K巨匠のいかんともなるブログ

K巨匠:英国から帰国後、さらに扱いづらくなった者の総称。
また常に紳士的ぶりつつも、現実には必ずしもその限りではない。

メディアの利権と世論調査

2010-01-20 00:59:32 | 日本情勢
メディアの声は国民の声ではなく、
メディアの声はただメディアの声に過ぎない。


メディアによる見解はその利権を擁護するためとしか思えない時がある。
事務次官の記者会見の禁止、放送利権の制限、そして今回の検察リーク騒動。
ここには全てメディアの利権が絡むため、全力をあげて民主党を批判してきた。

どのような団体にも利権はあり、それを擁護しようとするのは当然のことだ。
だが、許せないのは、
メディアはさも国民の声を代弁しているかのように報道する点にある。
つまり、メディアは民主主義の主権者である国民の威光を借りて、
「自分たちの意見」と分らせないように「自分たちの意見」を発するのである。


そして、その最たるものが世論調査である。


世論と世論調査は違う。
まず世論とは人々の意思の総体である。
言うまでもないが、日本の世論という場合は日本国民の意思の総体のことを言う。
それに対して、世論調査とは、世論をあるプリズムを通じてみせるものである。
しかし、そのプリズムが正確でなければ、
しばしば世論を歪曲して映してしまうのが世論調査の怖いところである。

例えば、確かこんな調査があった。
「普天間基地問題に対する民主党の対応に問題あるかどうか」
この問いに対して、「問題がある」と答えた人が6割を超えたため、
メディアは民主党に早期妥結を促した。
言うまでもなく、早期妥結から示唆されるのは現行案での解決だが、
これは明らかに世論を歪曲している。

なぜなら、「問題がある」と考えている人の中には、
現行案解決を求める人、県外・国外移設を求める人など、あらゆる層が含まれるからだ。
しかし、メディアはしばしばそれを自分の政治的主張に都合のよいように解釈し、
「国民の声だから」として時の政権を批判する。


こんな例は挙げればきりがないので止めておくが、
ここから分かるのは、世論調査はその質問内容によって、そして結果の解釈によって、
かなりの程度において解釈の余地があるということだ。
すなわち、世論は相当程度「作る」ことができる。
だが、それがあたかも国民の声を正確に(つまり、それ以外に裁量の余地なく)
反映する客観的指標のように作用ところに問題がある。


したがって、読者としてできるだけ正確に世論をつかむためには、
なぜその時期に世論調査が行われたのか?
その質問の意図は何か?
表れた数字に別の解釈はできないか?
などということを考えないといけない。


世論調査は世論を見せるものには違いないが、
あくまでも「作られた世論」を見せるものであることに注意しなければ、
簡単に情勢を読み違えることになる。

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