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進まぬ不動産の賠償

2013年02月21日 11時57分53秒 | 日記
原発事故のせいで企業が被った売上などの被害について東電は賠償をしています。漁業、農業関係者もその賠償の対象です。しかし、一般の方が高い放射線量のために故郷へ戻れない場合、嫌々ながら手放さざるをえない土地、家屋についての補償がほとんど進んでいないのが現状なのです。何故なのでしょうか?その現状と改善策についての提言が下記のブログにて述べられていますので掲載させていただきます。確かにダム開発などでは故郷を追われた方たちの生活保障を考慮して国は土地家屋を買い上げてきました。放射能の影響で故郷を去る方も同じだ、生活保障を考慮すべきという指摘はもっともなことです。

高橋不動産鑑定事務所高橋所長のブログ

「原発賠償を考え抜く」
第1回 現状と問題点
東日本大震災と東電原発事故の発生から間もなく2年になろうとしています。

売上喪失、売上減少による営業損失等については、比較的早期に手続きが進められ、裏づけ資料のある損害賠償請求についてはかなりの件数が支払われています。

しかし、こと不動産に関しては、昨年6月にようやく賠償基準が示されたものの、具体的な手続きはほとんど進んでいないというのが実情です。

その原因としては、被災地内の建物だけでも約3万戸と数が多いことに加えて、登記簿上の所有者と実際に住んでいる人とが違っていたりと、権利関係が複雑であることも指摘されています。

しかし、権利関係(相続登記)の整理は、司法書士等の専門家の協力を得れば、長い時間をかけずに、大部分は解決できる問題です。

これから問題となるのは、土地・建物等の不動産の損害額をどう考えるのが正しいのか、放射線量の違いによる「地域格差」にどう対応すべきか等々であります。

昨年9月に「関西総合紛争解決センター(ADR関西)」主催のセミナーで「津波と原発事故による(福島県内の)地価動向と予測」とのテーマの講演を行いました。

セミナーの後の懇親会で、大阪在住の弁護士や不動産鑑定士から、世界に先例のない原発被害なのだから、不動産の損害額をどう評価するかについては、しっかりとした理論構成を組み立て、東京電力という巨大権力に対抗できるだけの「理論武装」を急ぐ必要があると「激励」されました。

福島に戻ってからは、原発賠償、特に不動産の賠償はどうあるべきかについて、資料を集め、多くの関係者の意見を聞くことに注力してきました。

その間、被災地内に土地や建物を残したまま避難してきた多くの方々から、補償・賠償についての相談や依頼を受けました。

特に問題となるのは建物の価額をどう考え、どう評価するかです。

東京電力が公表している建物の賠償基準は以下の三方式です。

(1)固定資産評価額に基づく算定
(2)新築価格を基礎にした算定
(3)不動産鑑定士等による個別評価

(3)の個別評価には、「不動産鑑定評価」が含まれることは当然ですが、それだけでは不十分だと考えます。なぜならば、「不動産鑑定評価」は不動産の経済価値、交換価値の把握が主であり、被災者・他地域への移住者の生活再建という視点・論点が全く欠けているからです。

「公共事業の実施に伴う補償基準」という国が定めた基準があります。道路の新設や拡幅、大型ダムの建設等に伴い移転や移住を求められる住民に対する公正な補償はどうあるべきかを定めた基準・考え方です。

この基準は憲法第29条3項「正当な補償」の規定に基づくもので、公共事業に伴い移転・移住を強いられた国民に対して、移住先での生活を保障する考え方が基本にあるわけです。

今回の原発被災地の財物賠償・不動産賠償はこの考え方に基づき、「公共事業の補償基準」を基本として賠償・補償を実施するのが最善・最良の手法であると確信するに至りました。

財物賠償のうちの「不動産賠償」については、これから本格的に請求が行われ、個別具体的な交渉が始まるわけです。

原発事故による被害・損害は「水俣」や「四日市」の公害を深刻かつ大規模にしたもとして捉えることでその本質が明らかになるのではないでしょうか。

「水俣病」の被害者は50年以上もがんばっていますが、まだ全面的な解決には至っていません。今回の福島原発事故の被害についても、腹を据えて10年、20年の闘いになる覚悟が求められています。

当社としても、土地(宅地)・建物、農地・山林・立木等の不動産の損害賠償について、被害者の立場に立ちながら、加害者を理論面でも実務面でも圧倒すべく全力で取り組む体制を整備しつつあります。

この「原発賠償を考えぬく」コラムは、今回が第1回ですが、今後は以下のテーマを主として、完全賠償を勝ち取るまで続ける予定です。全国の弁護士・不動産鑑定士・司法書士・原子力関係者の皆さんとの意見交換・交流を通して、一日も早い完全賠償の実現をめざしましょう

○事故後2年間の経過と浮び出た問題点 ○「公共用地取得に伴う補償基準」とは
○ADRは機能しているか?
○弁護団も手探り?
○土地・建物の評価の課題
○原発賠償の地政学的位置づけ
○賠償と補償
○津波被災地と原発被災地
○東京電力の本音と建て前

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