かやのなか

あれやこれやと考える

2019年末観劇ラッシュ

2020-01-20 00:35:38 | 
あけましておめでとうございます。

年末から年始にかけ、わりと多く舞台を鑑賞しましたが、感想を書くスピードが間に合わず。
とりいそぎ年末観た芝居について、覚えているだけのことを記します。

・イキウメ 終わりのない@世田谷パブリックシアター
前川知大氏の舞台の初観劇。散歩する侵略者の映画版のみ予習済。
円形の舞台が美しかった。
オデュッセイアは読んでいない。
現代から宇宙空間へと突然舞台が飛ぶ。それ自体はワクワクしたが、宇宙の話が始まってから膨大な説明セリフのターンになり、ちょっと冗長かもと感じ始めてふと隣を見たら一緒に来た一般人の連れは寝落ちしていた。
主人公の苦悩に対して、祖先のような老人から、イマドキ古臭い激励の言葉が与えられるが、舞台上でそれを聞いた客が感じる若干の居心地の悪さはもちろん計算の上だろうし、この居心地の悪さを体験するのが演劇の醍醐味かもしれない。
中絶され、生まれてこなかった主人公の子供についても絡めていくかと思ったら、そんなことはなかったのは、なんだかもったいないような。
一種の生命賛歌なのだと思う。

・inseparable 変半身@東京芸術劇場シアターイースト
友人の勧めで観劇。
近未来のゾンビものだが、まず登場人物が森の中を歩き回る気があると思えない衣装。
特に足元がおろそかなので、虫に噛まれたらどうすんだとか、ひょっとして虫とか消滅した世界なのか?とか余計なことを考えて、世界観を飲み込むのに時間がかかった。デザイン重視なのかもしれないがかえってスッキリしない。
セリフが説明的にならないようかなり気を使っていたような感じがしたふが、セリフで頑張らない部分をビジュアルで説明できたのではと思う。
ゾンビものだった。
儀式に使われる小道具や、儀式の作法やなんかは、あまりにもテンプレすぎるのだが、作者のインタビューを読むと狙ってやったものらしい。
しかし、なんとなくだが全体的に「土着の文化」をただ上から目線で馬鹿にして扱っている感じがし、私はあまりいい気持ちではなかった。

去年の青年団の「分子が小説を書く」的な話といい、イキウメといいこれといい、
「スピリチュアルなことをふわっと科学っぽくやるのが、演劇界の流行りなのかな?」と、友人が言っていて、笑ってしまった。
私は前川氏は他の作品とはアプローチが異なると思うけど、青年団とこれについては同意で、スピリチュアルなものに説得力をつけるのに、熱量とか生命力ではなく、科学を採用しようぜということだろうか。そのほうがスマートにみえるんだろうなとは思う。

・シスター・アクト@池袋シアターオーブ
ありがたくもチケットをもらったので鑑賞。
さすがはブロードウェイ・ミュージカル、全体の舞台の構成は練り上げられてた。照明と舞台装置の大移動と役者の着替えと、もろもろの連動。
でも話自体は映画のほうが面白かった。
出演者のほとんどが50オーバーとあとから知って驚愕した。
終演後に観客も一緒になって踊るノリにはついていけなかった。
エンターテイメントを成立させるには、技術力が必須ですね。

・ワラフラミンゴ 12月のワワフラミンゴ「くも行き」@東京芸術劇場シアターイースト
友人の勧めで鑑賞。
これは12月に観た芝居の中で私的に一番おもしろかった。
おお、これぞ東京の”笑い”・・・と途中ではっとするタイミングがあった。
単純に面白いとあまり語ることがない。
途中、自分がどれほどの鳥目なのかを試されるシーンがある。
シスター・アクトの真逆に位置するような作品だったが、楽しかった。
ときには客を信頼し客に無茶振りさえすることの大事さを学んだ。

・根本宗子 今できる、精一杯。@新国立劇場
アイドル出身の子を初めて生で観た。
ヒモ男が歌い出したらうますぎて(音楽担当だった)、お前スーパーなんかで働かなくともその歌で十分食ってけるよと心のなかで突っ込んだ。
ミュージカル的に始まり、会話劇となり、音楽劇っぽいのも挟まり、バレエ踊る人もいたりしたが、ラスト10分で一斉に叫び系になる。
この人の芝居は若い人に受けていると聞いていた。
ここまでウワーって全部言葉にして叫ばないとやってらんないのか、若い人はそういう行為に共感しちゃうのか、と考えていくと、ずいぶんやばい世の中だなと暗い気持ちになった。
でも二十代三十代の人間が「私”が”!今!!!こう感じてるんだよ!認めてよ!!!!」とジタバタすんのはいつの世も同じかもしれない。そんなもんか。
このブログもそうですし。
ラストはさておき、会話劇のやりとりは面白いしテンポもよいし、二十代でこれをお書きになったと思うとただただ嫉妬・・・いや、よかったです。

・赤堀雅秋 神の子@本多劇場
友人の勧めで。
いわゆるテレビでよく見る芸能人が沢山出ている芝居で、笑いをとりにくるネタもそれ系が多かった。
更にでんでんがしゃべるたびに観客が笑うのだが、笑っちゃいけない場面でも笑われてしまっていた気が。
赤堀雅秋氏が演じる、急に怒り出すじじいが良かった。
あの二人が(おそらく)新興宗教団体の家庭に生まれた子であるという設定は、本当にラスト付近まで隠さなければいけなかったんだろうか?
ストレートなストーリーに観劇直後はちょっと拍子抜けしたが、一月経つうちに、あとからふと思い返してあのシーンは・・・と考えることがある。
楽日あたりにもう一度観たら、結構変わったものになってそう。

いっぱい観たな。

1月分は明日以降。


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