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インテグラな日々

本、音楽、そしてスポーツ…!

沖田総司の恋

2008-01-11 01:35:40 | 司馬遼太郎



「新撰組血風録」でも異色の作品です。

まず、誰も死なない。そして殺さない。

これは、もう一つの沖田の短編「菊一文字」もそうですね。

ただ、誰も殺されないのに、非常に悲しい話です。

<内容>
結核の疑いがある沖田は、近藤や土方に内緒で、名医・半井玄節のもとへ通い出す。

やがて、沖田は玄節の娘・お悠に惹かれていく。

一方、土方は沖田の行動に不審を抱き、尾行。沖田が医者に通い、その娘に惹かれていることを知る。

驚いた土方は近藤と相談。沖田の恋を成就させようとするが…。

<感想>☆☆
これはラブ・ストーリーです。

それも、切なく、悲しい。

土方と近藤は、他ならぬ沖田のために、力になろうと奔走します。

しかし、その結果は…。彼らが予期しなかった結末につながります。

二人の気持ちが痛いほど分かる沖田は、ポツリと独り言をこぼします。

「ただ、彼女を見ているだけで良かったのに…」。

それさえも…

<沖田ファン>
大河ドラマの影響もあり、沖田ファンは非常に多いようですね。新撰組のマンガのファンも多いようです。

そういう人たちに、ぜひ読んでもらいたい話です。

海仙寺党異聞

2008-01-09 01:40:00 | 司馬遼太郎



こんな数奇な人生を過ごした男がいたんですね…。しかも、新撰組に。

オレは、主人公・長坂小十郎という男に興味を覚え、本屋で一生懸命調べました…。

当時のオレ(20代前半)は、この「新撰組血風録」にフィクション話があるとは思っていません。だから「なぜ、長坂小十郎の名前がないんだ?」と愕然となった覚えがあります。

う~ん、若かったですね。

<内容>
内容はけっこう複雑です。

主人公は、甲州出身の長坂。彼は医者になるため京へ。

ところが、金がなくなり、仕方なく同郷の中倉主膳の口利きで新撰組に入ったわけです。

ところが、中倉は隊の鼻つまみもの。長坂もけっして仲がいいわけではないのに、周囲は勝手に仲がいいと勘違い。

そこで事件が発生。

中倉が自分の女・お小夜の間男・赤座智俊に斬られ負傷。赤座に逃げられた中倉は規則により切腹。

で、長坂に災難が降りかかる。

周囲は長坂が中倉の仇を討ちたいと思っていると勘違い。土方に命令された長坂は仕方なく下手人探しを始める…。

<感想>☆☆
この話の面白さは、本人の思惑とは違い、周囲が「あいつとあいつは親友だ」とか「あいつはあだ討ちをしたがっている」と勘違いすること。

そして、主人公もめんどくさいのか、ブツブツ言いながら、周りの期待に応えていく。しかも、最後はヤケになり、命を捨てて思い切った行動に。

そんな彼に待っていたのは…。

いや~スゴいっす。そりゃ、本当の話だと思うでしょう。

逆の逆は真なり…じゃないですけど。そんな感じです。

最後の土方がまたいい味だしてます。いい意味で。

<海仙寺党>
間男・赤座は水戸藩士で、彼らが海仙寺に常駐していたから海仙寺党というわけです。違うかな…。

三条碩乱刃

2008-01-08 02:25:13 | 司馬遼太郎



映画「御法度」で取り上げられた作品です。

主人公は、なんと井上源三郎。近藤、土方、沖田と同門の理心流で、彼らの先輩。そんな井上が主人公という珍しい作品。司馬さんの新撰組ものでは、愛すべき先輩ながら、実力は?という感じで描かれています。

<内容>
ある日、井上が新人・国枝大二郎を稽古していた。

その様子を、二人の不逞浪士が覗き見し、井上と国枝のあまりのヘタさに嘲笑する事件が起きる。

事件を問題視した土方は、井上と国枝に、浪士を見つけ出し、斬るよう命令する。

井上と国枝は浪士の正体を突き止め、三条碩で彼らと戦うことに。井上と国枝の不穏な動きに気づいた沖田は、土方に連絡。土方は新撰組を現地に急行させる…。

<感想>☆☆
この作品の面白さは、国枝という男が漏らす感想に現れています。

近藤、土方、沖田という固い絆で結ばれた旧理心流の3人は腕もあり、度胸もある。ところが、理心流の先輩・井上は腕も度胸もイマイチ。土方は井上の存在を苦々しく思いながらも、捨てておくことはできない。

そこで国枝が漏らす一言。

「井上一人に、なんで新撰組がこうも大騒ぎするのだ…」

しかも、新撰組が現場に駆けつけると、当の井上は…。

明確なキャラ設定は司馬さんならでは、でしょうね。




で、関係ない話。

高校ラグビーは東福岡が優勝しました。いやー、結果を知っていても、興奮してビデオを見ました。今期はいつになくラグビーに興味がなくなった年でしたが、最後は盛り上がりました。

オレにとって、これでラグビーシーズンは終わりました。

ま、久しぶりに大物が母校に進学するのも興奮した要因です。しかし、監督! もう少し自分の母校に良い選手を入れてくださいよ! お願いします。もうW大やM大やD大ばかり良い選手を入れないで。で、来年も代表を入学させてください。よろしくです!

胡沙笛を吹く武士

2008-01-07 02:28:08 | 司馬遼太郎


「新撰組血風録」収録の本作を紹介します。

主人公は、新撰組隊士で、元南部藩の鹿内薫。東北人らしく朴訥な性格の一方、命知らずで、土方からも評価されていた。

そんな鹿内が胡沙笛を吹いていると、髪結いの小つると知り合う。いつしかは二人は良い仲となり、夫婦に。

ところが、所帯を持った鹿内は突然臆病な男に…。

<感想>☆☆
この男は隊でも珍しく、土方に愛されている男として登場します。それは放胆で無口という、土方が最も愛する典型として。

そんな男が妻を持つや否や、驚くほど臆病な男になります。周囲は驚き、困惑するばかり…。

そして大失態。

鹿内を愛する土方はチャンスを与えようとします。ここがいいですね~。普通ならすぐに粛清する土方が、自分が気に入っている男だけにチャンスを与える…。

しかし…。

最後には、いつもの怖い土方が登場します。

これもフィクションかノンフィクションかは分かりませんが、司馬さんの鋭い人物眼から生まれた作品といえるでしょうね。

歴史小説の読み方5

2008-01-06 00:52:43 | そのほか
最終章の吉川英治の章です。

オレは「上杉謙信」しか読んだことありません。

ここでは「宮本武蔵」「新・平家物語」「神州天馬侠」などが紹介されています。
「神州~」は忍者の果心居士らが出るらしいので、読もうかなと思っている作品です。

<内容>
日本の歴史小説を作ったのは、吉川英治さんだと書かれています。それこそ「宮本武蔵」は当時の大ベストセラーだったそうです。現在はそれほど熱狂的に読まれていないようですが、海外ではいまだにものすごい人気のようです。

会田さんは小さい頃「神州」などを熱狂的に読んだそうですが「宮本武蔵」あたりはダメだったそうです。これは歴史学者の梅原猛さんも言っていますが、説教くさいところがあるからだそうです。

これは苦労人・吉川さんが国民作家となったのと関係があるそうです。つまり「努力すればオレのようになれる」という若い人たちへの激励の意味もこめられていたそうです。

これ、ちょっと分かるな~。

オレも、ちょっとたたき上げのところがあるので、若いやつらにがんばってほしくて何か言うと、それが若い人にはうるさく感じてしまうんですよね。親切心なんだけど。

ただ「新・平家物語」は、ちょっと晩年で説教臭もなくなり、しかも非常に大きな意味のある作品になっていると書かれています。興味にある方は、読んでみてください。

オレ的に面白かったのは、吉川さんの初期は全くフィクション的な作品を書いているということ。「神州~」などもそうだし、武蔵もそうらしいです。

オレは司馬さんの「梟の城」に対して「歴史を勉強しろ」と言った印象が強いので、意外な感じがします。

これなぞは、国民作家・吉川さんが、脅威の新人・司馬さんの才能にジェラシーを感じたということなのでしょうか。

そう考えると、海音寺さんの姿勢というのはどういうことなんでしょうか。海音寺さんは司馬さんのデビュー作「梟の城」を直木賞に選びましたし(海音寺さんが強行に主張しなければ取れなかったはず)、司馬さんの本当のデビュー作「ペルシャの幻術師」を「読売なんとか賞」(失念!)にも選んでいます。そして、その後は司馬さんに激励(激賞?)の手紙も送っています。

面白いことに、天才・司馬さんは海音寺さんがいなければ世に出ることがなかったのかもしれませんね。

これは「コブラ」の寺沢武一と手塚治虫の関係に似ています。

そう考えると、海音寺さんは「いいものはいい」という無私の人だったと思います。普通、人間は新しい才能をねたむものだと思いますが。

だからでしょうか、当時フジテレビの海音寺さんの娘さんが、海音寺さんのことを伏せて、ドラマ化の話を持っていったことがあったそうです。断られるのを覚悟で行ったそうですが、司馬さんはすぐに海音寺さんの娘さんだと気づき、快諾したそうです。何とも、心温まる話ですね。

ま、脱線しまくりですが、いつか「宮本武蔵」は絶対読みたいですね。面白いことに、歴史好きのオヤジの本棚に吉川英治さんの本はなかったんですよね。

だから、なんとなく読まずに来ましたが、人生長い(と思うの)で、いろんな人の本を読んで生きたいと思います。

歴史小説の読み方4

2008-01-06 00:08:58 | そのほか
第4章の子母沢寛です。

「新撰組」3部作と「勝海舟」「親子鷹」が紹介されています。

<内容>
やはり子母沢さんの生い立ちが紹介されています。有名な話ですが、子母沢の祖父は彰義隊の生き残りで、けっこうやくざな人だったらしいです。子母沢さんは、この祖父に育てられたそうです。

だからか、子母沢さんの初期は「股旅物」ばかり書いていたそうです。いわゆる祖母の面影を追い求めていたようなことが書かれていました。

その後「新撰組」や勝の小説「勝海舟」「親子鷹」を書かれたそうです。

会田さんは子母沢さんがいなければ新撰組の真実は分からなかったようなことを話しております。事実、新聞記者時代の子母沢さんが新撰組の生き残りに取材したものを三部作として発表したわけですから。

司馬さんも、この三部作を大いに参考にしたと言っています。

ただ、会田さんは、子母沢さんは残念ながら祖父の影響からか、反体制の人物しか描けなかったというております。新撰組、勝海舟…と。

確かに、これなどは「書きたいものを書く」という本人の自由とも思いますが、会田さんはそう言うております。

傑作「親子鷹」は海舟と父の話ですが、まさに子母沢さんと祖父の関係と同じとありました。そして、最後に海舟が明治政府で役職をもらう前で筆を置いているのも残念だとありました。

<新聞記者>
司馬さんや松本清張さんもそうですね。記者というのは、自ら足を運び、取材し、事件の本質を見抜き、事実を書く。一方で、簡潔に面白く書く作業が求められます。歴史小説家には向いている職種かもしれないですね。

この評論を読んで「親子鷹」「勝海舟」を読みたくなりました。ま、新撰組三部作は絶対読みます。

あと2作か…。

歴史小説の読み方3

2008-01-04 23:07:43 | そのほか
続いて、新田次郎です。

オレは一度も読んだことはありません。そういえば、オヤジの本棚に「武田信玄」が昔ありましたね。

確か、司馬さんが新聞記者時代、新田さんに連載を頼みに行き、断られたそうです。新田さんは当時、気象庁勤務で、毎日帰宅後の数時間でコツコツ小説を書いておられたとか。だから、新規の仕事を引き受けられなかったということです。

オレなんか、仕事から帰ってきたら酒飲んでマッタリしてますけど、やはりできる人は違いますね。

「八甲田山死の彷徨」「武田信玄」「武田勝頼」の作品がでてきます。

「信玄」は当時、大変なベストセラーとなり、新田さんは国民作家といわれたそうです。

<内容>
この章も、やはり新田さんの長いサラリーマン生活から来る特徴が述べられています。新田さんは50歳くらいまで働き、特に偉くなることもなく辞めて作家に専念したそうです。

そして、山男だったそうです。

だから仕事がらコツコツと、そして山男らしく着実に、「武田信玄」を史実に忠実に書いたそうです。ただ、会田さんは忠実に書きすぎているために、話の大筋に関係ない話も乗せていると言っています。

確かに、司馬さんは主人公を起承転結に当てはめ、有名なエピソードでも起承転結に邪魔になるようなら省いています。だから、司馬作品はきれいに話が進んでいくのだと思います。

もう一つはユーモアや女性観、キャラ設定が弱いとありました。つまり、話があわあわと進んでいく。

たとえば、武田信玄が天下統一を目指し、京に向かう。しかし、現実問題、京に行っただけでは天下統一にはならない。信玄はその後どう考えていたのか。新田さんの考えがなかったのが残念だとありました。

いや~、会田さんの指摘は鋭く、怖いですね。それが評論家なんでしょうけど。

<面白かったこと>
「武田信玄」の中に、信玄の正妻が登場します。この人は公家出の人で、何かあると信玄に皮肉を言う。ある時、諏訪家の娘の湖衣姫を気遣う信玄が辛らつな皮肉をいわれる。

これは新田さんの実体験だろうという。まず正妻はほとんど資料がなく、こういう皮肉屋だった資料は一切ないそうです。

そういえば、津本陽のエッセイを読んでいたら、津本さんが寝ていたら大きなムカデが現れて、それを刀? トンカチ? かなんかで殺したことがあったそうです。それにインスパイアされて「下天は夢か」で信長にやらしたそうです。(あったっけ?)

オレなんか、作家さんはよく史実じゃないことを書けるな~と思います。そしたらオヤジが新聞に掲載されていたある歴史作家の対談を持ってきました。

二人ともオレは知らない人でしたが、そのうちの一人が「歴史を勉強したら、平気で嘘を書けるようになる」と言っておりました。

ま、みんがみんなそうじゃないとは思いますが。

いつか「武田信玄」「武田勝頼」を読みたいですね。

歴史小説の読み方2

2008-01-04 22:01:33 | そのほか
本日は、海音寺潮五郎編です。

「剣と笛」「押川強兵衛の事」「武将列伝」などの小説が登場します。

オレは「武将列伝」の伊達政宗が載っている巻しか読んだことはありません。あとは「蒙古来たる」「悪人列伝」「伊達政宗」「列藩騒動録」ですね。

<内容>
海音寺小説の物足りなさが述べられています。オレも多少感じていたところですが、会田さんは歴史小説に取って重要な経済活動が述べられていないのが理由だそうです。つまり、歴史を政治の面だけで考察しているからだと。世の中は政治が先ではなく、経済活動が社会を作っていくそうです。

それは海音寺さんの出身と関係があり、氏が鹿児島出身だからとありました。西郷隆盛ら多くの薩摩人の弱点と同じで、政治は分かっても経済が分からない…だそうです。あとは薩摩的な虚飾を排除した文章にもあるとのことです。

幸田露伴の小説「雪たゝき」は名文であるが、海音寺さんの「剣と笛」は物足りない。ただし、原文に忠実なのは海音寺さんのほうだと述べています。

面白かったのは、海音寺さんの人物眼は非常に素晴らしく、おそらく司馬さんの「箱根の坂」の早雲、「国盗り物語」の道三は、海音寺さんの人物評を基に作ったのではないかとありました。

<歴史>
海音寺さんは、他の作家と違い、歴史学者なみに歴史を勉強している感じがします。司馬さんもですね。

二人の歴史対談「日本歴史を点検する」はすごく深い内容ですもんね。

歴史小説の読み方

2008-01-04 02:31:09 | そのほか
本日は、またもやオヤジから薦められた京都大学名誉教授・会田雄次さんの「歴史小説の読み方~吉川英治から司馬遼太郎まで」を紹介します。

相当本が古く、探しても本の画像がありませんでした。

<内容>
これは5人の歴史小説家を批評した本です。タイトルは額面通りではなく、もっと深いところをさしています。

いわゆる彼らはどういうスタンスで小説を書いているのか。それは彼らの生活環境や生い立ちが関係しているというようなことです。そして、彼らの長所と短所が述べられています。

1章 司馬遼太郎

2章 海音寺潮五郎

3章 新田次郎

4章 子母沢寛

5章 吉川英治

となっています。

<それぞれの感想>
1章 司馬さん

「殉死」「坂の上の雲」「最後の将軍」「竜馬がゆく」「国盗物語」「翔ぶが如く」「箱根の坂」「菜の花の沖」「人々の跫音」「項羽と劉邦」「峠」などから、司馬小説に迫っています。

オレは「峠」だけ読んでいません。かなり有名な作品で、もったいぶって読んでいない感じです。

結論から言うと、会田さんは司馬さんだけ絶賛していました。もちろん、「項羽と劉邦」は残念ながら司馬遷には及ばないとか、初期の作品はフィクション的な要素が強いとは述べられていましたが。

吉川英治で生まれた歴史小説は司馬遼太郎が完結させたとありました。国民作家と呼べるのは吉川氏と司馬氏で、司馬氏の方が上のようなことが書かれています。これは同じ理由で、歴史学者の梅原孟さんも司馬さんの追悼本で語っていますね。

どちらも、国民の望むストーリーを敏感に察し、物語を作ったものの、吉川氏には戦前という時期から説教臭があるということです。

梅原さんは司馬さんとはあまり仲がよろしくなかっただけに説得力があるかなと思います。

あと、歴史の資料を丹念に調べることと、唯一といっていいほど、本当の社会を動かしている経済活動を機敏に捉えているとのことでした。

オレは司馬さんが大好きなので「なるほどな~」と思って読んでいました。

面白かったのは司馬さんは戦争に従軍した経験から、生理的に権力者を描きたくなく、竜馬や斉藤道三など非権力者ものを次々と発表したそうです。しかも、彼らは資料が少ないだけに、想像を膨らませた非歴史小説といってもいい作品になっているそうです。

ただ、出版社の都合で「国盗」の後半で信長を書いた時、真の歴史小説家に変貌を遂げたとのこと。政治は権力者が動かすもので、歴史小説には政治が描かれなければならないと書かれていました。また、権力者は膨大な資料が残されているので、丹念に資料にあたる必要があるとのことです。ここから、本当の司馬遼太郎が生まれたということです。

会田さんは「歴史小説」とは嘘がある(多い)歴史小説は本当の意味で歴史小説ではないと定義づけています。

だからでしょうか…

「なんで山岡壮八がないんだ」と思って読んでいたら、あとがきに「山岡壮八はフィクション色が強いので入れなかった」とありました。オレは吉川英治と並ぶ大家と思っていただけに、ちょっと意外な気がしました。

ベスト本

2008-01-03 02:29:26 | そのほか
ここいらで、MY長編歴史小説を紹介したいと思います。
読んでいる作品が非常に偏っていますが、そこはご理解のほどを。

個人的に思うのは、司馬さんの作品は大好きで、(司馬作品の)8割ぐらい読んでいますが、面白さの割りに、なぜか強烈に印象に残るのは少ないかなと思っています。

「樅の木は残った」山本周五郎
1回しか読んだことはありませんが、尋常じゃないほど興奮しました。小説で、ここまでドキドキさせて読んだものはないですね。予備校時代に読んだ本です。

「殉死」司馬遼太郎
強烈でした…。その一言に尽きます。乃木大将という人を何も知らずに読み、すごく考えさせられました。この本を読み、日露戦争に興味を持つようになりました。

「坂の上の雲」司馬遼太郎
全8巻で、挫折しそうにもなりましたが、最後はものすごい高揚感を感じながら読みました。こういう人たちがいたからこそ、今のオレたちがいるんだなと。

「王国への道」遠藤周作
山田長政ものでは一番おもしろかったですね。ちょっと宗教臭さが気になりましたが。長編としては2006年に読んだものではベスト1かもしれないですね。

「菜の花の沖」司馬遼太郎
高田嘉兵衛という人は知りませんでした。いや~、日露戦争が起こる前に、こんなことがあったんですね~。ロシアとの戦い、そして友情…。「大将、ウラー!」。

「竜馬がゆく」司馬遼太郎
世間一般にいわれるほど、思い入れはありませんが、最終巻は読むのが辛かったですね。その最終巻は高知の「竜馬記念館」で買いました。いい思い出です。

「新撰組物語」子母沢寛
これは短編集ですが、一つの作品として成立しているので入れます。「新撰組血風録」の後に読んで、さらに新撰組に興味を持つようになりました。

「列藩騒動録」海音寺潮五郎
海音寺さんの本ではMYベスト1です。ツッコミどころはなく、単純に楽しめました。この本を読んで、江戸時代のお家騒動に興味を持つようになりました。

「梟の城」司馬遼太郎
何か読むものがなくなると読む本。ほんとに、ラストは鳥肌が立ちました。忍者が好きになったきっかけとなった作品。長編では最も多く読んでいる作品。

「伊達政宗」山岡壮八
政宗好きのオレとしては思い出に残る作品。政宗の長編としては最多の3回か4回読んでいる作品。ちょっと政宗がスーパーマンとして描かれているかな…。

で、オレが合わなかった本を三つ紹介します。

「風雲児」白石一郎
ダメでした。山田長政という人を書くのは難しいのは分かりますが、ツッコミどころ満載。「え~」とか「普通そう考えるか」などと文句を言って読みました。

「最後の将軍」司馬遼太郎
大河になっている作品ですが、過去3回アタックしてダメでした。徳川慶喜に共感できませんでしたし、慶喜を評価する司馬さんの考え方にも……でした。

「真田&忍者もの」池波正太郎
オレ的にツッコミどころがあったり、説得力を感じなかったり、同じ話の短編や長編が多く、なおかつ登場人物や設定を変える(全く変えない)ところ。

で、明日は短編にいきたいと思います。