後、説教者自身がそのテキストを「個性的に味わった」分析とそれをまとめあげる総合が必要になる。

 
 「注釈者にすら何でもなく見過ごされるような一文章がその説教者に、大説教をさせるテキストとなったということがある。それが聖句説教本来の意味である。」

 著者も書いているが、一文章を取り上げる聖句説教は簡単そうに見えるが難しいと思う。特に内容を充実させる難しさがあるのではないだろうか。普通に説教すると(よく準備しても)内容が薄っぺらいものになってしまうがちである。自分自身が説教をしても他人の説教を聴いてもそのように感じることが多い。

 聖句説教で優れている説教者は、19世紀イギリスのロンドンで牧師をしていたチャールズ・スポルジョンだ。彼の説教内容には驚嘆させられる。彼の説教を読むと感動すると同時にますます聖句説教の難しさを感じてしまう。時には自信をなくすことすらある。