老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

102歳の歌人

2008-12-15 22:56:33 | Weblog
私が発行している月刊雑誌の同人に、
高橋静さんという102歳の女性歌人が居た。
102歳で歌を創るというだけでも立派だと思うのだが、
毎月6首きちんきちんと投稿してきて、
一度も欠詠する事がなかった。

しかし、さすがに103歳になった時に、
医者から
「体力的に無理だから、もう短歌を止めなさい」
と言われて悔しがっていた。
視力が衰えて原稿用紙の枠の線が見えないのだ。

普通の人なら
家族に代筆を頼むのが順当な事だと思うのだが、
高橋さんは、
最後まで自筆で歌を記す事に拘わった。
家族に原稿用紙の枠をボールペンで書いてもらって、
短歌を書いた。
一字一字、楷書で、丁寧に、心を込めて書いていた。
短歌が好きで、
自分の歌をとても大切にしている姿が伺えた。

風にのり金木犀の香りきて小春日和をたのしく生きむ
シクラメンのピンクの花咲く一鉢に部屋うるほひて心なごめり

100歳の歌だ。
高橋さんの生き方だ。
心して学びたいと思う。