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ノーカントリー

2008-03-24 | 新作
狩りをしていて偶然銃撃戦の現場を発見し、現金200万ドルを手に入れたルウェリン・モスを、200万ドルを奪い返すよう依頼された殺し屋のアントン・シガーが追う。保安官のエド・トム・ベルは追われるモスを保護しようとする。

シガーはボンベが付いた独特な銃を使い、偶然会っただけの人間や自分に協力してくれた人間を冷淡に殺していく。一方、モスも他人を頼ろうとしない孤高の男で、家族を安全な場所に逃がし、200万ドルが入ったスーツケースに発信器が入っていることを見抜き、シガーに反撃する。どこか似ている二人によって緊迫感あふれる追跡劇が展開され、引き込まれた。

しかし、追跡劇があっけなく終わったところで展開がまったく理解できなくなってしまった。途中までは「凶悪な敵を間一髪でかわしつづけ、最後にギリギリのところで倒す」というハリウッド映画の定番ストーリーに沿っていたので、そういう作品として見ていた。それが失敗だったようだ。シガーの不条理な連続殺人を追いかけるつもりで見ていればアカデミー賞を取った理由が理解できたかもしれない。

公式サイト:http://www.nocountry.jp/
評価:★★★★
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2 コメント

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『ノーカントリー』がアカデミー賞をとった理由について。固人的な感想 (Chisaton)
2008-03-24 20:43:40
タイトルである「ノーカントリー」
そのまま内容に直結していると、映画監督であるコーエン監督は言う。
西テキサスでは犯罪の種類が最近大きく変わった。
国境に近い場所で起こる組織ぐるみの麻薬取引。それにともなう犯罪。
地元の保安官は時代の移り変わりを、つまり保安官の力が及ばない犯罪の領域を自分への個人的な攻撃と感じている。

と、インタビューでコーエン監督や主演演じるトミリー・ジョーンズは言っているが、映画はそれらをあまり感じさせず、むしろ肉づけとなっている部分が目立つ。しかしながら、ノーベル賞をとった理由はそこにあるのかもしれない。
観た人たちには、それぞれのバックグラウンドがある。そして、ベトナムや良心や、運命といった彼らが共感できるものが散りばめられている。それが、一般に良い作品(批評家の票を集める)といわれる。アメリカが映画同様寄せ集めの要素が強い国だからかな?
しかしアメリカじゃなくても、100年前のフランスでは、複雑な状況をふまえた上で一つの道筋を単純化して表現している作品は評価されてる。セザンヌやマティスの絵が良い例なのでは?その視点からみると、この映画は、なにか物足りなさを感じさせる。私だけでしょうか?
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コメントありがとうございます (kazhik)
2008-03-25 06:28:23
Chisatonさん、コメントありがとうございます。

ベトナム戦争後のアメリカの状況をシガーに仮託して描くのがこの作品のテーマだったのかもしれません。アメリカ人は深く共感できるが、日本人にはなんだか分からない。そんな作品だったような気がします。
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