吉村昭『破獄』（新潮文庫）★★★★

「事実は小説よりも奇なり」とはよくいったものである。本書はいわば「脱獄王」
の話を一つひとつ冷静な筆致でまとめたものである。吉村昭は「秘書」等は使わ
ず、何事も自分で調べていたようだ。

時代は昭和10～20年代。4回の破獄を重ねた男がいた。単なる「破獄」の話では
終わらない。詳しく書くわけにはいかないが、こんな話があったのかと驚かされ
る。