蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「たまご~卵・蛋・玉子、等々」の微妙な違い

2008年11月20日 | 解字から見る、言葉の微妙な違い
【 たまご 】

<大辞林~調べ>
卵&玉子
鳥・魚・虫などの雌性の生殖細胞で、大きくなって
ひなや幼生となるもの。鶏卵。

卵(これ限定)
将来、ある地位や職業につくために、修業中の人。《卵》「医者の卵」
本格的になる前の未発達のもの。《卵》「台風の卵」

らん(卵)
雌の生殖細胞。有性生殖を行う生物におい
て減数分裂によって生ずる雌性配偶子。雄性配偶子と
合体して新個体となる。卵子。卵細胞。


<解字>
640-3


象形。卵の対生する形。
説文では、乳を飲まないものは、卵のままで生まれて孵化する、とある。
魚類の卵であろうとする説もあるが、魚卵の時は、
“鯤(コン、はららご、はらご)”とする。

卵の文字は、篆文からすると、木の枝などに附着する卵ともみられる。
いずれにしろ、卵が向かい合う形である。




《字統》
元の字は、蜑(あま)。
南方の少数民族で蛋家・蛋戸と呼ばれ、陸に住むことを許されず、舟を家として漁を生業とし、賤族とされたものがある。
よく水に潜って蚌珠(ボウシュ、真珠)を取るので、日本でもそのような海人(カイジン)のことを「あま」と言い、“蛋”の字をあてた。
いわゆる、“かずきめ=潜き女”のことを言う。
卵の白身を「蛋白」という。
●註:かずきめ
〔「かつぎめ」とも〕海中に入り魚介や海藻を取る女。海女(あま)。

▲あまりよく判らない


《漢語林》
字義
鳥の卵。
中国南方の水上に住む異民族。=蜑(あま)


玉子
姿を表して、「玉のような丸くてかわいいモノ」


<その他>
大辞林
鯤:はららご、はらご~「魚の卵」の意味



(カン、あげまき)~字統に載っている
「あげまき」は、古代の少年の髪形で、頭髪を中央から二分し、耳の上で輪の形に束ね、二本の角のように結ったもの。また、その髪形の少年。角髪(つのがみ)。
「総角」「揚巻」や一字で「丫」と書いたりする。

推測すると、この字を「たまご」と解釈するのは、
“あげまき”を結うモノは、成人ではなく、まだまだ子供・ひよっこという意味に用い、「医者の卵」のような使い方である。
●“丱”と“丫”は、なんとなく似ている


<使い分け>
《字義から》
卵:動物全体の総称
  哺乳類の胎児になる為の素材
蛋:虫やヘビなどの生まれてくる「たまご」が原則
  今では、通用して持ちいている
鯤:魚がお腹で抱えている「たまご」
  ●「はららご」「はらご」

一般に
卵:「たまご」の総称
  卵黄~個体になる原型~「黄身」
  蛋白~卵の白身。卵白(らんぱく)。
蛋:「蛋白」のように「卵白・白身」
  中国では「たまご」と言えば「鶏蛋」
 例:皮蛋~ピータン(pi2 dan4)
  ビータンは、アヒルの卵を殻のまま、木灰・泥・塩に漬けたもの。
  黄身は濃緑褐色、白身は半透明褐色。
  鷄蛋(ji1 dan4):鶏の卵

中国で、卵と言えば、「卵巣」「卵子」など生殖に関することが多い。


業界用語では、調理したかどうかが決め手(TBS)
生のモノ:卵 ⇔ 調理した物:玉子
生卵 ⇔ 玉子焼き
∴「卵焼き」は、どちらに属するのか?

●食べる為に調理はしないので、「昆虫の玉子」は、有り得ない


<大辞林での使い分け>
「卵」と「玉子」の使い分け食品としての「たまご」は、『玉子』と表記することが多い。「玉子焼き」
  ●でも、漢字変換では「卵焼き」しか出てこない。


成語・故事
卵(玉子)の四角と女郎の誠
  ありえない物事のたとえ。
卵(玉子)に目鼻
  卵に目と鼻がついているような、色白のかわいい顔。
危うきこと累卵の如し ★累卵之危~累卵の危うき
  卵を高く積み上げたように、非状に不安定で危険な状態のこと
   ☆るいらん:纍卵


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