人生ブンダバー

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野坂昭如『新編「終戦日記」を読む』

2021-08-11 05:00:00 | 読書

毎年、この時期になると終戦にかかわるニュースが流れ、書店に
は関連本が並ぶ。

一年前に出された、野坂昭如『新編「終戦日記」を読む』(中公
文庫)を読んだ。

野坂が取り上げている「終戦日記」は、高見順(当時38歳)、大
佛次郎(47)、永井荷風(65)、渡辺一夫(43)、徳川夢声(51)、
山田風太郎(23)、中野重治(43)、海野十三(47)、木戸幸一
(56)、伊藤整(40)によるものだ。

これら日記も引用しつつ、野坂昭如が昭和20年当時の自身と日本
を振り返る。

昭和20年といえば、明治45年生まれが33歳、大正14年生まれが
20歳だった。当時の70歳は明治8年生まれだ。


本書の「序章」より

 わたしは、高見の日記に心を動かされたことはあっても驚いたことはなかっ
 た。高見が日記で示した態度は、小説その他から受ける高見の印象と一致し
 ていた。しかし伊藤整の日記に、わたしはかなりのショックを受けた。特に
 戦争勃発直後の日記に出てくる人物は、わたしが知っていた柔和でユーモア
 に富む親切な人物とは似ても似つかなかった。


(注)伊藤整の戦時中の日記が出版されたのは、伊藤の死後、
 昭和58年のことである。


「第一章 八月五日、広島」は、広島県立第一高等女学校一年、
森脇瑤子さんの日記から始まっている。

 8月5日(日) 晴れ
 昨日、叔父が来たので、家がたいへんにぎやかであった。「いつも、こんな
 だったらいいなあ」と思う。
 明日からは、家屋疎開の整理だ。一生懸命がんばろうと思う。

森脇さんは、翌日の家屋疎開の整理作業中、原爆投下で亡くなっ
た。


左から
野坂昭如『新編「終戦日記」を読む』(中公文庫)
ドナルド・キーン『日本人の戦争』(文春文庫)→こちら
山田風太郎『戦中派不戦日記』(角川文庫)→こちら


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2 コメント

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Unknown (chorus-kazeアッコ)
2021-08-11 12:35:42
こんにちは。
野坂昭如さんと言えば「火垂るの墓」
辛い戦争体験をされているんですね。
大島渚監督との取っ組み合いの喧嘩のシーンが
懐かしいです。
返信する
Unknown (katsura1125)
2021-08-11 19:22:14
アッコさま、早速のコメント有難うございます。
そういえば、そんなことがありました。平成2(1990)年10月23日のことだったんですね~。もう31年前のことになります。
返信する

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