かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

流行建築通信10/ハイブリッド

2005年11月26日 | 流行建築通信
 「ハイブリッド」という言葉もよく耳にする。雑種、混成といった意味だが、建築用語では「ハイブリッド構造」「ハイブリッド都市」なんて言ったりする。木質ハイブリッド構造なんて何かと思えば、梁に鉄骨を入れたり、RC造の3階を木造にしたりする事も含まれるらしい。それなら僕らもやったことがある、なんて胸をはる。
 ハイブリッド化の背景に、実はコンピュータの構造解析技術の向上がある。RCや鉄骨、木などの多種な構造部材が入ってきても複雑計算が可能になってきた。要するに大工の基本原則「適材適所」の現代版と考えればわかりやすい。だけどこういう言い方は本末転倒で、構造計算を待たずとも大工はずっと変わらず適材適所で強度もくせも違う多様な木材を使ってきた。世間を騒がしている構造計算という概念を持ち込まれるようになって、さぞ大工は迷惑なことだろうと思う。
 昨日のテレビで、縄文人はなぜ米を主食としなかったか?というような番組をやっていた。縄文人も稲作を行なっていた事はようやく常識となってきた。それでも縄文人は、狩猟に漁撈、山菜やドングリなど多様な食材を求めた。それは気候条件に恵まれていた事もあるが、リスクを分散したんじゃないかとコメントしていた。食糧源を一つの生産システムに頼らない方がいいという知恵。縄文社会も立派なハイブリッド志向であった。