あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
関連アイテムや書籍の読書記録も紹介中

地図を見てみよう……

2008-04-01 23:32:06 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
今回の地どりに全く無関係な、『リヴィエラを撃て』の手島修三さんの言葉。
しかし地どりする度に、ひしひしと実感するこの言葉。そして今回の番外編テーマにも、大いに関係あり。




「僕は鳥が好きです」と良が言う。
量は鉄柵をつかんで伸び上がり、首を伸ばし、彼方のドームを仰いだ。
 (『神の火』上巻p278)

天王寺動物園の券売機の上部にある地図。
一番右上のひょうたんをグニャッと曲げたような形の池が、「鳥の楽園」。これを柵越しに眺めていたのですね。





これは『神の火』 『照柿』の両方に関係ある地図ですね。
島田先生と良ちゃんがくぐったJR新今宮駅の高架下の付近で、偶然見つけました。
ある部分をアップにしてみましょうか。





『照柿』 で見慣れた地名や建物がありますね。
つまり、飛田新地で合田さんと達夫さんは飲食し、今池駅付近の線路で絵をばらまいたため、二人して西成署へしょっ引かれるハメになった・・・と(苦笑)

簡潔な地図ですが、これでおおよその位置は解っていただけるのでは?
ちなみに全ての写真の左側が北方向になります。


住之江競艇場

2008-03-21 23:13:16 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典



車は新なにわ筋をはずれて、住之江区の競艇場のそばを走り抜けたところだった。 (『わが手に拳銃を』p149)

『わが手に拳銃を』 だけに登場する住之江競艇場。 『李歐』 には出ておりません。

ここを撮影出来たのは、本当に幸運な偶然です。
何故なら、ここを地どりする予定はなかったからです。

平林の貯木池へ行くために、地下鉄四つ橋線で住之江公園駅へ。そこでニュートラムに乗り換えて南港口駅へ向かう時、ホームから見えなかった競艇場が、ニュートラムに乗ったら丸見えだったのでした。
(ホームからは競艇場が見えないように、曇りガラスで遮断されていたの)

つまり、これらの写真は全てデジカメをガラスにくっつけて撮影。
パソコンに取り込むまで上手く撮影できたかどうか・・・と案じてましたが、お天気に恵まれたこともあって、意外に綺麗に撮影出来て良かった♪

期せずして地どりできてラッキー♪ (地どりか、これ?)
これとよく似た状況で、「フィルム一本使っても惜しくなかった」とパシャパシャ撮影しまくった島田先生の気分も、味わえましたよ(笑)





レースとレースの合間だったようで、スクリーンでは宣伝が流れていました。





住之江競艇場の外壁が、車窓の左側を通り過ぎていく。 (『わが手に拳銃を』p155)


物語では1976年ですから、約30年前。一度くらいは建て直ししてると思うんですけど、野暮ですかね。

撮影日は全て3/9(日)。
参考HP  住之江競艇場


姫里カトリック教会と桜の木 (2008年3月)

2008-03-16 23:26:29 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
もう一週間前か~。早いなあ。




司祭はいきなり桜の幹に飛びついたかと思うと、枝に手をかけて木によじ登り始めた。 (『李歐』p314)

当然ながら、まだ葉も芽吹いていません。ここ一週間、急に温かくなってきましたから、そろそろ・・・?
そりゃあ、桜の咲いている時季に行くのが最もよろしいのでしょうけれど、この時季の写真もあってもいいのではないかと思いましてね。
だって一彰は桜の咲いている季節だけ、この付近で暮らしていたわけではないもん。





キーナン司祭がよじ登り、落ちた桜の木はどれだろう?

撮影日はどちらも3/9(日)。


キリンさんが好きです、でも○○さんの方がもっと好きです。

2008-03-14 23:41:45 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
今回の地どりレポートと写真は、気まぐれに更新させて下さいな。
しかも本日のものは、番外編。




「上野動物園は、キリンがお気に入りだった」
「ぼくもだ。ああ、信じられない……」
「じゃあ、ぼくとあんたはきっとキリンの檻の辺りで会ってるよ。」
 (『李歐』p242)


ということで、東京・上野動物園ではなく、大阪・天王寺動物園のキリンさんの親子です。
本当です。本当ですってば。
地下鉄御堂筋線の動物園前駅のホームの、天王寺やなかもず方面へ行く電車のホームにおります。
この駅の壁面には、他にもたくさんの動物がいるんですよ。
何十年かに一度、リニューアルされていますが、平成に入る前後にされたかな・・・?
撮影は3/8(土)。

しかしカズぼんは、天王寺動物園ではアナコンダがお気に入りになっていたようだ。

夏以来、一彰のお気に入りは美しい表皮に覆われたアナコンダだったが、蛇が嫌いな母は檻に近づくのを嫌がった。 (『李歐』p112)

どちらにしろ、「細くて長いもの」に興味を惹かれていることに、変わりはないんやなあ、すり込みってすごいね、とタカサカさんと苦笑し合いましたよ。





こちらは『神の火』の地どりで心斎橋筋商店街のアーケードを通り、ちょっと南船場へ寄り道した時に見つけたもの。
周辺に住んでいる人たちやお勤めの人たちはご存知でしょうが、知らなかったら、そらビックリするって(笑) 私も知らんかったもん。
同じく撮影は3/8(土)。





どうもこの漢字には弱いよね~(笑)
これは3/9(日)、三十間堀川の上流(・・・と呼んでいいんだろうか)沿いを歩いていた時に見つけたもの。
「アイダ」か「ゴウタ」か調べてみたら、このページに辿り着きました。五十音順に並んでいるところを見ると、「ゴウダ」のようです。

・・・まさか・・・まさかまさかまさか、ここからあの刑事さんの名字を採ったのでは・・・?


阪堺電車・阪堺線 (2008年3月)

2008-03-13 23:59:52 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
順序入れ替えて、先にもう一本の阪堺電車、阪堺線をご紹介。




後方で自分を呼ぶ雄一郎の声がしていたが、それをかき消していま、達夫の耳に届いてくるのは路面電車の音だった。 (文庫版『照柿』上巻p272)

この写真は南霞町(みなみかすみちょう)駅のすぐ横の踏切から撮影したチンチン電車。「走る広告塔」といわれているので、車体全体にこのような塗装が施されているのが多いです。
これは堺市方面(浜寺公園)へ向かっていく電車ですね。




踏切を渡って撮影。南霞町駅の次の駅が、今池駅。飛田新地は今池駅の近くにあります。


参考ページ  阪堺電車のHP


阪堺電車・上町線 (2008年3月)

2008-03-13 00:03:34 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典



三和銀行の角から阿倍野筋に出ると、目の前に阪堺電車が止まっていた。稜は、突然自分の首にあったマフラーを外したかと思うと、それを島田に差し出した。
「約束の印だ」
それだけ言うが早いか、良は身を翻して駆け出した。発車の笛が鳴った。良が車道を駆け抜ける。ドア口へ飛び上がったその後ろ姿と一緒に、ドアが閉まった。
 (旧版『神の火』p158)

再び阿倍野・天王寺に戻り、『神の火』に登場する場所をメインに簡単に地どりを。

阪堺電車(愛称:チンチン電車。更に略してチン電)の上町線の天王寺駅前駅(←これが駅名だ)に、路面電車が停車しています。

上記の引用通り、旧版『神の火』では、良ちゃんはこの道路を横切って電車に飛び乗ったんですが・・・危ないってば!!

ちなみに私は、高校の3年間、この路線を利用して通学しておりました。
だから良く知り尽くしているのですが、天王寺駅前駅で乗車するためには、歩道橋から専用の階段を降りるか、地下道から専用の階段を上がるかしかないんです。
良ちゃんのように、道路からそのまま乗った人なんて、見たことない(苦笑)

ついでに笛ではなく「パララン♪ パララン♪」とメロディが流れたら、発車の合図です。

更に蛇足かもしれませんが、『照柿』に登場する阪堺電車は、この路線(上町線)ともう1つの路線(阪堺線)。


大和川沿い、住道矢田周辺 (2008年3月)

2008-03-11 23:28:59 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
年月抜きの同じタイトルがありますのでね。

8日(土)のお昼過ぎ、タカサカさんと無事に会うことが出来、そのまま昼食へ。
合田さんの好きな(・・・好きだよね?)「親子丼」を食べていただこうと思って、某鶏肉がメインのお店へ行ったのですが・・・
メニューチェンジしてやんの。
し、知らんかった・・・。ひーん、ごめんなさい!

打ち合わせを兼ねた昼食を済ませ、まずは合田さんと野田達夫さんの故郷へ。
以前の記事、2006年8月27日の大阪地どりの同じ場所 と併せてご覧下さいませ。




達夫が生まれたのは、東住吉区住道矢田四丁目という地区だった。 (中略)
戦前から都市の人口増加と共に開け、虫が食うように路地が這い、住宅が出来上がって建て込んでいって出来上がったそこは、いまは住宅も古くなり、 (中略)
川には煤煙の臭気がまじり、その上を貨物線の列車の音が渡ってゆく。 (文庫版『照柿』上巻p224)

住道矢田4丁目の標識。ここでは「4丁目9番」ですが、実際は「4丁目1番~21番」まであります。広い!
右側に見えるのが貨物線。何と廃線でした! 達夫さんが戻ってきた時は、まだ走っていたのだろうか?

この後、4丁目内を適当に散策。民家ですから、撮影はしてません。旧家と呼ばれるにふさわしい立派なおうちもありましたし、合田さんの家っぽいな~と思われるおうちもありましたよ。




そうそう、写真には収められていませんが、カラスがあちこち飛び回っておりました。
きっと合田さんの飼っていたカラスの兄弟姉妹の子孫が、私たちを迎えてくれたに違いない(←断定せんでも)


江口商事株式会社・2

2008-01-06 00:12:56 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典


戦前のままの石造りの外壁と窓を持っていた。三階建ての窓の全部が土佐堀川に面して、まるでベネツィアの水上家屋のように見える。 (旧版『神の火』p70)

やっとこの描写にふさわしい写真を撮影することが出来ましたよ・・・! 撮影日は2007年10月6日。

以前に撮影した江口商事株式会社・1とは、反対側から撮影。まったく雰囲気が違いますね。上記の描写のように、このビルだけ見ていたら、ヴェネツィア気分に浸れますかね?(行ったことないけど)

大大阪モダン建築 の記事でも少しご紹介していますので、ご参照下さい。




戦前のままの石造りの外壁と窓を持ち、三階建ての窓の全部が土佐堀川に面して、まるでベネツィアの水上家屋のようだった。 (文庫版『神の火』上巻p99~100)

ちなみにこの写真の土佐堀川を、モモさんのお兄さん(の死体)がどんぶらこっこと、写真の左から右へと流れていったのでした。(『黄金を抱いて翔べ』です、念のため)

以前に同じような角度で、夜に撮影したことがあったのですが、あまりに暗くて周囲に埋没してしまい、何が何やらさっぱり分からなかったので、アップを断念したのでした。


天満署

2008-01-03 23:35:19 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典


一彰は、クラブから目と鼻の先の天満署の取調室にいた。  (『わが手に拳銃を』p57)

カズぼんが取調べを受けた部屋は、どこでしょうね?

2007年秋にご紹介した、大阪地方裁判所の、1ブロック隣にある天満警察署。
撮影日は同じく2007年10月6日。

正直に申しましょう。最初はまったく眼中にありませんでした(←えー!)
しかし警察署ということで、「うーん、でも、多分、どれかの作品に出てたと思うんだけどなー」と思い直して、撮影したのでした。
たったの2枚。

<高村薫作品カレンダー>を作成するにあたり、全長編をひっくり返して調べてるうちに、これが見つかりました(苦笑)

同じ角度から撮影したので、アップは1枚だけ。
これは再度訪れて、別角度からも撮影せねば。

カズぼんの勤めていた「ナイトゲート」(つまり北新地)の管轄は、天満署になるのか~。
てっきり、曾根崎署だと思っていましたわ。距離としては、どちらもよく似たもんなんだけどな。


中之島図書館

2007-12-19 23:35:51 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典


島田は帰社した木村と入れ違いに会社を出、地下鉄で淀屋橋まで行き、中之島図書館に駆け込んだ。  (『神の火』(上巻)p96~97)

撮影日は2007年10月6日。
国の重要文化財にして、大阪を舞台にした高村作品には頻繁に出てくる中のDJ図書館でございます。
島田先生は、左右どちらの扉から入館したのかな?




この真正面の扉からは、入退出が出来ないはず。でも、ちらっと開いているような・・・?




実は私は、まだこの中に入ったことがない・・・。




高村さんはこの図書館で、ある敷設図を見つけたのが 『黄金を抱いて翔べ』 の構想のきっかけだったとか。




「ぼくは中之島の図書館で海図をコピーして、コンパスだけはスポーツ用品店で買った。」  (『李歐』p260)




樹木の種類の混沌具合が、何とも不思議な雰囲気を醸し出しているような気がする。


大阪高等裁判所・大阪地方裁判所・大阪簡易裁判所

2007-10-08 21:33:00 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典


やがて公報の地裁判事任官の欄に元義兄の名前を見つけて仰天することになる、ほんの半年前の話だ。  (『太陽を曳く馬』連載第二回 「新潮」2006年11月号)

ということで、今回の中之島地どりの最大の目的。判事・加納祐介さんの2001年現在の職場・裁判所です。






もうね、大きくてね、画面に入りきらないのよ。しかもあまりに無機質な建物なので、どこがどの裁判所の法廷なのか、判事の部屋なのか、さっぱり分からないのよ。HP見ても分からないのよ!




でも、こんな石碑がありましたので、どうやら由緒ある場所のようです。住×銀行の近くには「肥後橋」がありましたしね。




「大阪第一検察審査会」「大阪第二検察審査会」の文字。加納さんの検事時代、大阪の地検にいた頃、ひょっとしたらここにもたまには訪れていたのかもしれませんね。
現在の大阪地検は中之島の西側(福島区)にあります。加納さんが検事の頃は、別の場所にありました。確か天満の方にあったような・・・?




生い茂る木々の中、そびえる裁判所。本心を見せない、本来の姿を現さない、秘められた加納さんを象徴しているかのように感じられました。


城屋の雨引神社と揚松明・2

2007-09-25 00:21:33 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
神事はまだ続きます。
(やっぱり小さい写真は見えにくいよねー? と写真サイズは縮小せず)





提灯を持った氏子さんたちが、大松明の周りを回っています。




城屋の雨引神社と揚松明・1 で、太鼓を叩いていた写真を撮影した場所で、いつの間にか大きなたき火が。




氏子さんたちが、気合を入れる掛け声を上げながら、火を取っているようです。






小さな松明を両手に持って、大松明の元へと駆ける氏子さんたち。






大松明の周りを囲む氏子さんたち。
そしていよいよ・・・。



小松明を大松明に向けて投げ始めました!
これは露出時間をちょっとだけ長くして撮影したもの。まるで火と化した蛇が、天に上り、地へと落ちていくよう。
もっと露出時間を長くし、プロが撮影した写真は、こちら と こちら にあります。観光写真でよく見るのは、露出時間を長くしたこのタイプのものが多いですね。

無数の松明が夜空に投げられては落ち、投げられては落ちる。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p24)




普通に撮影したら、こんな感じ。
例えるなら、運動会に必ずある競技「玉入れ」と思えばよろしいでしょう。「玉が松明、籠も松明」というのが、大きな違い(苦笑)
そして高さがとてつもなく高い! ということ。15~16メートルですもんね。だから、なかなか当たらない。当たったとしても、大松明を支えている綱に当たったり・・・。大松明に届くことなく小松明が落下し、火傷が免れないらしいとか。非常に難しく危険な「玉入れ」です。






始まって5分経つか経たないかの頃、ようやく大松明に小松明が当たりました。燃え上がり始めるのは、まだまだ先のことです。


・・・つづく。次回は、動画を交えてご紹介します。


城屋の雨引神社と揚松明・1

2007-09-19 00:06:54 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
ある対話・その1。8月13日夜。

私たち 「明日の夜、城屋の雨引神社の揚松明のお祭りに行きたいんですけど、何時頃から始まるんでしょうか? タクシーで行った方がいいですよね?」
ホテルのフロントの人々 「ええ? 昔、一度だけ行った時には、深夜0時頃からやってましたよ・・・」 「お待ち下さい。調べてみます」


とインターネットで調べてもらい、差し出された印刷された紙が、これ というのが微苦笑を誘う。
(事前予習では、ここでは調べてないの。ここ以外にも、良いサイトさんや記事がありましたから)
「高村薫の小説「神の火」の舞台としても使われた。」の一文があり、「おおっ!」と心の中で叫ぶ。


ある対話・その2。8月14日夜。

私たち 「これから城屋の雨引神社に行きますので、タクシーを呼んでいただけますか?」
昨夜の人と違う、ホテルのフロントの人々 「そんな秘境へ行かれるのですか!?」


秘境!? 秘境って何だ、秘境って(苦笑) ・・・まあ、確かに秘境でしたが。
タクシーで約20~30分。近づくにつれ、聞こえてくる若々しい掛け声と太鼓の音に、どきどきと高鳴る小さな胸の心臓の音。(←すみません、半田さんチックにしようとして、失敗しました)
タクシーの運転手さんも「揚松明を見たことがない」というので、メーターを止めてもらってお付き合いしていただきました。ありがとうございました。

タクシーを降り、まばゆい星空の下、徒歩約3分。雨引神社に到着です。
(※夜に撮影するのは慣れておりませんので、かなり下手な写真ばかりです。故意に、サイズも小さくしました。ご了承下さい。もっと精進します)



高野川に面した神社前の参道は、人の波だった。  (旧版『神の火』p19、新版『神の火』(上巻) 文庫p24)




私たちが到着した時は、身を清めた氏子さんたちがおみこしを担いで、この道の奥から橋を渡って、一枚目の写真に映っている鳥居をくぐって境内へ入って行ったところでした。




すでに人垣で埋まった境内前の橋には、近づけなかった。江口は、少し離れた川縁の手摺りに腰を下ろした。  (旧版『神の火』p19)

すでに人垣で埋まった境内前の橋には近づけず、江口と島田は少し離れた川縁の手すりに腰を下ろした。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p25)

多分この写真の辺りに、江口さんと島田先生はいたのでしょう。

それでは境内へ入って行きましょう。



威勢のいい掛け声とともに、氏子さんたちが太鼓を順番に叩いています。



フラッシュ有りとフラッシュ無しの連続撮影で。雰囲気が変わりますねえ。
氏子さんたちは、声を聞く限り、かなり若い人たちばかり。



最初「これが揚松明か!?」と思ったことは内緒です(笑)

太鼓と掛け声の響く中、これだけは忘れてはいけません。お参りをしなくては!





これもフラッシュ無しとフラッシュ有りの撮影で。フラッシュ無しの方が、幻想的? でもフラッシュ有りにしないと、周囲が分からないですよねえ。うーん、難しい。

お賽銭を入れて、
「念願かなって、ここまで来ることが出来ました。ありがとうございます」
と手を合わせ、心の中で感謝のお祈りを。
いや、もう、本当にここまで来ることが出来るとは・・・「感無量」という言葉は、こういう時のためにあるのですね。




境内に電柱ほどの高さに掲げられた一本の松明があり、  (旧版『神の火』p18、新版『神の火』(上巻) 文庫p24)

周囲の樹木に匹敵するほどの高さ約15~16メートルの松明が、待っています。
(雨も雪も降っておりません・・・多分、空気中の埃だと思います。ごめんなさい、これしかマシな写真がなかったの~)


・・・つづく。


霞月

2007-09-13 22:42:00 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
これを作成中に、会社からTEL。急ぎの仕事が入ったので、1時間半早く出勤して欲しいんだと。はあ~・・・  急いで記事を作成して、早く寝なくちゃ。

***

(【追記】 2007.9.17に、追加修正しています)

五老岳から再びタクシーに乗って、西舞鶴のホテルへ。時刻はすでに17時半。
ちょっとした休憩の後、向かうは今夜の夕食をいただく旅館 「霞月」です。

京口の「霞月」で、親戚だけの小宴席を持ったのは、喪主の意志だった。  (旧版『神の火』p16、新版『神の火』(上巻) 文庫p20)

この14日は城屋の雨引神社で揚松明の神事が行われる日。せっかく同じ日に舞鶴にいるのですし、みなわさんにも参加していただけるということで、「食事をしてから揚松明を見に行こう」と、急遽、予約していた日を変えていただきました。ありがとうございました!



旅館の前で親戚一同をハイヤーに乗せて送り出したとき、突然後ろから肩を叩かれた。「浩二君」と名前を呼ばれた。  (旧版『神の火』p16)

旅館の前で親戚一同をハイヤーに乗せて送り出したとき、突然後ろから「浩二君」と名前を呼ばれた。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p20)

新版では「肩を叩く江口さん」が削除されていますね。まあ・・・江口さんらしいといえば、新版でしょうねえ。

私たちは2階のお部屋へ通されました。
そしてお楽しみのお食事♪ 季節も同じ夏ですから、島田先生とほぼ同じものを食べたのではないかしら? (コースのお値段やお料理にもよりますけどね)




付だしの烏賊の塩辛、三種類のお刺身。



焼き物のかます酒盗焼。私、このミョウガで思いっきりむせてしまったんですよね~、はっはっは。



海の幸ばかりでは飽きます。変化をつけるための中皿の豚の角煮。



油物(天麩羅)の太刀魚巻、海老磯辺揚げ、三種類の野菜。隠れていますが、太刀魚の天麩羅が美味しかった♪



蒸し替りの茄子と白身魚の揚げだし。



酢の物のとり貝、白身こぶ〆奉書巻。「岩牡蠣」と並ぶこの季節の名物「とり貝」が、レモンの下に隠れています。こりこり、しっかりした食感を味わえました。



鱧のお吸い物に、松茸御飯~♪



水物のメロンに巨峰で、おしまい。


これで5000円のコースでした。島田家なら、もっと高いコースだったかも(苦笑)

お食事の合間の話題は、やっぱり高村作品のこと。(会話と順番はうろ覚えです・笑)

「『レディ・ジョーカー』の文庫は、どれくらいの冊数になるでしょうねえ?」
「あの分量からすれば、4冊は確実では・・・」
「文庫化されたら、最後のあの手紙があるかどうか、真っ先に確認しそう(笑)」
「義兄のあの台詞も場面も、あるかなあ」
「心情としては、「元」は付けたくないですよね。「義兄」でいいですよね」
「うんうん」

「『太陽を曳く馬』で、早く義兄が出てきて欲しい~」
「あと2年は連載するかなあ」
「二人は会うんだろうか? 会わぬまま終わりそう」
「それよりもNYに行くのかなあ。この年の年末に、あの事件(←どの事件なのかは、伏せます)の初公判があったから、ひょっとしたら義兄が担当するかもしれない」
(この後発売された 「AERA」 の「平成雑記帳」で、「アメリカへは行ったことがない」と書かれてあり、のけぞったのは私だけではなかろう。加納さん・・・NYへはやっぱり行けない(あるいは行かない)の?)




玄関へ向かう男六、七人の後ろ姿があり、そこに《ベティさん》の頭が重なっていた。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p164)

女将が見送りに出てきて、玄関口はしばし男らのスーツ姿で込み合った。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p164)

ベティさんが「スパイ」をした(笑)、お客たちを送り出した「霞月」の玄関。私の靴も写ってる(笑)




島田は、ふいと身体を起こした。襖を開けて、廊下を覗いた。  (新版『神の火』(上巻) 文庫p164)

その中から、小坂がダアッと駆け寄ってきた。
「島田さん! すぐ済みますから、ちょっと待ってて下さい!」
  (新版『神の火』(上巻) 文庫p164~165)

島田先生が顔を出し、ベティさんがダアッと走った「霞月」の1階の廊下。左右のどちらから、島田先生は顔を出したのかなあ?



お料理を堪能し、満腹になった後は、いよいよ最大のメイン、城屋の雨引神社へ向かい、揚松明を見に行きます。

参考HP  「霞月」


五老岳の展望台

2007-09-11 00:41:29 | 写真で見る高村薫登場アイテム小事典
「AERA」(2007年9月17日号) の「平成雑記帳」は、環境の破壊と文明の進歩の相反する問題について、述べられておりましたね。
「美しい国」から「美しい星」への発言の、壮大な響きの虚しさといったら・・・。

***

赤れんが倉庫群の近くにある舞鶴市役所なら、タクシーが一台二台はあるはずだから・・・思ったのだが、甘かった。お盆だからか? 結局は電話でタクシーを呼ぶことに。向かう先は、五老岳にある展望台とスカイタワー。


それから一彰は、観光地図に従って市営バスに乗り、五老岳の展望台に上がった。  (『李歐』p210)


この運転手さんから、いろいろとお話を聞きました。(「訊ねた」とも言う)

「五老岳を徒歩で下るとしたら、一時間くらいかかりますか?」
「一時間じゃ済まないでしょ。もっとかかるよ。一時間半くらいはみていいんじゃないかなあ」
「そうですか~ (一同苦笑い)」


・・・高村作品キャラクターは、やっぱり健脚なんだなあ。
なぜ訊ねたかというと、

一彰は速やかに徒歩で山を降りた。
約一時間かけて早朝の市街地に辿り着くと、
  (『李歐』p211)

の文章があったから。この山が、これから向かう五老岳なのです。

五老岳の展望台は、「近畿百景第1位」に選ばれたほどの、非常に見晴らしの良い場所。展望台と、スカイタワーに上って撮影したその素晴らしい景色を、ぐるっと一周撮影してみました。
























舞鶴湾と西舞鶴市内が一望できるそこは、日暮が近かったので、観光客の姿はすでにまばらだった。一彰は早速、手すりから身を乗り出して眺望を楽しんだ。  (『李歐』p210)

この日は本当に眺望も良く、丹後半島まではっきりと見えました。
(私は栗田半島だとてっきり思い込んでいたので、運転手さんに「違う違う」と何度も訂正されました・苦笑)
山々の稜線もくっきりと見えて、美しいですね。

ところで、どの写真が展望台で撮影し、どの写真がスカイタワーから撮影したものか、お解かりになりますか? ガラスに反射しないように撮影するのが難しかった~。

運転手さんも一緒にスカイタワーに上がって、いろいろと説明をしてくれました。
『神の火』で、日野の大将が漁業組合に会費を支払ったのはなぜか、という答えも分かって、納得。
(答え:組合に入らずに漁をすると「密漁」になるから。新版で大将がヤリイカを獲っていた場面を思い出しましょう)




その夜は、展望台のベンチでリュックを枕に寝たが、  (『李歐』p211)

一彰が眠ったと思われる、ベンチ。(実際は30~40年前だから違うはず。スカイタワーは平成に出来たので、ベンチも一新しているでしょう。まあ、雰囲気ということでね)
仮にカズぼんの身長を170~180センチとしますと、脚がはみ出ますね。両手を広げて測ったところ(私の身長は約153~154センチ)、130~140センチくらいの長さ。カップル(←死語?)が座るにはちょうどいい長さなのかな。




しかし野外で寝るということは、確実に虫に食われてるだろうな、カズぼん・・・。翌朝はさぞ身体中が痒かったに違いない。


参考HP 五老スカイタワー展望台/京都府舞鶴市 に、ちゃんとしたスカイタワーの写真が載っていますので、ご覧あれ。