てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

准教授・高槻彰良の推察 8話

2021年09月27日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

青い提灯の祭り

子供の頃の尚哉(10歳時:嶺岸煌桜)が体験した、あの祭りだ。
尚哉がお面を被って参加しようとすると、前年に亡くなったはずの祖父 - 吉満寛人 が話しかけてくる。

祖父:尚哉、お前はここへ来ちゃだめだ。
尚哉:じいちゃん?
お堂の中で、祖父に言われた「べっ甲飴を選べば、お前は孤独になる。」というあの言葉。

青和大学キャンパス

夏休み前の試験が終わった
尚哉(青和大学文学部の新入生) - 神宮寺勇太
難波(尚哉の同級生) - 須賀健太
谷村(尚哉の同級生) - 吉田あかり がいる。男子二人はぐったり気味、でもこれで夏休み。付き合っている難波と谷村は楽しそうだ。旅行先をどこにしようかとワクワクした様子だ。
見ていられないとその場を離れようとする尚哉に、二人には夏休みの予定を聞かれるが実家は横浜だからいつでも帰れると答える。
谷村は、祖母の家に自分は墓参りに毎年行くと言われたが、あの祭りを経験した尚哉は、8年間祖母と祖父の家には行っていない。今年もまた、盆踊りの季節が近づいているのだと感じる尚哉だった。

高槻の研究室

生方(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実 は、テーブルいっぱいに信州土産を広げている。
どうやら高槻に頼まれてあの「青い提灯の祭り」について、調査を行っていたようだ。地元の図書館で盆踊りに関する記述のある図書をコピーしており、それを高槻に渡すが「青い提灯の祭り」については、どこにも記載がないという。
夏休みでもあるし、地元に行けば何か分かるかもしれないという生方。しかし、図書にさえ記載のない内容の追加調査を断る高槻。記録がないということは、よそ者には話せない・知られたくないことがあると考えられる。その共同体にとって都合の悪いこと、知った人に危険があるから生方の調査はここまで・・・ということにしたいという。
生方は了承して研究室を出たものの、いつか大きな怪異に高槻が襲われるかもしれないという不安が増すのだった。

第7話で村田たちにヒアリングをした喫茶店

尚哉は、遠山宏孝(千葉県警広報官)-今井朋彦 と待ち合わせをしていた。
年代こそ違えど、あの青い提灯の祭りを体験した遠山。
問いかけに、警察官になりたいという話ではないと、遠山に答える尚哉。
遠山も今は冷静になれたらしく、
遠山:それでいい。私たちの間では嘘はナシということにしよう。
そう告げた。

尚哉は、あの青い提灯の祭りは今も行われているのかを遠山に尋ねた。
祖母が亡くなってから田舎には帰っておらず、あの青い提灯の祭りのことも殆ど覚えていないので、その後のことを遠山に尋ねたかったらしい。

遠山:あの村は人口が減って、今は盆踊りはやっていない。3年前に墓じまいをすることになって、久しぶりに村に足を踏み入れた。今は合併して地名も変わっていた。
尚哉:あの青い提灯の祭りが何だったか、もう判らなくなってしまったってことですか。
遠山:知ってどうする。私たちの状況に変化があるとも思えないけどね。孤独を受け入れて生きていく方法を見つけるしかないんだ。私たちにかかった呪いが解けることはない。

遠山と別れ、公園の中を歩く尚哉

すれ違う少女とぶつかった拍子にイヤホンが外れ、浮気をごまかしているカップルの女性の嘘の声が耳に届いてしまう。
耳をふさいだとき、昔の記憶がふと蘇った。
子供の頃、同じように耳をふさぐと慌てて祖母に何か注意されたことを思い出したのだ。急いで尚哉は駆け出すのだった。

高槻の研究室で

駆け込んできた尚哉、高槻に慌てて話し出す。
尚哉:先生、思い出したんです。子供の頃、嘘が聞こえて咄嗟に耳を押さえたら、ばあちゃん 尚哉の祖母 - 中島はるみ
が見たこともない怖い顔でやめさせた。

祖母: そんなことしたら、皆に気づかれるだろっ!

高槻:つまりおばあさんは青い提灯の祭りの存在を、そこに行くと何が起きるのかも知っていた。
尚哉:(うなずく)
高槻:気づかれるだろって、怒るのも気になるね。・・・何故?
尚哉:わかりません。でも怒られたのは、村に居る時だけでした。
高槻:つまり、村にいる誰かに知られると良くない・・・ってわけか。
尚哉:俺、行ってみたいです。村に行ってあの祭りがどういうものなのか、確かめたい。
高槻:危険かもしれないよ。
尚哉:わかってます。
高槻は尚哉の決心に、すばらしい と落ち着いて称えるのだった。

オープニング

校庭を歩く尚哉、すると向こうから尚哉の祖父が歩み寄ってきた。驚く尚哉が「じいちゃん、何でここに。」と呼びかける。

祖父:来るな、戻ってくるな。子供は帰れ、寄り道せずに真っ直ぐに、そして今夜は早く寝ろ!
そう言って、祖父は尚哉を押し倒す。後ろ側に倒れ込む尚哉・・・。

健司(警視庁捜査一課の刑事・高槻の幼なじみ) - 吉沢悠 の車の中

後部座席でドアガラスに頭をぶつけて目覚める尚哉、祖父との会話は夢だった。
運転席の健司に話しかけられる。高槻は売店での買い物から戻ってきた。買ってきたのは、お弁当巨峰ぶどう。そしてなぜか「筍の水煮」季節外れだから、生の筍はなかったらしい。
はしゃいで買い物をしてきた高槻に、(高槻が)とことん楽しむつもりでいる様子に見えることを尚哉が伝えると
高槻:だから深町君も気楽にね。もし、何もわからなくても、来年もまたここに来ればいいんだから。
と、リラックスするよう促す。

佐々倉古書店

花江(健司の母) - 和泉ちぬ  を訪ねる生方。盆踊りに関する書籍を探してくれるよう、頼んでいたらしい。
高槻に追加調査をやめるよう言われていた生方だったが、やはり気になって古書を見せてもらう。
その中に、「ある農村の風習  信州」 とタイトルのついた古書を見つける。
花江によると、地元の郷土史家が作った本と思われるが手作り感満載で、値段がつけられずに処分しようとしている本だという。
その本に「のろいの盆踊り」と書かれ、提灯の色が青である という部分をみつけた生方は、 花江に買取りを申し出る。

尚哉の祖父の家

かず兄という従兄が、家の前で待ってくれている。祖父と祖母の住んでいた家には、今はもう誰も住んでいない。尚哉の祖母が亡くなってからは空き家になっており、従兄も市役所勤めで中心街にいるためここには来ていないという。空き家も随分増えたそうだ。この辺りは桃の産地と聞いていた高槻は、従兄に近所の家から桃を3個ほど分けてもらえるよう頼む。
仏間から、自分があの日熱を出して寝かされていた部屋に移った尚哉。当時のことを思い出している。
当時、熱を出して祭りに行けなかった尚哉に、従兄がお面を買ってきて渡してくれていたことを話す。
従兄がお面を買ってきてくれた盆踊りは、5年ほど前に取りやめになってしまったらしい。その頃の盆踊りはすぐ近くの「お山」と呼ばれる山の中腹の神社で行われていて、「特別と言うかお盆には行くな、って言われたの。普段はそんなに厳しくないんですけどね。その日は特別なんですよ、お祭りの時間だけ入れって。」と言うのだ。
高槻が子供が行ってはいけない理由を尋ねたところ、従兄は「大人たちは、蛇が出ると言っていた」という。従兄の知っている盆踊りは、「全国どこでもやってる普通の盆踊りで、強いて言えば至って健全だった。」とその様子を答えていた。

高槻:健全・・・。
従兄:8時には終わって子供はすぐに帰らされるんです。「子供は帰れ、寄り道せずに真っ直ぐ。そして今夜は早く寝ろ。」って。いつもは優しいじーちゃんやばーちゃんが、結構キツイ口調で言うんですよね。

家の外で、近所の尚哉の祖母の知人(ふせえり) が桃を持ってやってきた。
従兄が桃を届けてもらった礼を言い従弟の尚哉を紹介すると、高槻たちの目の前で彼女の表情が突然変わった。
尚哉があいさつをして、子供の頃ここによく来ていた尚哉であることを聞いてきた女性に答えると
驚いた顔で尚哉をまじまじと見つめ、尚哉が大きくなって亡くなった祖母も喜んでいるだろうと言い、去っていく。

従兄:ばぁちゃんな、入院したあと変な事言ってたんだよ。「尚哉は山神様に取られたから、育たんかもしれん。」って。

尚哉と高槻は、「やはり祖母は青い提灯の祭りで尚哉に起きたことを知っていた。」と確信を持ったのだった。

山の中腹にあるという神社を目指す

あぜ道を渡りながら、尚哉は高槻に山神様についての推察を話す。高槻は、祖母が言った「とられた」というのは「盗まれた」と書いて「とられた」と言ったのか「捕まる」と書いて「とられた」という意味で言ったのかが気になっているようだ。尚哉は育たないという、自身の短命について気にしているようだが、「気にしなくていいよ、もうこんなに大きく育ったんだから。」と、高槻に言われる。

鳥居の前で一礼をして入っていく、佇まいは昔のままだと感じる尚哉。
一人の謎の老人(モロ師岡) が薪を背負い麦藁帽をかぶった姿で近付いてきた。

老人:あがらん方がいいよ。
高槻:どうしてですか?
老人:蛇が出るからな。
尚哉:(軽く顔を向こうに背けて、様子を気づかれないようにする。)
高槻:私、青和大学で民俗学を教えていて、研究の一環で山神様について調べているのですが・・・。
老人:山神様・・・聞いたことないな。
尚哉は気づかれないよう、堪えている。
老人:ともかくお盆の間は登らない方がいい。
高槻:この上で、何か特別なことでもあるんですか?
老人:そういうことじゃないよ。
高槻:以前はこの村で、ちょうど今頃盆踊りをやっていたそうですね。今はやっていないんですか?

老人:あぁ、やってないよ。
健司が下から高槻に声をかけてくる。
ともかく止めておきなさいと言い残して、老人は山を降りていく。

尚哉はたどり着いた健司に、先ほどの老人の様子を説明する。
尚哉:まとめるとあの人は山神様を知っていて、お盆の間は特別なことがあるからこの山に登っちゃいけないそうです。
やらなくなったはずの祭りを今もやってるっていうのが、よくわからないんですけど。
健司:そうとう訳アリだな。
高槻:健ちゃんの方は?
山の向こうの村まで行ってきた健司は、「向こうはこっちよりも若者が多いらしい。山の向こう側にも神社があって今日は盆踊りで皆が準備をしていた。」と状況を伝える。提灯の色を高槻に聞かれ「赤だ。祭りの終わり時間は夜の11時だそうだ。」と答えた。更に、こっちの祭りがあった頃も、向こうの村は山を越えてこちらの祭りには絶対に参加しなかったらしいと。
その理由を高槻に聞かれ、健司はその理由を「お化けが出るから、だそうだ。」と話した。

「これは益々行くしかないね。」高槻を先頭に、健司と尚哉も神社の奥に入っていった。

生方が巫女のバイトをしている神社

生方が、バイト先の神主(ベンガル) に話を聞きに行く。
佐々倉古書店で見つけた、あの本の記載について尋ねに行ったのだ。

盆踊りの時に、
のろいの文句を唱えると
死者が戻ってきてくれる

(ページをめくると)
盆踊りの
提灯は青

古書を読みながら神主が答えてくれた。

神主:盆踊りのときに、死者が帰ってくるっていう話自体は、珍しくはないよね。
生方:そうなんですけど、なんかこの本自体からなんというか・・・恐れみたいなものを感じるんです。
神主:瑠衣子ちゃんのゼミの先生は何て言ってるの?
生方:この本のこと、まだ話せてなくて。
神主:珍しいな、瑠衣子ちゃんの言う「おそれ」って、恐怖のこと?
(うなずく生方をみて)当たってるかもね。これを書いた人は、何かを恐れている。
生方:どうしてそう思うんですか?
神主:
(御幣の紙が棒に巻き付いているしるしを指さし)これは、巻き幣(まきべい)だよ。昔一部の地域で使われた、未練を残した死者がこの世に戻ってくるのを防ぐおまじないで、この筆者がここに巻き幣を書いたのは、死んだ人が戻ってくることに恐怖を感じていたからだと思う。

そう言って、神主は戻っていった。
生方は、スマホを手に取り高槻に連絡をしようか、まだ戸惑ってしまうのだった。

神社の社殿近くまでたどり着いた3人

なぜか若者である尚哉が、一番遅れてついてくる。高槻に持たされた荷物が結構な重さだったからだ。
中身は、買ってきたブドウと分けてもらった桃、そして弁当だ。
(お弁当にフルーツって)なんか楽しもうとしてますよね。息が切れそうで、尚哉はくたくたになる。
お札所に一礼をし、金銭を箱に入れた高槻はお札を手に取る。
山の絵に、御符 と書かれ筍の絵がついていた。
やっぱりね、高槻は何かを確信したようだ。

佐々倉古書店

生方は、花江から健司と尚哉と高槻が、健司の車で「盆踊りの調査に出かけた」ことを知る。
健司が怖がっていたと聞き、なぜ盆踊りの調査で怖がっていたのか尋ねると、「なんかその盆踊りで死んだ人にあった人がいるんですって。」と聞いて驚く。しかも今日はお盆だ。

神社で

社殿の周りを眺めて歩く高槻。二人はそれを少し離れてみている。
尚哉は、健司にずっと高槻と一緒にいるのに怪異などを信じないことについて、聞いてみた。
健司は、高槻が怪異にのめり込むのも良くないと思っており、健司曰く「先日テレビに出たのも、今の自分の姿を見た誘拐犯が何か反応するかもしれないと思っているようだ。」「犯罪か怪異か・・・。どこかでケリがつくと、あいつも楽なんだろうけどな。」と高槻を見つめながら話した。尚哉を見て「お前の決着もここでつくといいな。」そう言って高槻のいる方へ歩き出していった。

佐々倉古書店の前から、スマホで高槻に連絡をとる生方。
自分には危ないからと止めた調査を、高槻が続けていることを心配している。
自分がその後調べた内容をスマホに送信するので、絶対に読むように伝えた。

社殿の前で、お弁当を食べている3人。
健司がブドウを食べていいか尋ねると、「それはダメ。あとで。」と高槻に却下される。
生方から高槻のスマホに、データが送信される。尚哉がそろそろ降りなくていいのかを訪ねると、高槻は「降りるのは8時を過ぎてから、子供たちがいてはいけない祭りに行くよ」という。
やっていないはずの祭りに行くと言い出した高槻を不思議がる健司。普通の盆踊りはもうやっていない。でもあの老人が言ったもうやってないよ。 の言葉は嘘だった。健ちゃんが調べてくれたことを合わせても、青い提灯の祭りはあると思うと言う高槻。自分が調べたことがどう関係あるのか、健司が聞くと「こっちではお化けが出るんでしょ。たぶんこの村では今日、死んだ人たちのための祭りをやる。」そう答えながら、生方から届いたメールを見せる。あの記載にある 盆踊りの時に のろいの文句を唱えると 死者が戻ってきてくれる 健司が今までの話と一致することに気が付く。

夜が来て、祭りが始まる直前

バックから高槻が3人分のお面を取り出し、お盆の意味について話し出す。元々盆踊りには、お盆に帰ってきた死者や精霊を供養する意味があり、地方によってはお面・傘・頭巾で顔を隠して盆踊りをするが、これはあの世から帰ってきた死者が踊りに紛れ込んでも気づかないようにするためだという説が有力なのだと言う。あの当時、従兄がくれたお面を被っていた尚哉は、そのために祭りに入り込めたのかもしれないのだ。また、死者に顔を見られるとあの世に連れていかれるという説もあるため、気を付けるように高槻が注意を促した。健司は「それは重要な情報だ」としっかり面を頭にかける。

その時、戸の隙間から霧が入り込んでくる。
尚哉は霧の入り込んできた向こう側に、青い提灯を見つける。
霧の量が多すぎ、健司の顔はもうわずかしか見ることはできない。恐る恐る高槻を呼ぶ尚哉。高槻もその提灯を見つけ、尚哉に語り掛ける。

高槻:深町君、絶対に近くにいるから、忘れないで。
尚哉:はい。
高槻:呪いはね、呪われたと思い込んだら負けなんだよ。

帰ってきた。帰ってきた。
お前は孤独になる。お前は孤独になる。
尚哉の耳にだけ、大合唱が聞こえる。恐ろしくなった尚哉は耳をふさぐ。
高槻にはその声が聞こえないようだ。

帰ってきた。帰ってきた。
お前は孤独になる。お前は孤独になる。

堪らず尚哉は、社殿を飛び出してしまう。高槻がその後を追いかけるが、尚哉の左手を掴んだ時
二人は転んで、なぜか尚哉がつけていたお面だけが地面に落ちてきた。
尚哉の姿はどこにもなく、立ち上がった高槻は青い提灯を見上げ、尚哉の名前を呼んでその姿を探すのだった。

ひとり気が付いた尚哉

幼い頃、父や母と暮らした場所の近くで目が覚める。高槻を探すが姿はない。
見覚えのある場所で、向かい側から幼かった自分と母が歩いてくる。立ち止まり、道の向こうに父と女性が歩いているのを見つけた幼い尚哉。(これは、尚哉が昔父の浮気の現場を見た場面だった。)父に話しかけると「尚哉、このひとはお父さんの仕事先の人だ。と言う。耳を押さえ、顔をしかめる尚哉。父が嘘をついていることを母に伝えると、そんなことは知りたくないのよ。と叱られてしまう。

小学校の教室。男子に呼び止められ「皆で遊びに行くからお前も来いよ。」と言われ、耳を押さえる子供の尚哉。どうして嘘をつくのかを聞くと「お前が気持ち悪いからだよ。」と言い返されてしまう。「何が嘘がわかるだよ、そんな変な奴。変な奴同士一緒にいろ!」そう言われて指さす先には、背中に傷を負った高槻(幼少期:高橋來) が泣きながら廊下を歩いていくのだった。

佐々倉古書店の2階。難波に呼ばれて振り返ると、大学生活で知り合った者たちがテーブルについている。
姿が見えなかった高槻を心配していたことを伝えると
「何言ってるの、深町君から離れるわけないじゃないか、君がいると便利なのに。ウソ発見器になるからね。」「お前嘘がわかんの?それかくして一緒にいたんだ。(難波)」「何の知識もないのに先生の助手になれたってそういうこと。(生方)」「こっちにこないで。(花江)」「いいじゃないか、こいつがいると彰良が落ち着くんだから、利用価値はある。(健司)

お前は孤独になる。
お前は孤独になる。
お前は孤独になった。
お前は孤独になる。

堪らず、二階から駆け降りる尚哉。耳をふさいでいると今度は、高槻の研究室にいる。
高槻がボードに「死」「穢(けがれ」という字を書いている。
高槻:死は穢れと言われるよね。つまり、死者の祭りに参加した君は、汚れているんだよ。
だから、生者の世界に君の居場所はない。

だが、尚哉は高槻に言われたあの言葉を思い出していた。

7話。高槻が研究室で自分の背中の傷を見せたとき

高槻:もし君が、自分に起こったことと向き合いたいのなら、僕は付き合うよ、とことんね。

********************************

尚哉:偽者だ、本当の先生はそんなことは言わないっ!

高槻:僕は、ホンモノだよ。

耳を押さえた尚哉は確信する。

ほら、俺に嘘は通用しない。

***************************

盆踊りの太鼓の音・・・尚哉は神社に戻ってきた。
高槻の名を呼びその姿を探す。踊りの輪の中を歩き回ると、後ろから手を掴まれる、それは尚哉の祖父だった。
祖父:戻ってくるなと言ったよな。

帰ってきた。帰ってきた。帰ってきた。

面をつけてた人々に取り囲まれる。
祖父:お前は山神様にとられた子。もう戻れねぇ。

帰ってきた。帰ってきた。帰ってきた。

放してもらえますか、面をつけた高槻が二人の前に進み出てきた。尚哉に面を渡し自分の面を外そうとする。

尚哉;先生、外しちゃだめだ。
高槻:大丈夫。(尚哉は高槻に駆け寄る)
祖父:お前たちは生きているにもかかわらず、この祭りに入り込んだ。代償を払わなくてはいけない。

社殿の中

祖父は、目の前に三つの飴を並べ「もう知っているな、何が起きるか。お前はべっ甲飴を食べて孤独になった。(そう言ってべっ甲飴を抜く)だからお前たちは、あとの二つから一つ選べ、失うのは「話すこと」か「歩くこと」か。」と問いかける。
高槻は、「それなら僕が二つ選びます。それで代償は十分でしょう。」と答える。高槻が飴を取ろうとすると、祖父が取り上げる。

高槻が、やっぱりそうなんですね、あなたは好んで代償を払わせているわけじゃない。そしてこの祭りは、恐ろしい死者の祭りじゃない。それを聞いて、驚く尚哉。生方のデータによれば、「盆踊りのときに のろいの文句を唱えると、死者が戻ってきてくれる。」と書いてあった。のろいの部分は「ひらがな」だった。あの筆者は、何かの文献でそのような記述を見つけてきたと思うが、おそらく元の記述には「のろい」の部分は漢字で書かれていた。「呪い」という字はそのまま「まじない」とも読み、盆踊りの時にまじないの文句を唱えると死者は戻ってきてくれる。幽霊は恨みがあるとこの世に現れるとされているが、ときには生きている人間を慰め、生きる希望を与えるために現れるのだと。大きな災害のあとに多くの人が幽霊を見たというのがそのためであろうと。祖父たちは生きている人に呼ばれて戻ってきたのではないか、と。

尚哉は、祖父が自分のために来てくれたのかと尋ねると、祖父は面を外し「だとしても、生きている人間がこの祭りに来てはならない、代償は払え。」と告げる。

帰ってきた。帰ってきた。帰ってきた。 またまた大合唱で、面をつけた者たちがやってくる。

代償なら払います。そう答える高槻。
かつてイザナギノミコトは、死者の国を脱出するとき追手の前に頭に飾ったつる草を投げた、その草はみるみる育ちブドウになったという。(手に握られていた巨峰を床に置く)追手がブドウを食べているうちに、イザナギは逃げた。
そう言って、尚哉の手を掴み動き出す。
それでも追ってきた追手に、イザナギは櫛の歯を折って投げた。櫛は筍になり、追手が筍を食べている間にイザナギはまた逃げた。(お札を取り出して撒く、追手はブドウに手を伸ばしている)

帰ってきた。帰ってきた。帰ってきた。

二人が振り返ると、追手はついてくる。

高槻:呪いは呪われたと思い込んだら負けだ。
尚哉:呪いは呪われたと思い込んだら負けだ。
二人:
呪いは呪われたと思い込んだら負けだ。

もはや呪文がえしっ!

二人は手をつないで走り出すのだった。

明け方、神社の入り口の石段で、倒れ込んでいた二人。
健司と生方が駆け寄ってくる。
起き上がった高槻は健司に駆け寄り、桃を3個取り出すように言う。

それでも追ってくる軍隊にめがけて、イザナギが桃を3つ投げると
追手の追跡は止んだ。
そういいながら、受け取った桃をひとつずつ石段に置いた。

これで、山神様が許してくれるといいけど。
転んで泥がついたまま、高槻は後ろの尚哉たちを振り返った。
結局、健司は意味が分からず何の話だ?と言っている。

高槻:全部説明したら、健ちゃんの人生観変わっちゃうかもよ。

理解できない健司を置いて、高槻は先に石段を下りていく
心配した生方に、瑠衣子君の調査が役に立ったよ。僕が止めろと言ったときに調査を続けてくれて助かった。ありがとう。そう感謝を伝えた。
生方がどうしてここに来たのかを尚哉が尋ねると、どうしてちゃんと高槻の面倒を見なかったのかと叱られる。
健司がバックを尚哉に持たせて、4人は山を降りていく。
神社の方角を振り返る高槻。

喫茶店で遠山と話す尚哉

メモ帳に「呪い」と書いた文字を見せて、遠山になんと読むか尋ねる。
遠山;のろい・・・だろ。
尚哉:まじないとも読むそうです。のろいとまじないって、随分印象が違いますよね。俺は家族とうまくやれてるわけじゃないですし、大学に入ってよく話す相手はできましたけど、友達って言いきっていい関係でいれるか不安だし、恋人も無理かなって思います。
でも・・・俺、孤独じゃないです。家族とか友達とか、恋人って名前の人はいなくても、俺は孤独じゃない。
だから、あの祭りで本当に大切な人を見つけるための「まじないをかけてもらった」って、思うことにします。
遠山;そうか・・・。

遠山は尚哉を否定するわけでもない。歪みなく話す彼の言葉に、少しだけ自分が救われたような気がしたのかもしれない。

研究室に向かう尚哉の声

本当はどうかなんてわからない。のろいなのか、まじないなのか。自分の人生に起きた現象を変えられないなら、解釈を変えてみようと思う。

ドアをノックして研究室に入ると、ボーボー頭の生方が床に転がっていて驚く尚哉。次に出かけるときは、自分に声をかけてから出かけるよう、尚哉に注意すると再び床の住人になる。高槻曰く、どうやら資料を読み込み過ぎて頭から離れなくなってしまい、床で頭を冷やしているらしい。尚哉はそっとブランケットを生方にかける。高槻はいつもの調子で飲み物を勧めてくる。

高槻;飲み物を用意するね。選択肢はココアかコーヒーか、紅茶かほうじ茶。紅茶かほうじ茶はティーバック仕様。因みにココアは初めてココアを作った国、オランダ産だよ。
尚哉;コーヒーをお願いします。
高槻:思ったより頑固なんだね。
尚哉:はい、これが俺なんで。

(尚哉の声)俺がどういう人間かは、これから自分が決めればいい。
研究室の扉は閉まっていく。

第8話終了。 文字数27608文字程度。乙!


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