かやのなか

あれやこれやと考える

カメラを止めるな!(感想・ネタバレあり)

2019-10-13 22:19:09 | 映画
ようやく観たので感想をば。

ところで基本的に私は未見の映画のネタバレを気にしない方なので、特に自衛を講じたりはせず、時には観る前に積極的に評判を調査することもあるが、この映画に関してはネタバレを見なければ良かったと途中で後悔した。多少のネタバレ気にしない勢のみなさんも、気をつけた方がいいかもしれない。

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さて感想。前半のワンカットワンシーンの35分間は楽しめた。手持ちカメラによるカメラワークも、ブレア・ウィッチ・プロジェクトでは酔いそうだったが、今作では大丈夫だった。(スマホの小さな画面で観たせいかもしれないが)

しかし、中盤からいわゆる本編が始まると、急に面白くなくなった。
それが劇中劇だというネタバレを知っていたのも、楽しめない一因だったと思う。
「え、なになに、どゆこと?!」という戸惑いさえあれば、本編の懇切丁寧な人物紹介と背景説明のシークエンスが乗り切れたかもしれないからだ。
しかし、実際ネタバレがなかったとしても微妙な構成だと思った。
なぜなら前半は劇中劇ですよ、っていうのは、それが終わった直後にわかってしまうので、それについてどんなに細かな説明をされてもくどいだけだ。例えば音響機材を運び込むカットは明らかに不要なのでないか。血糊を役者にべとべと塗りつけるシーンは必要だと思うが。主人公である監督の家族関係のくだりは、どうだろう。若干ストーリーから浮いていると私は感じた。

しかし、これがいよいよ撮影シーンとなり、舞台が廃屋に移ると再び面白くなってきて、そのまま最後まで引き込まれて観ることができた。

要するにスピード感なのかもしれない。ワンカットワンシーンの前半はジェットコースター的なスピード感がある。しかし本編が始まったとたんに急にブレーキをかけられ、さんざん解説員に出し物の説明を聞かされ、お勉強したのちに、再びいってらっしゃいとばかりにアクセルが踏まれる。せめて出し物の説明が面白かったり、もっと工夫があれば良かったのだが、今の所ひたすら後半の”怒涛の伏線回収”のための伏線を貼る時間にしかなっていない。
そうなると、中盤を思い切ってカットし、後半を撮影準備のシーンから始め、そこに人間関係の説明も撮影背景も何もかも詰め込む構成にし、欲を言えばそれをワンシーンワンカットで撮ってしまえば、さらに面白くなったんではないだろうか。。。なんて、言うのは簡単でやるのは難しいというのは、承知の上だが。

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しかし事前のネタバレでは「前半の劇中劇はつまらなくて、中盤から面白くなる」というものだったけど、劇中劇を難なく楽しめてしまった自分は、この一ヶ月間ウォーキング・デッドを観まくって、体内にゾンビ映画耐性というか、ゾンビもの抗体みたいなものができてしまったのかもしれない。


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