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人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

金森久雄『わたしの戦後経済史』

2020-05-10 05:00:00 | 読書

「戦後史」関連で、25年前に買った、金森久雄『わたしの戦後経済
史』を引っ張り出してきた。

あらためて読むとおもしろい。50年の戦後経済史を「わたし」(金
森久雄:1924[T13]-2018[H30])の立場で振り返ったものだ。

個人的な想いをユーモアを交えて綴っている。

戦争直後について、「同時代史」的記述がおもしろい。いわく、
 昭和20年8月15日、日本は戦争に負けてアメリカに占領された。このときは前途
 はまったく混沌としていた。世界も日本もどのようになるか分からず、五里霧中
 であった。米ソによる分割統治の可能性があった。終戦がもう少し遅れていれば、
 北海道はロシアのものになっていたかもしれない。天皇制が存続するかどうかは
 っきりしなかった。マッカーサーの機嫌しだいでは、天皇制は廃止されていたか
 もしれない。

たしかに、現在の新コロナウイルス対応と同様、「この先」がどう
なるか分かっていれば、それなりに対応できるものかもしれないが、
「お先真っ暗」の世界は不安なものだ。

 父(注:徳次郎→こちら)が、戦争中でも節を曲げず、天皇機関説を譲らなかっ
 たことをみていたためか、私は多少時流に反抗する精神を持つようになった。
 ・・・・・・一昨日まで自由主義を唱えていた人が、戦争中は全体主義者となり、戦後
 は民主主義者となったのを見て人間の弱さを知り、寛容の気持を持つようになっ
 た。


 何といっても最大の問題は、食べるものがないことであった。戦争中から食糧難
 はひどかったが、敗戦で規律がゆるんだためか、一層ひどくなった。配給も遅れ
 がちで、飢え死の一歩手前であった。顔を合わせると、大の男が食べものの話ば
 かりしていた。


帯には、「50年の歴史は、悲観論者の完敗、楽観論者の完勝の歴史
である」(本文より)とある。

エコノミストだけあって、本文中には経済分析上の具体的な数字が
ポンポンと出てくる。イデオロギッシュなものからは遠い世界だ。



話はまた横道にそれるが・・・・・・
大熊ゼミの卒業コンパ(--三田の何とかという割烹で行った。)
で大熊一郎先生は、われわれ卒業生へのはなむけの言葉として、
「これからは(「イデオロギッシュ」ではなく)、プラクティカル
(とおっしゃったか、プラグマティックと言われたか?10年前まで
は覚えていたが・・・・・・。)を大切にして行ってください」
と言われた。

同期生でどなたか覚えているかな?



金森久雄『わたしの戦後経済史』(東洋経済新報社)

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5月10日(日)


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Unknown (F-TANAKA)
2020-05-10 11:51:45
当ブログには古関祐而の話題が時々出てきます。朝ドラ「エース」が放映されている事もあり、彼について調べてみると、WikipediaにY高校の応援歌「希望の門」を作曲と記載されていました。ブログに古関祐而が時々登場する理由が分かりました。K義塾の応援歌も彼が作曲しているのですね。私の母校は愛知県立M高校です。応援歌は我々の時代にはありませんでしたが、校歌は作詞・深尾須磨子、作曲・中田喜直です。M高校校歌で検索し、YouTubeで聴いてみて下さい。
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Unknown (katsura1125)
2020-05-10 13:47:44
F-TANAKAさま、早速のコメント、有難うございます。
さっそく混声版を拝聴しました。作曲が中田先生、作詩が深尾須磨子(!)なんですね~。戦後の作曲でしょうか。
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Unknown (F-TANAKA)
2020-05-10 15:24:34
S30年10月制定ですから私が入学する8年前の様です。良い校歌だと思いながら歌っていましたが、深尾須磨子作詞、中田喜直作曲と知ったのは、卒業して何十年も経ってからです。この校歌に誇りを持っていますが、歌う機会が全く無いのが残念です。
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Unknown (katsura1125)
2020-05-10 16:27:14
F-TANAKAさま、二人は世代が異なり、深尾須磨子は明治21年、中田喜直は大正12年の生まれ。

昭和30年の作品とすれば、深尾67歳、中田32歳の作品ですネ~。
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