特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

「LL(ランダウ・リフシッツ)の一般解」の検証

2023-05-15 02:11:45 | 日記

前回導出した「LL(ランダウ・リフシッツ)の一般解」は以下の通りです。(注1)

TA@イベント②=L*(Va+(1-Va^2)/(Va+Vb)) 秒 ・・・①式

TB@イベント②=L*sqrt(1-Va^2)*sqrt(1-Vb^2)/(Va+Vb) 秒 ・・・②式

ここで時計Cと時計Bの間に設定された静止系に対して時計Cと時計Aは左からVaで接近し、時計Bは右からVbで接近する。

そうしてもちろん相対論的に加算された時計Cと時計Bの相対速度はV。

時計Cは長さLの棒の先端に取り付けられていて、時計Aはその棒の終端に取り付けられている、と言うのが条件です。

そうしてこれがランダウ・リフシッツが説明した「3つの時計を使った2つの慣性系の間での時間の遅れの測定方法」を実施した場合に「その測定により得られることになる観測結果を表す一般解」となるのでした。



さてそれで、本当にこれが今まで確認してきた計算結果を再現できるのか、検証しなくてはなりません。

ケース1:時計Aと時計Cは静止していて、時計Bが右から相対速度Vで動いてくる場合。

この場合はVa=0でVb=0.8C。L=4Cは固定条件。

これを一般解に代入します。

①式より

TA@イベント②=L*(Va+(1-Va^2)/(Va+Vb))

=4*(0+(1-0^2)/(0+0.8))

=4*(1/0.8)=5

②式より

TB@イベント②=L*sqrt(1-Va^2)*sqrt(1-Vb^2)/(Va+Vb)

=4*sqrt(1-0^2)*sqrt(1-0.8^2)/(0+0.8)

手計算でも出ますがここはウルフラムにやってもらいます。

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=4%EF%BC%8Asqrt%281-0%5E2%29%EF%BC%8Asqrt%281-0.8%5E2%29%2F%280%2B0.8%29

答えは3

これでケース1の場合はTA@イベント②とTB@イベント②は一般解が従来の手計算と同じ答えを出す事が分かりました。



ケース2:時計Aと時計Cが左から相対速度Vで動いてきて、時計Bは静止している場合。

この場合はVa=0.8CでVb=0。L=4Cは固定条件。

これを一般解に代入します。

①式より

TA@イベント②=L*(Va+(1-Va^2)/(Va+Vb))

=4*(0.8+(1-0.8^2)/(0.8+0))

暗算するには厳しいのでウルフラムに入れます。

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=4%EF%BC%8A%280.8%2B%281-0.8%5E2%29%2F%280.8%2B0%29%29

答えは5

②式より

TB@イベント②=L*sqrt(1-Va^2)*sqrt(1-Vb^2)/(Va+Vb)

=4*sqrt(1-0.8^2)*sqrt(1-0^2)/(0.8+0)

ウルフラムに入れて

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=4%EF%BC%8Asqrt%281-0.8%5E2%29%EF%BC%8Asqrt%281-0%5E2%29%2F%280.8%2B0%29

答えは3

ケース2の場合もTA@イベント②とTB@イベント②は一般解が従来の手計算と同じ答えを出す事が分かりました。



ケース3:時計Aと時計Cが左から相対速度Va=0.5Cで動いてきて、時計Bが右から相対速度Vb=0.5Cで動いてくる場合。(注2)

この場合はVa=0.5CでVb=0.5C。L=4Cは固定条件。

これを一般解に代入します。・・・以下省略

TA@イベント②=5でTB@イベント②=3を得ます。

ケース3の場合もTA@イベント②とTB@イベント②は一般解が従来の手計算と同じ答えを出す事が分かります。(やってみて下さい。驚くべき事にそうなります。)



さて以上の確認では①式と②式が確かに従来計算を再現出来ている事が確認できました。

しかしながらこの一般解を導出したのは「時計Cと時計Bの間のどこに静止系の原点があっても観測結果は常にTA@イベント②=5でTB@イベント②=3になってしまう」という事を確認するのが目的でした。

それで上記では3つのケースについての一般解の結果は「確かにTA@イベント②=5でTB@イベント②=3」になっていました。

しかしながら「時計Cと時計Bの間のどこに静止系の原点をおくのか、その選択は無限にある」のです。

これは別の言い方をしますと「VaとVbを相対論的に加算して0.8CになるVaとVbの組み合わせは無限に存在する」という事です。(注2)

という訳で、VaとVbの無限の組み合わせをここで計算して「TA@イベント②=5でTB@イベント②=3になっている事を確認する」訳にもいきませんから、別のアプローチをとる、という事になります。



注1:ちなみにこの一般解は時間遅れの測定方法を説明した
Lev Landau, Evgeny Lifschitzにちなんで「LLの一般解」と呼ぶことにします。

注2:Va=0.5CでVb=0.5C

V=(Va+Vb)/(1+Va*Vb) <--相対論的速度の加算式によれば

V=(0.5+0.5)/(1+0.5*0.5)

=1/(1.25)=0.8



PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/GqsxW

https://archive.md/5nhz6