かやのなか

あれやこれやと考える

帰り道

2021-10-14 23:47:51 | 日々のこと
空がぼんやり薄紫色にそまった夕暮れどき、風が気持ちよかったので、バスに乗らず駅まで歩いて帰った。大きな十字路を2つ越えると駅なのだが、2つめの十字路の向こう側にチャペルの塔の先のようなものが見えるのが、いつも気になっていた。結婚式場かラブホテルのどちらかだろうと考えて、結婚式場とラブホテルって似たようなものじゃないかとふと思う。とことん合理性を突き詰めた現代的なカップルなら利用するかもしれない。いや、お見合いの方が合理的か。自由恋愛も突き詰めるとお見合いになるのではないか。結婚後の生活は恋愛とは別だ。
犬を飼っていると、彼らも案外繊細で気分屋なことがわかるが、人間ほどは他の存在を気にしない。自分が飛びかかりたいと思ったら即座に飛びかかるし、遊びたいときは相手の事情はさておいて遊びをしかけてくる。ただし本気でこちらの都合が悪いときは彼らなりに察して手加減してくる。つまりこちらの「気分」なんてフニャフニャしたものは端から気にかけていないため、嘘が通用しない。
犬並みに純粋な本能で生きているカップルなら、ラブホテルと結婚式場の併用施設を上手に利用してくれると思う。市役所の隣に建てられればなおよい。反対側の隣には産婦人科を備えた総合病院、通りを挟んだ向かいにはららぽーと、ららぽーとの中には明光義塾と映画館と歯科が入っている。ららぽーとの奥には墓地へと続く道があり、道沿いにはザリガニ釣りができる小川が流れているはずだ。トヨタが建設中のスマートシティには、あのチャペルの鐘が鳴るのを期待している。

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