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先進諸国の皆さんへ

2016-11-14 12:46:18 | より良き世界のために
 先日米国大統領選挙でトランプ氏が勝利しました。彼はメキシコ国境に壁を築き、関税障壁も強めて「強い米国を取り戻す」としています。去る6月には英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、英国は国境を高くして移民や難民流入を制限しようとしています。英国民は自分たちの収めた税金が東欧・南欧諸国の救済、中東からの移民や難民の為に使われることによって自分たちの生活が苦しくなることを嫌ったのです。米国民も同様で、メキシコからの移民や北米自由貿易協定(NAFTA)、環太平洋経済連携協定(TPP)によって自分たちの仕事が奪われることを恐れたのです。

 1993年、EUが誕生しました。欧州域内で国と国との境界を低くし、人や物の往来を自由にしていくグローバル化の先駆けでした。95年に設立された世界貿易機関(WTO)は世界の物やサービスの貿易自由化を目指しましたが、ドーハラウンドで行き詰り、世界はNAFTAやTPPなど、二国間、多国間の経済連携を志向してきたのです。これらは規模は異なりますが、何れも世界のグローバル化につながる流れでした。

 2016年の今年、世界のグローバル化の流れは止まりました。英米のみならず、仏独など先進諸国でナショナリズムの風が強まりそうです。これはこれまでのグローバル化が抱える問題点(例えば所得が下がる先進国の中間層)を世界がこまめに手当して来なかった結果と言えるでしょう。世界はこれからこれらを是正していかねばなりません。

 EU離脱を決めた英国民、トランプ氏を選んだ米国民、そして我日本国民を含む先進諸国の皆さん、考えて見て下さい。皆さんの中の貧困層の生活レベルを世界の最貧国の皆さんのそれと比較して見て下さい。彼我の間にはまだ絶大な差があることに気付かれることでしょう。一方はセイフティネットに守られた貧困、他方はそれが無くて死に直結する貧困です。世界は幾つもの曲折を乗り越えつつ徐々に統合に向かいますが、そこでは人々の暮らしぶりも平準化されていくことになります。

 世界の上位62人の資産が世界人口の半分の下位36億人の資産と同じという富の偏在も問題です。世界はタックスヘイブン(租税回避地)を無くし、公平な徴税システムを構築し、強烈な累進課税で所得の再配分を実施しなければなりません。そして世界の貧困層をセイフティネットで保護するのです。現在の先進諸国による政府開発援助(ODA)やビル&メリンダ・ゲイツ財団のような慈善団体による援助はそれはそれで尊いものです。しかしそれらはあくまでも慈善事業に他ならず、恒久的に保障されるものではありません。世界の貧困層には世界税制度に基づいたセイフティネットが必要なのです。

 世界がそうなる為にはもう数段階のグローバル化、民主化が必要でしょう。今はこれまでのグローバル化が若干後戻りをしているのです。EU離脱派の皆さんやトランプ氏を選んだ皆さんが、自分たちの生活レベルを幾らか落としてでも世界の最貧国の皆さんにセイフティネットを提供しなければならないと気付いた時、世界の真のグローバル化は始まります。所得格差や差別に起因する地域紛争や戦争の解決、地球温暖化防止、核兵器廃絶、原発廃絶、世界総人口、水・食糧などのグローバルな諸問題が本格的に解決を見るのはその後になるのではないでしょうか。