インテグラな日々

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草原の記

2008-01-21 01:05:58 | 司馬遼太郎


司馬さんの「草原の記」を紹介します。

なんで読んだかというと、読みかけの本を忘れたので、本屋で一番薄い本を買おうと思ったからです。

いや~司馬さんの初見本は久しぶりです。「韃靼疾風録」以来、2年ぶりかな…。

<内容>
モンゴル人女性ツェベクマさんの話です。

彼女は、モンゴル語学課卒業の司馬さんがモンゴルを訪れた際に通訳した人です。

その彼女の数奇な人生と、モンゴルの歩み、そしてロシア、中国、日本とのかかわりが書かれた紀行文であり、歴史書であり、エッセイといえる作品です。

<感想>☆☆★
読み終わった後も余韻に浸っています。

実は、ここまで面白いとは思ってなかったです。

なんというんでしょうか。

かつて世界最大の帝国だったモンゴル…。

そこに住む人々はいまだに大地に感謝し、世界最大の騎馬民族の誇りを忘れず、雄雄しく暮らしている。

司馬さんのモンゴルへの郷愁や憧憬が伝わってきました。「街道をゆく」の「モンゴル紀行」も読みたいですね。

<ツェベクマさん>
彼女は司馬さんの一歳下です(上だったかな?)。

もともとはロシア国籍で、その後、満州、中国、そしてモンゴルと激動の人生を歩んでいます。とくに、中国の内蒙古自治区時代に夫が共産党に拘束され、娘とともにロシア、そしてモンゴルへ行くくだりは、まさにかっての騎馬民族の血を受け継いでいる人だなあと思いました。

しかも、数(十)年後、拘束されていた夫がツェベクマさんに会いにきて、そのまま帰らぬ人となるのは、ドラマチックというか、モンゴルという国同様、非常に「詩」的ですね。

<印象に残った言葉>
前に書きましたが、なんで数百年前の出来事が分からなくなるんだろう、という疑問を持ってます。それに対する答えのようなものが書かれていました。

以下です。

「人間は忘れる生き物だ」

「だから、忘れないように紙に書き記すのだ」みたいな。

なるほど…と思いました。