きれいなきれい〈田添公基・田添明美のブログ〉

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モンゴメリと私       田添明美

2020年11月04日 12時02分39秒 | 「いたずら」田添明美

古い物を片付けていたら、
高2の時、弁論大会で3学年の中で優勝した下書きが出てきた。
そして、その中に書いた友との誓いも出てきた。
彼女は、今高校時の夢通りに、女優をしている。
そういえば、以下文の従兄弟は、東大へ行った。
以下、長くなるが書いてみる。自分が書いた通りの人生を送ったかは、
疑問である。

【澄んだ目】
皆さん、皆さんはモンゴメリの「赤毛のアン」を読んだ事がありますか。
読んだ人は誰でも、主人公アンの底知れぬ空想力に魅せられた事と思います。
私も、そのアンに魅せられた一人です。
私がアンと出会ったのは小学校5年の時、私は夢中になって、ある友と
空想の城を築いたものでした。
「輝く湖水」「恋人の小道」「秘密の森」…そんな名前をあちこちに付け
二人は互いをアンと呼び合い、少しでもアンに近づこうとしたのです。

そして2年経ち、その友は転校していきましたが、今までの5年間、
アンによって––––空想の世界でしっかりと結ばれたおかげで、
二人の友情は続いています。

人は、これを単なる少女趣味と呼ぶかもしれません。
「そんな夢のような事」と軽蔑さえするかもしれません。けれども
私はそんな人の事を–––––夢や空想の世界を忘れてしまった人達の事を
悲しく思います。

それを形成する要素である、単純さと叡智と勇気とユーモアと誠実。
そして1番大切な 心の清純さ……そんなものを失いたくない、
そして又、失ってほしくないと思うのです。

夢や空想の世界を軽蔑する人に、忘れている2つの重要な事があります。
1つはそれを軽蔑するまでに汚れきった醜い自分の心の事。
もう1つは、夢や空想はあくまでも現実の認識の上に立っているという事実、
つまり、それらは大地にしっかりと根をおろしているという事です。
純粋な空想の世界には、夢遊病者はいないのです。
彼らの顔は、生気にあふれ、希望に燃えています。
毎日を確実に歩んでいるのです。

空想の世界は、けっして現実からの逃避行為ではなく、人生を歩む為には
当然でてくる所の、現状の辛さや苦しさを克服する手段でもあり、さらに
毎日の生活に夢と希望とを与えてくれるものでもあるのです。

こんな事もありました。
毎年夏休みにやってくる従兄弟に洋という男の子がいます。
4〜5年前の事、その子が幼稚園に入った頃の事でした。
ある暑い日、私が本を読んでいると、私の妹とその子が買い物ごっこを
している声がしました。
「その鉛筆下さい」「はい、10円です」
声の方を向くと、洋君が妹の赤い財布から、紙のお金を取り出していました。

しばらくして、妹が1人でいるので「洋ちゃん、どこへ行ったの?」
と聞くと、妹は「知らないけれど、さっき洋ちゃんがノートをほしいと言っていた」
と言うのです。
私はもしや……と思いました。
そうです、私は文房具店へ飛んでいったのです。
洋君は、その文房具店で店員から、ノートを受け取り、真っ赤で小さな財布を
開いて、紙のお金を取り出していたではありませんか。
それからの事は、皆さんの御想像におまかせしましょう。

この事は単に、大人の目から喜劇として見るべきではなく、子供の心に浮かんだ
小さく素直な夢として見るべきではないでしょうか。
こんなように、空想の世界は毎日の生活の中に、あふれています。
ただ大人になるにつれて、そのような世界を忘れていってしまうだけなのです。

皆さん、思い出して下さい。
小さな頃、蝶々やトンボを見つけた時の喜びや
星の美しさに驚く事のできた自分を–––––––。
そんな素直さが 幼さが とても大切な事だと思うのです。

空想の世界、それは私達にとって、非常に素晴らしい
小さな宝物だと思います。
私達は、夢や空想の世界を、いつまでも持ち続けようではありませんか。

 

 

【追記】

20才で買ったアンブックス10巻を、先日12巻買い直し、読んだ事のない2巻を読み終えると、巻末解説に(2008年9月に、薬を服用したことによる死因が故意だったかもしれない、とあえて公表された……モンゴメリの死因が自殺だった可能性がある……)とあり、ショックを受けた。

モンゴメリは後半生鬱病に悩み、その薬服用過多で亡くなったそうです。(モンゴメリの「死」については、遺族により彼女が「自ら命を断った」とアン出版百周年の2008年に公表された)とも記されてありました。67才永眠。

再び、モンゴメリの仕事に感謝し、今は、安らかに休んで下さることを祈ります。

 

 

 

        



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2 コメント

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Unknown (みっにー)
2020-11-04 22:16:07
よく残っていましたね!
原稿に「親友の決まり」
ビックリしました。
そういう類のものはすべて捨ててきたので、残っているなんて素晴らしい。
いい思い出ですね。

今でも詩を書き続けていることは夢の一つではありませんか?
それも素晴らしい事でしょう!
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Unknown (田添明美)
2020-11-05 07:20:15
発見したので、益々捨てられなくなりました。

紙のお金云々の箇所は、今では全く記憶にありません。やはり、残しておくと、面白いです。

詩は、唯一の夢かもしれません。
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