人生ブンダバー

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松原久子『驕(おご)れる白人と闘うための日本近代史』

2008-09-11 05:25:39 | 読書
平成17('05)年に読んでおもしろかった本が2冊ある。その内の1冊、松原久子
『驕(おご)れる白人と闘うための日本近代史』が文春文庫から発売された。
(9月1日刊)

本書は松原久子著とあるが、田中敏氏の翻訳である。原書は独語で約20年前の平成
元('89)年にミュンヘンで出版され、大きな話題となったという。

著者略歴には、「1958年国際基督教大学卒業後、米国ペンシルヴェニア州立大学院
舞台芸術科にて修士号取得。1970年西独ゲッティンゲン大学院にて日欧比較文化史
で博士号取得。1987年より米カリフォルニア州に移住」とある。おそらく70歳は超
えておられるだろう。

文藝春秋社はあえて過激なタイトルを付けているが、原題は『宇宙船日本』となっ
ており、「江戸時代の農民は欧州の農奴ではない」といった文明論、比較文化史と
もなっている。

ドイツのテレビで毎週5カ国の代表による討論番組で、著者がレギュラーとして出
演した折、ドイツ代表が、日本軍がアジア諸国で犯した蛮行(それは否定できない
が。)をホロコーストと同一視し、日本を攻撃非難した。著者は応戦し、ホロコー
ストは民族絶滅を目的とした国策であって、戦争とは無関係の殺戮であること、そ
ういう発想は日本人にはないと反論した。
すると番組終了後、ケルン駅で電車を待っていると、ドイツの中年女性が近づいて
きて、「我々のテレビで我々の悪口を言う者は日本へ帰れ」と言うなり、著者の顔
に平手打ちをくらわしたという。
著者は次のテレビ出演の際、平手打ちされたことを話し「ドイツには言論の自由が
ないから、身を守るため沈黙する」と宣言した。すると放送中から多数の電話がか
かり、花束がお見舞いとしてたくさん送られてきたという。「あなたの言うことは
腹立たしい。でも本当だから仕方ない」というカードも付いていたという。


日本人のよさは、謙虚であり、相手の立場を考え、主張も穏やかであるところであ
る。この点はこれからも大切にして行かなければならない。しかし、それはややも
すると短所にもなる。「無礼な者には無礼に」断固として主張しなければ、「泣き
寝入り」となってしまうのである。

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