人生ブンダバー

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半藤一利『昭和史 戦前篇』(3)(平凡社ライブラリー)

2009-08-27 05:03:06 | 近現代史
本書第二章には「昭和がダメになったスタートの満州事変」として、詳しく説明している。

参考までに山川の『詳説日本史』では次の記述となっている。
  中国で国権回復の民族運動が高まっているころ、日本国内では軍や右翼が幣原
 喜重郎の強調外交を軟弱外交と非難し、「満蒙の危機」をさけんでいた。危機感
 を強めた関東軍は、中国の国権回復運動が満州におよぶのを武力によって阻止
 し、満州を長城以南の中国主権から切り離して日本の勢力化におこうと計画した。
  関東軍は参謀の石原莞爾を中心として、1931年9月18日、奉天郊外の柳条湖で
 南満州の線路を爆破し(柳条湖事件)、これを中国軍のしわざとして軍事行動を
 開始して満州事変がはじまった。


本書では、

○天才軍人石原莞爾の思想・考え方
○マスコミの論調「満蒙は日本の生命線」
○昭和天皇の憂慮
○関東軍と陸軍中央の動き
○満州事変は、独断専行の「統帥権干犯」
○太鼓を叩いた「朝日新聞」と「毎日新聞」(当時は「東京日日新聞」)
 --拡販競争
○林司令官朝鮮軍の独断出兵
○若槻首相の「仕方ないじゃないか」
○神社に押し寄せる必勝祈願の参拝者

について、当時の日本の熱狂など臨場感あふれる語りとなっている。

満州事変で、マスコミと国民(明治生まれの人が大半かしらん。)は、(無論関東
軍の「謀略」とも知らず、)大いに熱狂したのであった。


<メモ>
・日本は開国以来、欧米の列強に追い付こうと懸命な努力をしてきた
・「万国公法」(国際法)を遵守し、第一次大戦では五大国の仲間入りをした
 (遅れてやってきた「帝国主義」国?)
・一方、第一次大戦(欧州大戦)では悲惨な殺戮戦繰り広げられ、その「反省」か
 ら、国際連盟、不戦条約などの新しい動きが生れた
・日本は、それに協調しようという考え方もあったが、関東軍は独断で軍事行動を
 起こし、不戦条約に違反し、満州事変に至る




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2 コメント

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すごい本 (Nick)
2009-08-27 05:46:30
ブンダバーさん、はじめまして。
この本はだいぶ前に読みましたがすごい本です。
マスコミの罪--単に大本営に陥っただけでなく、マスコミ主導で世論を煽り、戦争に突入していった事実、そういう見方をはじめて知りました。
こういう本を高校の歴史の副読本にしてもらいたいものです。
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はじめまして! (katsura1125)
2009-08-27 20:28:12
Nickさん、はじめまして!コメント有難うございます。

満州事変が起きた時、熱狂した20歳~60歳の国民はすべて明治生まれでした。その一世代前=約30年前には日露戦争が発生しており、ロシアを満州から「追い出し」たのでした。

関東軍の少数の「陰謀」を知るはずもない国民は、新聞、ラジオと一緒になって熱狂したのですが、私もその立場だったら、熱狂していたのかもしれません。

(一方、世界は第一次大戦の「反省」からワシントン軍縮会議(1922)、パリ不戦条約(1928)の時代に入っていました。)

Nickさん、これからも気軽にお立ち寄りいただき、コメントしてください。
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