かやのなか

あれやこれやと考える

負の遺産

2020-07-28 01:18:19 | ショートショート
団扇が壊れたので補修した。タダの団扇ではない、今は亡き京都の河原町のマルイで購入した、無駄に和紙の地紙に、無駄に竹の骨と柄が用いられた和な一品で、確か1300円くらいした。こういう物はショッピングモールとか駅のコンコースとかでタダで配っているのを使えば十分であろうというご指摘はもっともで、今よりも更に頭のねじがユルユルだった時代に散財した名残、負の遺産のうちの一つだ。この団扇、柄の要の部分に溝が切ってあり、そこに頭を差し込む構造になっているが、使っているうちにぐらぐらと頭が揺れてきて、ある日すぽっと外れてしまった。もったいないので木工用ボンドで補修しながら根気よく使い続けているうちに、徐々に「1300円もしたのに・・・」みたいなもったいなさだけでない、本当の愛着のようなものが湧いてきつつある。
ちなみにこういう”負の遺産”は他にもあり、無駄にドイツ製の鉛筆削りとか、無駄にACTUSのグラスとか、無駄に岩波の理化学辞典とか、無駄にポールスミスのスカートとか・・・書いてて頭が痛くなってきた。

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