実家は、本家だった
お盆になると 朝のうちに
男衆が 墓地の草刈りに行った
なぜか
女衆は 男衆より先に
昼間 墓参にでかけた
夕ぐれ
本家である当家に
分家の 男衆が集まり
全員
夕ぐれのなかを、
白い 羽織を着て
黒い 家紋の入った
白い 盆提灯を持ち
墓地に 向かって歩いて行った
ぐっと
苦虫を噛みつぶしたような
明治生まれの
男衆が 寡黙に歩いて行く姿は
威厳があり
そして
小学生の私は、たまらなくこわかった
その風習はもうない
分家と本家の関係も とうに
なくなった
しかし、
夕ぐれ
白い羽織姿で
盆提灯を持ち
歩いて行った
明治生まれの 男衆の姿は
消えないのだった
R3.5.4
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