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12/16 慶應ワグネル男声合唱団第148回定期演奏会(2)(長文)

2023-12-19 05:00:00 | 音楽

12月16日(土)、第148回慶應ワグネル男声合唱団定演を聴く
(於東京芸術劇場大ホール)。私が4年生だった時からはや50年。

いつもながら臨場感のメモ--長文ご容赦のほど。

今年のプログラムメンバー数は以下のとおり。

  Top Sec. Bari. Bass
4年 3 2 2 2 9
3年 3 3 5 2 13
2年 3 2 2 2 9
1年 6 5 5 4 20
15 12 14 10 51

・昨年は、計54人。今年は51人。
・昨年の4年生19人が卒業。1年生が20人加わった。
・昨年の1~3年生:35人。→今年の2~4年生:31人。

<プログラム>
慶應義塾塾歌
 作詞:富田正文 作曲:信時潔
1.『Laudes de Saint Antoine de Padoue』(
パドヴァの聖アン
 トニウスの讃歌)
 「美しい人よ、もし我らが」(『8つのフランスの歌より』)
 作曲:F.プーランク 指揮:佐藤正浩
2.男声合唱曲集『東洋民謡集Ⅳ』
 作曲:池辺晋一郎 指揮:キハラ良尚
3.男声合唱とピアノのための組曲『鎮魂の賦』
 作詩:林望 作曲:上田真樹 
 指揮:金岡翼 ピアノ:永澤結衣
--休憩--(20分)
4.男声合唱『若者たち』昭和歌謡に見る4つの群像
 編曲:信長貴富
 指揮:佐藤正浩 ピアノ:前田勝則
5.男声合唱とピアノのための『Fragmentsー特攻隊戦死者の手
 記によるー』
 作曲:信長貴富
 指揮:佐藤正浩 ピアノ:前田勝則


以下、いつもながらつたないコメントにご容赦を。

慶應義塾塾歌 (<概算>人数:50人。以下同じ)
キッチリとハモった塾歌。今年は甲子園でも歌われたが、いつも
ながらいい曲だ。

1.『Laudes de Saint Antoine de Padoue』(パドヴァの聖アントニ
 ウスの讃歌)

 「美しい人よ、もし我らが」(『8つのフランスの歌より』)
                        (45人) 
~プーランク没後60年に際して~
佐藤先生の十八番といってもいい、プーランクの「聖と俗」の世
界。すべてア・カペラの合唱。
前半は西洋伝統の、一種の「教会音楽」だ。
fもあり、ppもあり、Topには高音もあり、決して易しくない。
若々しい声による、薄いハーモニーがすばらしい。前半4曲でい
ったん拍手。

後半はフォーメーションを変更。何といったらいいのかしらん、
ややマドリガル風の、これはフランス語のおもしろい曲だった。

2.男声合唱曲集『東洋民謡集Ⅳ』        (50人)
(高さ50cmほどの指揮台が運び込まれる。譜面台はなし)
小澤さんのアシスタントとして、キハラさんの名前を私が知った
のは20年近く前になるかしらん。ドイツ留学を終え、オケとオペ
ラと合唱の指揮者として活躍中だが、ワグネルの定演に登場され
るとは!
池辺さんの同曲も名前は知っていたが、聴くのは初めてだ。

(1)オスマン・トルコの近衛兵軍楽隊の歌。ヤーヤーヤーといき
なりのフルボイス(音取りはいつ?)。キハラさんは実にキッ
チリした、打点のハッキリした、イン・テンポの指揮。
(2)一転、ゆっくりした、pを基調とした「刈干切唄」。ノドの
力が抜けた、若々しい声による、腹式呼吸のlegato唱法(腹式呼
吸でなければlegato唱法は難しい)。
近年のワグネルはこのようなものが実に上手い。

(3)(30秒近く間を空けて)「tin ti-li ting ting・・・・・・」で始まる。
「コラーー空を舞うコウノトリ」というヴェトナム民謡。ここ
でもキラハさんはキッチリ拍を刻んでいく。左手をあげ、サイ
ンを送ると「手拍子」が始り、再びのサインでストップ。おも
しろかった。

キハラさんは演奏後、上手寄りからワグネルに拍手を送り、お
じぎ。再登場後、下手寄りから盛んにワグネルに拍手し、退場
した。
「どや顔」をされない、「謙虚」な方だ。

3.男声合唱とピアノのための組曲『鎮魂の賦』  (50人)
この曲は混声オリジナルを含め数回聴いている、ある意味人気
曲。日本語による「無宗教レクイエム」だ。
永澤さんは深緑系のすてきなスカート/ドレスで登場。高岡さ
んはやや緊張気味のおじぎ。
(1)金岡さんは指揮棒なしの、大きな指揮ぶり。「一度っきりの
ことだったよ」は、キツイ撥音ではない、柔らかい歌わせ方。
(2)美しい前奏のタッチがすばらしい(タッチが進化している)。
rit.などよく振っている(というか、よく声がそろっている)。
pの「帰ろう~」がなかなか音楽的だ。

(3)「鎮魂の呪(じゅ)」。ア・カペラのソロあり。全体的には
緩-急-緩-急。まったく破綻のない演奏だが、改めて聴くとこの
曲は意外と難しい。
(4)ソロが続々登場。若々しい声がうらやましい(笑)。大きな
指揮ぶりから大きいデュナーミクだ。
(5)ここでも前奏のピアノが活躍。「はた と破れ」の休符が生
きている。「それが命のいうものじゃないか?」にグッと来る。

--休憩--
1階右側のドリンクコーナーで何人かと談笑。
元責任者のB府さんを見つけ、「頑張ってる?」と声を掛ける。
T石さんご夫妻に「ご無沙汰しています。同期のY川さんが探
しておられましたよ」。
T村さんは大阪で一日文楽を鑑賞することがあるという。
同期のK江さんからは「新年会出るでしょ?
」。
E藤さんを見つけ、「お江戸、聴いていますよ」。


4.男声合唱『若者たち』昭和歌謡に見る4つの群像 (50人)
「第4、第5ステージは続けて演奏いたします」とアナウンス。
ステージがセミ暗転のまま、全員が黒シャツ黒ズボンで登場。

(1)いきなりのア・カペラ--じつにゆっくりと「戦争が終わって
僕等は生まれた」が歌われ始めると徐々に100%の照明になる(ま
ったく余談だが、北山修は、「反戦第一」というよりも父親から「お前たちは戦
争を知らないから」といつも言われていたことからインスピレーションを受けた
ようだ。→こちら)。
ゆっくりしたテンポだと、「意味」も重くなる。途中から入るピ
アノ伴奏が「現代曲」風でおもしろい。佐藤先生はゾーンに入っ
た、力強い指揮ぶり。
(2)「拝啓大統領殿」は知らない曲だったが、個人的にはグッとく
る歌詩と曲。
(3)「ヨイトマケの唄」が流行ったのは私の高1時代だが、当時は、
「高校生活」も忙しく、意味も分からず耳にしていた。ここでは
ステージに広がっての、お腹の底からの絶唱だが、芸術性をキー
プした合唱だ。

終曲「若者たち」は歌われず。
(20秒近い間があり、そのまま第5ステージへ)

5.男声合唱とピアノのための『Fragmentsー特攻隊戦死者の手
 記によるー』
テノール・ソロによる「あんまり緑が美しい」から始まり、特攻
隊戦没者の手記(遺書)による歌詩が続く。佐藤先生は腰を落ち
して、渾身の指揮。「あの時代」(そういう時代)がよみがえる。
「はっきり言うが俺は好きで死ぬんじゃない」は、迫真のせりふ。
会場の若い女性がすすり泣き。

「去年の暮れ、養成所まで(お母さんが)会いに来てくださった」
では、突如、気丈な祖母が習志野部隊まで出撃間近の伯父の面会
に行った話を思い出した。
小泉さんが訪れて号泣したという知覧には一度行ってみたい。

最後に「若者たち」1番から3番までが、それぞれテンポを変えて
歌われた。

カーテンコールでは、何人いただろう、いずれ劣らぬソリストた
ちが次々に紹介され、拍手が続く。
前田先生も下手寄りで盛んに拍手。

カーテンコールも終わり、佐藤先生がマイクを持って登場。
以下先生のトーク(趣旨)をかいつまんで・・・・・・
・9人の4年生が卒業します。彼らが入ってきた年は、コロナで大
 変で六連、四連もなく、定演の練習を始めたのは10月でした。
・来年は、早慶男女合同演奏会を行います。「山脇さんにやった
 ら」と。
・今年はWAGNER FESTも無事開催でき、やっと(昔の状態に)戻
 ってきました。
・「戦争は絶対起こしてはいけない」という想いから選曲しまし
 た。学生は、当初必ずしも乗り気でなかったのですが・・・・・・。
・今年は60歳になりました(大拍手)。仕事も多忙になってきま
 したが、畑中先生を見習って、できるかぎり頑張ります。
 (下手から現役が再登場)
・では、ブレザーへの着替えも済みましたので・・・・・・
アンコールとして、Nコンの課題曲、信長さんの「鳥よ空へ」を
お送りします。
「発語」の上手い合唱!

続く、キハラさんのアンコールは「月光とピエロとピエレットの
唐草模様」。
まことにキッチリとした指揮にキッチリとした、アンサンブルを
崩さない演奏だ。

最後は、金岡さんと永澤さんによる「くちびるに歌を」。
ピアノのタッチ、合唱のデュナーミク、アンサンブルよろしく締
めくくる。

恒例、ステージストームは
「若き血」
「我ぞ覇者」
「丘の上」
「丘の上」は、1番の最後に指揮者が4年金岡さんから3年千葉さん
に引き継がれ、4年生が久しぶりに堂々と肩を組んでのゾリとなっ
た(よかったね~)。


今年に限ったことではないがが、近年のワグネル(現役)の演奏
は、リズム、音程、発声、アンサンブル、音楽性(芸術性)と、
いずれもハイレベルだが、どこかとの「競争」ではなく、女神
ミューズ(ムーサ)の前に謙虚というか、「どうだっ、俺たちは
上手いだろうっ」ということを少しも感じさせない点が何よりす
ばらしい。
佐藤先生初め、歴代の先生方の影響も大いにあるのだろうけれど。

上手くなればなるほど謙虚になる。藤井聡太さんの如く。

--改めてそんな想いを持った定期演奏会だった。


プログラム(表紙)


16:39 渋谷


16:43 ハチ公前は大変な混雑


16:44 山手線の階段も身動き取れず 将棋倒しにご注意!


16:46 湘南新宿ラインで


16:58 池袋着


17:00


17:01


17:03


17:04 東京芸術劇場


17:05


17:06 大きなポスター


17:07


17:08 OB役員の姿も 「お疲れ様です」


17:08


17:08


17:10


17:11 南葵音楽文庫


17:11 座席を確認


17:12 プログラムを読む。


17:50 開演10分前



19:09 これより休憩


19:10


19:13


19:23


20:45 ステージストーム終了。


20:45 拍手の中お開き


20:48 
依然として風邪が抜けきらず、久しぶりの打ち上げも失礼!


20:48 アンコールの掲示


20:49


20:50


20:50


20:51 JRへ


20:53


21:00


21:12


21:17


21:40 あざみ野に戻る。


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