せっかくなので、河井継之助の短編「英雄児」も紹介します。
めちゃめちゃ面白いです。☆☆☆の満点です。
<内容>
これは鈴木虎太郎という、継之助が通う塾の後輩?の話を基にした作品です。虎太郎は風変わりな先輩である継之助に驚きます。
年は取っているのに勉強はしない。しかも、自分に宿題をしてくれと言ってくる。しかし、虎太郎は徐々に継之助の魅力に取り付かれ、彼に師事します。
やがて、継之助は藩の家老となり、悲惨な北越戦争に藩を引っ張り込みます。長岡の人は相当、継之助に対して思うところがあったようで、彼の死後、継之助の墓は長岡の人に何度もこわされたそうです。
それほど、彼に対する地元の人たちの恨みは尋常じゃなかったようです。
ただ、自分の周りにいる長岡の人は継之助を英雄のように尊敬しています。時代は変わったというところでしょうか。
<虎太郎>
この人はのちに無隠と名乗ったそうですが、最後の話が涙を誘います。
継之助の墓は何度も壊され、居たたまれなくなった妻は北海道に居を移します。
無隠は何度も長岡を訪れ、壊された継之助の墓を何度も直したそうです。
そして、彼は何度も言ったそうです。
あの男の罪ではない。藩が小さ過ぎたのだ、と。
大きな藩にいれば大きな成果を残せたが、小さい藩にいたため悲惨な結果に終わったというのです。
そして、司馬さんはこういう言葉で結んでいます。
英雄というのは、時と置きどころを天が誤ると、天災のような害をすることがあるらしい、と。