英語と書評 de 海馬之玄関

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コラム:日本人の英語講師を悩ます「be / have / get / make 等に続く副詞句的な単語列」を巡る質問

2022年06月09日 10時38分04秒 | 英文法の話題

ブログ冒頭の画像:記事内容と関係なさそうな「食べ物やお料理さん系」が少なくないことの理由はなんだろう?

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4e03beafbd5b690bed61fda9e978db7a

Ichiju-sansai (一汁三菜)  

One soup and three dishes besides rice,

traditionally if not customarily, 

Japanese meal has.
(伝統的にとまでは言えないとしても伝統的な日本の食事の基本は一汁三菜です)


「食事」と「料理」で英語名詞の性質と役割分担を考える

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/56aaad6b64fecdd660ace8ae0904fda6

 

 

日本語母語話者の英語講師は受講者が次のような英文を持参された上で「これ第何文型なんですか?」と質問されると憂鬱になる。少なくとも、憂鬱になる先生は少なくない、多分。否、間違いなく😢 日本の食事の基本がいまだに「一汁三菜」であるのと同様に、英語センテンスの構文理解の日本の基本は「5文型論」だから。


1)They had any of the item left in stock.
2)She had the rest of the day free.
3)I want you to have this room clean and tidy.
4)I am glad you made it to this party.
5)I'll be in touch with you again.
6)Can you make it at 7 p.m.
7)I've got to get going right now.
8)You are in for a treat.
9)Let's get started.

1)あの店ではこの商材の在庫が払底していた。
2)その日それからの時間はとりあえず何も予定はなかった。
3)この部屋を整理整頓した上で掃除もしてくださ
4)パーティに来ていただいて/まにあって嬉しいです。
5)また、ご連絡させていただきます。
6)午後7時にあのレストランで落ち合えるかな? 
7)もう、行かなきゃ🔥
8)そこで楽しめますよ❤
9)さあ、始めましょう❗

もちろん、1)2)は動詞 have が「SVOC」の構文をとるケースとして日本の英和辞典には大抵書かれています。また、3)も依頼・命令・願望を表す頻出の「want +他者+名詞的用法の不定詞」がこのセンテンスの肝ですからこれが「SVOC」または「SVOO」であることは講師の皆さんもそう無理なく説明されていると思います。

そして、4)も質問と回答を「文型」だけに絞れば、このセンテンスは「I am glad that you made it to this party.」という、わたしがなぜ嬉しいか、その理由を説明する「接続詞 that の導く副詞節」が後段に来ているだけの「SVC」ということも容易に納得していただけるのではありますまいか。

残りの5センテンスは、しかし、[a]文型判定が難しいか、または、複数の「正解」がありうる。さらには、[b]あるタイプのセンテンスに関しては、その意味の把握において、文型判定は外務省なみに役立たずか、文部科学省や朝日新聞の如く日本語母語者と日本にとって有害無益、あるいは、その両方と言えなくもない、鴨。

Here is the thing.(ここからが問題なのです)

 

なぜ日本では5文型論が生き残っているのでしょうか?

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5b315dd60b6ef715fc92a701ae09bf76

英語史的文法論の要点覚書--異形の印欧語「現代英語」の形成、それは「格変化」の衰退から始まった

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/91718985f1a5d1b7df4c7485a966c123

英単語は2000語も覚えれば充分?⬅そんなわけないだろう❗ (*^o^)/\(^-^*)

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/58dcb4dfa601a3321646ab7d6bcf1029

英米人の英語講師が嫌がる質問≒「このV-ingは動名詞ですか現在分詞ですか❤」

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/c9711f156b8dba8498a175d7582e8803

 

 

 

確認しておきます。ここで、英語の

「センテンス」①等位接続詞(and, but, or, nor, so, for 等々)及びコロンとセミコロンが「S➡V構造」を導くケースを唯一の例外として、②大文字からはじまってピリオド/クエスチョンマーク/吃驚マークまでの「S➡V構造」をとる単語列と定義するとき。

 

英語の従属節-記号表記の試案

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9ee7fdce2f5e1d256850b930664ea154

謂わば「5文型原理主義」からは、センテンスの骨格、センテンスの構造を把握するための、そう、比喩を使えばレントゲン撮影とも言えるこの作業において、

(甲)限定用法の形容詞類はすべて修飾語句でありレントゲン画像から一切除外、(乙)接続副詞・副詞類はすべて修飾語句でありレントゲン画像から一切除外。加之、(丙)句動詞・句前置詞動詞とリンクしない、単体の「前置詞+名詞類」は漏れなく副詞類であり修飾語句、よって、粛々とレントゲン画像から除外、更には、(丁)名詞節以外の従属節(形容詞節と副詞節)はこれまた修飾語句か副詞類でありレントゲン画像から除外する潔い立場からは

残りの5センテンスの文型判定自体もそう難しくはない。すなわち、

5)I'll be in touch with you again.➡SV
6)Can you make it at 7 p.m.➡SVO
7)I've got to get going right now.➡SV / SVO
8)You are in for a treat.➡SV
9)Let's get started.➡SVO 

(尚、実はKABUは文型判定苦手な人です😢 上の判定間違っていたら

ゴメンなさいです。I should apologize to you in advance.)

 

繰り返します。「文型」がクリアになったことでこれらのセンテンス理解も、大凡、クリアになったと言えるでしょうか? わたしにはそうは思えません。逆に言えば、文型当てクイズで全問正解できる方が実は――あるタイプのセンテンスについては――それらのセンテンスの意味をあまり理解できていないということもありうるということ。再述します。葢し、センテンス理解とセンテンス作成のプロセスに置ける文型論の難点は、

[a]文型判定が難しいか、あるいは、複数の「正解」がありうること

[b]あるタイプのセンテンスでは、文型判定は邪魔かつ有害無益、

それ、「角を矯めて牛を殺す」の愚に陥りかねないこと

 

わたしたちは「文型論」、就中、所謂「5文型論」を否定するものでも批判するものでもありません。文型論は「あるタイプ以外の大部分のセンテンス」に関しては、――「🐙省略🐙」という方便を併用すれば――正確かつ簡便に当該センテンスの文の構造と、加之、文の大枠の意味を明らかにしてくれる勝れものの「戦法」だと思っています。

よって、――文型論が日本だけに見られるローカルなものである現実を踏まえるとき、――文型論が英語スキル研修開発現場で生起させている問題は、米英の ESL の文法クラス、または、米英のアンダーグラデュィエートのライティングクラスで教えられているメソッドを始め、英文の意味にアプローチする幾つもある「戦法」の一つでしかない文型論にこだわってしまうこと

ならば、文型論も英文センテンスにアプローチする際に使える便利かつ優秀だけれども、しかし、それも完全な閉じた体系などではありえず所詮一つの考え方一つのものの見方なのですよ。と、そう発想を切り替えませんかというのが本稿の主張でありご提案なのです。

ベースボールの投球に比喩えれば、普通は直球とカーブだけで間に合っているけれど、あるタイプの打者にはフォークも混ぜないと抑えにくい。将棋に比喩えれば、いつもは矢倉戦法を用いてまあまあ満足な成績なのだけれど、あるタイプの対戦相手には矢倉戦法では分が悪いよって、彼等には棒銀戦法か急戦中飛車戦法を採用することにしている。という感じ🌺

ならば、これらとパラレルに英文センテンスの理解と作成に際しても「あるタイプのセンテンス」に遭遇したら文型論はやめて、というか、別のアプローチ方法と文型論を併用した方が良いのではありますまいか、ありますまいか。と、思います。而して、文型論と相性があまり良くないその「あるタイプのセンテンス」(a certain sentence; the chemistry is bad for the theory of basic sentence patterns and it)はどんな選抜メンバーか? はい、それは、

そのセンテンスの述語動詞が世間界隈の状況を描写するモードのときの、be, bring, get, have, hold, keep, leave, make 等をとるセンテンスの一部、および、一部の 一般動詞をとる there 構文のセンテンスと考えておけばまず大丈夫でしょう。その述語動詞が「~の状態を手にした」「~の状態にある」「これから~の状態になる」を意味するモードのセンテンスということ。

そして、このタイプのセンテンスでは述語動詞の後方の単語列は一まとまりの「描写が上映される舞台」、つまり、丸ごと一まとまりの「後方空間」と割りきることが肝要だと考えます。

再帰構文がまだ元気だった18世紀の別の事例ですが、――与格名詞が前置詞 for とかと連携した――世間界隈の状況を描写するモードの雰囲気はこんな感じです。この make の後方空間では「彼女は良い奥さんになるでしょう」という状況が物語られていませんか。

She will make herself a good wife.

再帰代名詞が省略されると❗

She will make a good wife.(≒現在の標準的センテンス)

She will make a good wife for him.(「for him」は与格名詞の現在の形)

She will make him a good wife. (「him」は与格名詞➡間接目的語)

 

而して、現在、その述語動詞がこれら世間界隈状況描写モードになっている内の少なくないセンテンスは、実は、13世紀ー14世紀(本邦では鎌倉時代後半から室町時代前半、北条得宗家➡足利将軍家の全盛期)に当時の与格名詞と対格名詞が現在に至る名詞の目的格に統合されるに際して、与格支配動詞と与格名詞のつくる構文(現在は↗元の与格支配動詞+前置詞 for とか+元の与格名詞の目的格)に遡ることができるのですけれども。

尚、蛇足ですが、この同じ時期に属格名詞は大挙して「前置詞 of+元の属格名詞」に移行して現在に至っています。例えば、「She will make a good wife of her. 」のように。

「of 禁止令」を真面目に考えたくなる日本人英語の特徴 (/。\)

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/431919d142418ee269ec84dbeb5a7870

いずれにせよ、このモードの構文理解では、[A]「文の要素」とか「文型」とかは気にせずに、[B]世間界隈の状況描写モードのその have さんなりget さんの後方の単語列を、「状況描写モード have / get さんの後方空間」(≒状況が展開される舞台)としてまとめて丸ごと捉える。一種、使役構文とも似ていますが、この世間界隈状況描写モードは多様なジャンルの表現が可能ですし、また、後方空間の丸ごと感がより大切、鴨。

 

と、本編記事はここまで。

竜頭蛇尾の記事。まあ、朝日新聞の社説のように

羊頭狗肉ではないと思いますが、各論は翻訳記事、

英語随筆の記事内で今後展開していきたいです。

 

 

 

註:🐙「省略」の意味と射程🐙

英文法のスキルとしての「省略」や「倒置」の内容と意味は英文法研究者の間でもそう確定しているようには見えません。けれども、次の諸項目はどの論者も紹介されているもの、鴨。

従属節における主語 + be 動詞の省略

感嘆文における主語の人称代名詞 + be 動詞の省略

受動態の分詞構文での being, having been の省略

関係詞と関係副詞の先行詞省略

名詞節を導く接続詞 that の省略

比較構文における共通要素の省略

共通構文における共通要素の省略

口語の疑問文での「do + 主語」の省略

*上に列挙した個々の「省略」の内容は是非、Michael Swan「Practical English Usage」(Oxford University Press) 等々でご確認ください。但し、「省略」と文型論の交錯という視点から反芻するの場合には、「ロイヤル英文法」「総解英文法」等々の和書も便利。また、「省略」の難所である否定構文での省略、更には、否定構文と比較構文が組合わさったセンテンスにおける省略については「日本人なら必ず誤訳する英文」などの越前敏弥さんの一連の書籍をお薦めします。この論点においても越前さんの説明は秀逸ですから。

 

而して、この註でわたしが「省略」について述べたいことは個々の具体的の内容ではなくて「省略」という言葉を巡るメタレベルの事柄です。

 

▼時空の推移とともに「省略」の範囲・内容は変わる

いまどき別れる際の挨拶や朝の挨拶で「good - bye」「good morning」ではなくて「God be with ye.」「I wish you a good morning.」と言う人は皆無でしょう。あるいは、次は、1600年頃までは主格の関係代名詞も省略されていたことの例として有名なセンテンスですけれど、現在ではこの省略は許容範囲外。

I have a brother 【who】is condemned to die.

(余命いくばくもなく病と戦っている兄弟がいます)

(Shakespeare 1564 - 1616, Measure for Measure) 

 

なにより、次の如き省略の適用はもう常態と言えますよね❗ ならば、常態となった省略をも「省略が施されたセンテンス」の集合の範疇に含める意味はなんでしょうか? それは英文センテンスを理解し作成する上でなにか御利益がありますか?

Let's get 【it】started.

I didn't know what 【I was】to do ?

We didn't have no idea 【as to】where we would eat out ?

When is 【it】 convenient for you ?

(さあ行くよ❗/頭真っ白でした/外食の店が決まらんです/いつが都合いいですか)

 

▼前提としてのプロトセンテンスの存在は便宜的な想定

省略が常態化しているケースも含め、この世のすべてのセンテンスに――文型論からそれが望ましいからというくらいの理由で、失楽園前の――プロトセンテンスを想定すること。それは文型論者さんの自由でしょう、けれども、わたしは妥当とは思いません。再々度の本稿の結論先取りになりますが、それは、

あるタイプのセンテンスでは、文型判定、よって、省略とその前提としてのプロトセンテンスの想定は邪魔かつ有害無益であり、それ、「角を矯めて牛を殺す」の愚に陥りかねないと考えるからです。

ということで、弊ブログでは「省略」をとりあえずこう考えておきます。

省略

省略が常態ではないセンテンスにおいて、プロトセンテンスに省略操作が施され修整された後のセンテンスが、

①公共の言説空間に置かれても②修整される前のプロトセンテンスの意味との同一性を間主観性を帯びつつ保持しながら③曖昧でも多義的でもなく一義的に意味を伝えられる範囲内で④プロトセンテンスから語彙を割愛(cut away)すること、そして、そのためのスキル

要は、その省略操作の前後で、

次の要件を満たすものが有用な「省略」だと思います。

🐙意味に同一性と間主観性が担保されている

🐙間主観性と一義性が同時に担保されている

🐙明確性の担保

🐙曖昧さの排除

 

🍎🍎🍎🍎🍎

 

[もう一度告知]

ところで、わたしのこのブログ、

オピニオンとか料理ネタとか

英語教育とアイドルさんの記事混在してませんか?

ドンキホーテの棚そろえ? あざとい卑怯とは言わないが

わかりにくい❗

 

はい、KABU家にとっては、

英語研修ネタと贔屓のアイドルさんが成長する物語を

数年間をかけて観察するのはまったく同じことなのです

 

改訂版・英語ディバイドという現象

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/621f80f88ad4d1324393bb56ee5dc0d0

イギリス英語の入門書紹介――役に立つのにお洒落で楽しい「イギリス英語」の招待状のようなもの

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2387050ede4ca0a2947e1c5783157128

【再掲】貨幣価値:「あしながおじさん」に出てくる$35は今の**万円なのかしらね🐙

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/76196a7e22147ac8b22bf51986dfdf8e

英語史的文法論の要点覚書--異形の印欧語「現代英語」の形成、それは「格変化」の衰退から始まった

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/91718985f1a5d1b7df4c7485a966c123

 

そして、

 

衛星放送型通信教育☆サテライトの思想的可能性 

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4be4f8027ee2b4af78c57df2141fd95d

ソフトバンクホークス秋山幸二監督に見る<指導者の器>と保守主義の精神

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/ea5e7e17b2488c76914be3834c9e195d

草稿・科挙としての留学の意義と無意味

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/3d2bc3378bcef0da078a1b30c9681d79

ピグライフは勝れものの「マネージメントスキル開発ツール」かも
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/ee74458c5f6769163b91f13e9a13d8f4

 

および

 

防衛省Mag☆MAMOR:特集「英語力を装備する自衛隊」--英語好きにはお薦めだったりする

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2377f54478cd51ab00abbce530bf67f6

防衛省Mag☆MAMOR:特集「英語力を装備する自衛隊」--番外編「ちーぱか・すっぴんインタビュー」

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/1f6af769ca26a4d8f8a754f661e5ff09

🍎 🍎 🍎

公式TOEIC Listening & Reading 問題集 Vol.8 ↖「学習参考書」としては異次元の出来映え、鴨。

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/f9553db32ef7bc298b06cc952f4dcb8f

TOEIC公式問題集Vol.7はコロナくんとの共働制作のせいかこれまでの公式問題集の最高傑作、鴨。

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/358d3065751fde4b46c4173f4f95e643

 



 

I have a brother is condemned to die.

(Shakespeare 1564 - 1616, Measure for Measure)

昨年6月、長兄がなくなりました。

遠くから温かくみ守ってくれた兄。

【再掲】懐かしい英語教材(1)『NHK続基礎英語 英語の文型と文法』&『よくわかる英文法』

https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5b03bfe436ab9674bd389e85711d77e2

もう数日で一周忌。その兄と、筋の通った言動。

わたしが中学生の頃から畏怖する義姉を念頭に

この記事をまとめました。

KABU bereaved 

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