インテグラな日々

本、音楽、そしてスポーツ…!

英雄児

2008-11-12 00:55:51 | 司馬遼太郎


せっかくなので、河井継之助の短編「英雄児」も紹介します。

めちゃめちゃ面白いです。☆☆☆の満点です。

<内容>
これは鈴木虎太郎という、継之助が通う塾の後輩?の話を基にした作品です。虎太郎は風変わりな先輩である継之助に驚きます。

年は取っているのに勉強はしない。しかも、自分に宿題をしてくれと言ってくる。しかし、虎太郎は徐々に継之助の魅力に取り付かれ、彼に師事します。

やがて、継之助は藩の家老となり、悲惨な北越戦争に藩を引っ張り込みます。長岡の人は相当、継之助に対して思うところがあったようで、彼の死後、継之助の墓は長岡の人に何度もこわされたそうです。

それほど、彼に対する地元の人たちの恨みは尋常じゃなかったようです。

ただ、自分の周りにいる長岡の人は継之助を英雄のように尊敬しています。時代は変わったというところでしょうか。

<虎太郎>
この人はのちに無隠と名乗ったそうですが、最後の話が涙を誘います。

継之助の墓は何度も壊され、居たたまれなくなった妻は北海道に居を移します。

無隠は何度も長岡を訪れ、壊された継之助の墓を何度も直したそうです。

そして、彼は何度も言ったそうです。

あの男の罪ではない。藩が小さ過ぎたのだ、と。

大きな藩にいれば大きな成果を残せたが、小さい藩にいたため悲惨な結果に終わったというのです。

そして、司馬さんはこういう言葉で結んでいます。

英雄というのは、時と置きどころを天が誤ると、天災のような害をすることがあるらしい、と。

2008-11-12 00:31:55 | 司馬遼太郎


司馬さんの「峠」を読みました。幕末の長岡藩の宰相・河井継之助が主人公で、上、中、下の3巻です。全然、長さを感じない面白さです。

短編「英雄児」は何度も読んだことがあり、興味をそそられていました。名作と評判の作品でもありますし。

<物語>
越後長岡藩という小藩の武士・継之助が、いつかは自分が家老になる時代が来ると信じて、勉学に励みます。とはいえ、学問を一生懸命やるわけではなく、遊女に入れ込んだり、放蕩三昧。学門は自分が気に入った本しか読まないというような…。

そんな彼が強烈なキャラクターと行動力、時代を読む力を認められ、本当に家老に昇進。そして、小藩ながら、薩長でさえ持ってなかった最新兵器のガトリング砲など近代兵器を大量に購入。

やがて、薩長率いる官軍に対し、幕末最大の戦いともいわれた北越戦争を引き起こす。

<感想>☆☆★
いや~面白かったです。残念なのは、後半の途中から仕事が忙しく、本を読んでも頭に入らなかったこと。一番いいところなのに。それまではめちゃくちゃ面白かったので、仕事が一息ついたら、そこからまた読みたいと思っています。

ただ「英雄児」に書かれていたガトリング砲をぶっ放して町人たちが大量に死ぬ場面がなく、あれ?というのもありました。「英雄児」でのその凄惨なシーンは、とくに印象に残っていたので。

<継之助>
しかし、すごい人ですね~。生き方が破天荒。そして、その行動力。とてもまねできません。また、写真で見るとおり、目力がすごいですね。継之助はその目力で人を圧倒するのが常だったそうですが、こういう人、たまにいますね。

そういえば自分の知り合いで、同じ苗…の人がいます(汗)。すべてが似てる!(汗)


<短編と長編>
長編「峠」はヒーローとして、短編「英雄児」はアンチヒーローとして描かれています。どちらも面白く、読み応えはあります。

この人も司馬さんが小説にして有名になったような気がしますね。そういえば、昨年でしたっけ、年末に河井継之助のドラマがありましたね。