ポストに、「どうつぶ」からの手紙が入っていた
ごつごつした空色の封筒を 開封すると
なつかしい なまぐさい匂いがする
緑色の便箋に、徹底的に不器用な文字で
(じぶん・このように・生きてる
げんき?)とあった
「どうつぶ」の住処
あの岩穴に、ペンはあったのか
郵便屋さんは なぜゆえ わたしの住所を知っていたのか
ともかく、躍り上がった
返信はできなかった
「どうつぶ」の住所は、書かれておらず
わたしは もう、「どうつぶ」と出会った
あの草原の場所を 忘れていた
「どうつぶ」が、振り返ってくれた!
その意味は、
「どうつぶ」とわたしで、創ればいい
「どうつぶ」が 岩穴から這いだし
日溜まりのように あたゝかな場所にいてほしかった
「どうつぶ」を選ぶには
何かを、捨てる必要があった
が それは、後回し
それからの夜更け
毎夜 毎夜、
わたしは 「どうつぶ」の火を吐く吠え声に
耳を傾けた
そして
ただ 返信することに決めた
呟く
(わたし・ここに・いる)と
その時
誰よりも、 幸福だった
R3.6.17