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インテグラな日々

本、音楽、そしてスポーツ…!

2008-02-08 02:22:00 | 池波正太郎



池波正太郎さんの短編集「炎の武士」収録の「色」を紹介します。

新撰組副長・土方歳三の話で、映画にもなっているそうです。

この本は新撰組の本を探している時に見つけて、最初の1ページを読んで即買いました。

最初から非常に引き込まれました。すごく面白かったです。

でも、内容を全く覚えていなかったので今回読み返しました。いや~あたらためて面白かったです。

<内容>
新撰組入隊後の土方歳三の半生を描いた作品です。

そこに、恋人・お房との「色事」を絡めながら物語が進んでいきます。

<感想>☆☆★
この短編の面白いところは、あの土方が一瞬だけ人間らしい弱さを見せるところじゃないでしょうか。

もちろん、今作も、怖い土方が描かれています。

出だしでは、

近藤はあれで親しみやすいところがあったが、
土方だけはいただけなかった…

とあります。

怖い上に欠点がないのが土方ですね。

美男子だけに町で見初めたお房とすぐに恋仲になります。

完璧な土方がいるわけです。

どの小説でも、土方はこうですね。

ところが…。

<弱い土方>
物語も終盤に差し掛かり、薩長に押され、新撰組は京都を離れることになります。

そこで、土方はお房と久しぶりに会います。

二人の間では、約束事がありました。

それはプライベートなことや仕事について語らないこと。会うときは、男と女の関係を純粋に楽しもうということだったわけです。

そんななか、常に突っ張って生きてきた土方が折れます。

お房に向かって泣き言を言い、慰めてもらおうとするのです。

ここ、いいですね~。

だって土方だって人間です。ぜったいこういう面もあったはずです。

しかし、お房はピシャリ撥ね付けます。それはルール違反だと…。

う~ん。

男と女ってこうかもね。

このあと土方はお房に詫び、別れます。

そして、とことん薩長と戦い、五稜郭で散ります。

近藤が死んだとき、また取り乱しますが…。

最後にまたお房さんが登場します。

<池波さんの新撰組>
けっこう書かれてますね。自分は、今作しか読んでいませんけど。

面白いのは、真田もの&忍者ものと違って、難しい漢字がけっこう出てきます。
あと、やはり資料が多いせいでしょうか、史実っぽい感じで書かれています。

ウィキペディアによると、司馬さんと同じで、子母沢さんの新撰組3部作を参考にしているらしいですね。

いつか池波さんの新撰組シリーズも読もうと思っています。

<次回は…>
たぶん読み終わりそうな、中村晃さんの「最上義光」です。出羽の戦国大名で、伊達政宗の小説にはよく出てくる人です。

池波忍者

2007-12-31 01:54:41 | 池波正太郎



池波さんの忍者ものをすべて読んだので総評します。

もちろん、オレの個人的な意見です。反論、異論いっぱいあると思いますが、ご勘弁ください。

<もともと>
…は、司馬さんの忍者ものが好きで、池波さんの忍者ものを読み始めました。だから、どうしても違和感が出てしまいました。

過去、それで挫折しています。ですので、今回一気に読んだのは固定観念なしに…(つまり、司馬忍者ものを一切頭から消して)読みました。

(池波さんには非常に失礼なことをしたと思います。ま、逆に池波忍者の延長で、司馬忍者を読んだ人もいるんじゃないでしょうか)

断っておきますが、司馬さんの忍者ものが正しいわけではありません。司馬さんの話は司馬色が強い、やはりオリジナリティーが強い話であるわけです。

<感想>
何度も書いてきましたが、もちろんオレ個人の意見ですが、

やはり主人公の忍者(主人公以外も)が当たり前のように甲賀を裏切ることに非常に違和感を覚えます。

そりゃー、中には伊賀や甲賀を裏切る忍者はいたでしょう。

ただ、池波さんの忍者は、ほとんど裏切る。それを「忍者とて、熱い血は流れてる。本当(昔の)の忍びはその血に従うのが常だ」などと、裏切りを肯定するコメントをよく忍びに語らせます。

オレは、このコメントもダメでした。なぜなら、裏切るスパイなんて2流だし、(二流のスパイの話なんて読みたくない→「じゃ、読むなよ!」と言われそうですが)

裏切るスパイをたくさん輩出するなら、スパイ機関として成り立たないと思います。

しかも読んでる読者(オレだけ…)に、話の筋そっちのけで「今回は裏切らないでくれ…」と思わせたらダメだと思うんですよね。

あと、もう一つ気になったのは「偶然」の多さ。

とにかく、偶然が多い。

一つは主人公が窮地に陥る場面。これはどの話でも必ずある場面です。司馬忍者は①何なく敵の忍びを破る②敵の忍びの襲撃をかわすが、重傷を負う。という二つのパターンが主です。

池波さんは「必ず、誰かが偶然助ける」の一つです。読んでて、主人公が敵に囲まれると「あ~、また誰かが偶然助けるんだろうな」と思って読んでました。中には、そうでないものもありました。しかし、それは偶然地震が起きた、というのものでした。

もう一つは、偶然敵と出会う、こと。こんな広い世の中、偶然出会わないでしょ。たとえば、相手を探索して網をかけて、出くわすなら分かりますが。とにかく、偶然出会うことが多すぎる。

池波さんは、忍者もので気を使ったのはリアリティと言っていますが、ある意味リアリティがないところがオレはダメでした。もちろん、オレの個人的な意見ですけど。

さらに、何度も語っていますが、登場人物や設定が話しによって違うところですね。
これは、忍者ものに限ったことではありませんけど、読んで混乱しました。

池波さんの忍者小説が司馬さんと違って、テレビドラマや映画になってないのも分かる気がします。池波さんの真骨頂は「鬼平」や「剣客」「梅安」のような作風にある気がします。

ただ、何度も言いますが、これはオレの個人的な意見であって、皆さんは自分で読んで確かめてほしいですね。オレとは逆の意見の人の方が多いかもしれませんし。

真田太平記

2007-12-27 01:47:54 | 池波正太郎


いや~、ついに読み終わりました。といっても、3カ月ぐらいまったく読んでいませんでしたけど。と、いうことで、オレ的には、そこまでグッとは来なかったということになりますね。

<全12巻>
歴史小説好きは、1度は読みたいと思う作品でしょう。しかし、皆さんが恐れるのは12巻という多さ。でも、大丈夫です。池波さんの作品なので、じっさい12巻というボリュームは感じません。だから、気楽に読んでいただけると思います。

<感想>
オレ的には、池波忍者ものの集大成として読ませていただきました。もともと、知人が、歴史もので山本周五郎の「樅の木は残った」と今作は抜群に面白かったと言っていたことも読んだ一因です。

<興奮>
オレが一番興奮したのは、真田昌幸が関が原の戦い前に反徳川家康となる決断を下したあたりです。

めちゃくちゃ興奮しました。オレはDVDを見ていて興奮すると一時停止を押して興奮を鎮める癖があります。しかし、小説で一時読むのをやめたのは今作が初めてです。それほど、このあたりの話は面白かったです。

ただ、そこまで興奮させといて、その後があっけなかったですけど。

あとは幸村が大阪の陣に向かう直前も良かったですね。ここの2カ所は満点の☆☆☆というか、満点を超えて☆☆☆☆☆です。

<最後>
の信之の話も興奮しました。ただ、2つのエピソードも他の短編で何度も語られたエピソードなので真新しさは感じませんでしたけど。

違うキャラが出たり、微妙に違う設定になっているのは毎度のことですけどね。

<感想>☆☆
トータルでは、こんな感じです。でも、オレ的には☆1・5に限りなく近いですけど。

たぶん、今作だけ読んでいたら、知人のように☆は3つの満点だったと思います。

しかし、池波さんの真田ものの短編をすべて読んでいた後なので「あ、この章の話は、あの短編とまったく同じじゃん」とか「あれ、あの短編と話が食い違っている」などと思い、純粋に楽しめなかったところも多かったです。

<後藤又兵衛>
気になったのは、又兵衛のくだりもです。オレは司馬さんの「軍師二人」が好きなので、どうしても幸村より又兵衛に親近感を抱いてしまいます。

池波さんは真田が大好きなので、どうしても又兵衛より幸村を上に持ってきます。もちろん、それは概ね正しいでしょうし、多くの人がそう考えています。

それはそれでいいのですが、文中で「又兵衛は幸村に遠く及ばない」というくだりがけっこう出ますが、その理由が述べられていない。

池波さんの得意な「ところで…」と話を急に変えたりする箇所もあります。

さらに、幸村が濃霧で遅れて又兵衛が討ち死にした有名なエピソードも、必死に幸村を擁護していますが、それがどうにも説得力がない。

たとえば

(1)幸村は又兵衛に前線に出過ぎないよう何度も忠告した。
(暗に、又兵衛は幸村の忠告を聞かなかった。だから、幸村が遅れたのではなく、又兵衛が先に行き過ぎた)

(2)又兵衛が徳川軍と戦いの火蓋を切り、忍者・佐助がそのことを幸村に伝えようとしたが敵の忍びと遭遇した。
(暗に、佐助は敵の忍びの襲撃に遭い、又兵衛が窮地に陥ったことを幸村に伝えられなかった)

などが出てきます。

(2)はまったくのフィクションですし、(1)にいたっては刻一刻と戦況が変わる戦場にあっては幸村の発言こそナンセンスそのものだと思います。事実、又兵衛の機転があったからこそ、(徳川が見落とした小松山を奪取して戦局を有利に)又兵衛の戦いは人数が少ないにもかかわらず善戦できたと思います。

「軍師二人」の中にあるように、「幸村はわざと遅れたのではないか」。それは「又兵衛は又兵衛の考える作戦で死ね」。「オレは自分の思うように戦って死ぬ」と書いたほうが現実的だった気がします。なにせ、この時の幸村の仕事は又兵衛の指示の下で働くことだったわけですから。

<内容>
真田昌幸、子の真田幸村、幸村の家来・向井佐平次、佐平次の息子で忍びの佐助、佐助の頭領格の女忍び、お江の目線で描く壮大な真田絵巻。最後の12巻は幸村の兄・信之が主人公。

勘兵衛奉公記

2007-10-18 01:38:06 | 池波正太郎


「黒幕」収録の作品です。有名な戦国時代の武将・渡辺勘兵衛の物語です。やっぱり、池波さんらしく長編も書いています。タイトルは「戦国幻想曲」です。

池波さんは基本的に長編と短編で1セットという感じがしますね。

司馬さんも短編を書いています。「侍大将の胸毛」という作品です。

<内容>
「槍の勘兵衛」といわれた一匹狼の武将・渡辺勘兵衛の話です。異名がつくほど勇猛な武将でしたが、一面偏屈なところがあり、主を何度も変えたことで有名です。

そんな彼の生い立ちと生涯を描いた作品です。

<ハイライト>
彼の物語のハイライトは、当時は近江国水口城主で、のち駿河国駿府城主となり、中老になった中村一氏に仕えていた時代です。

勘兵衛は北条攻めで大活躍するのですが、一氏がすべて自分の手柄にしてしまいます。こんな上司よくいます。うちにも!

勘兵衛は「こんなヤツの下でやっていられるか!」と中村家を退散します。慌てた一氏は引き止めますが、あまりにせこい引きとめだったので、勘兵衛はあきれるだけだったとか。

この後は藤堂高虎に仕官するも、結局はそのプライドの高さと偏屈さで一介の男として寂しく世を終えます。

<評価>☆☆
今作から学ぶことが多いですね…。

とくに中村一氏と勘兵衛の関係です。

けっこう会社のオレと上司の関係をダブらせてしまいます。どこの会社でもそうでしょうが、下の手柄をすべて自分のものにする上司というのはどうなんでしょうか。

彼はバイトがやった仕事も自分がやったとみんなの前で言ってしまえる厚顔な男ですから。どんな神経をしてるのやら。

かといって、勘兵衛みたいに、うまく立ち回らず、すぐふてくされていては結局寂しく何も残らず世を終える…。そんなことになりそうです。

う~ん、こんなところでグチを言ってもしょうがないですね。ようはオレも勘兵衛も子供だというところでしょうか。

勘兵衛と比べるのは100年早いですけど…。

とにかく、考えさせられる話です!

<プロ野球>
話は変わりますが、今日から中日×巨人ですね。

ということで、ガンバレ、中日!!

猛婦

2007-10-15 01:43:17 | 池波正太郎


池波さんの「黒幕」収録の作品です。

<評価>☆☆
これはすごい話です。途中で読むのを躊躇したぐらい鬼気迫る話です。こういう話を書かせたら池波さんは天下一品ですね。

よく司馬さんは女ものを書けないといいますが、それはとんでもない誤りです。

しかし、池波さんは司馬さんより、女ものは深い感じがしますね。司馬さんはどちらかというと、男目線の女ですが、池波さんは女目線の女が出てくる感じがします。

今作も、そんな女を描いた、人間の根本というか、建前なしの人間が描かれています。

<内容>
武田勝頼の家臣・秋山兵蔵の妻・お津那が主人公。彼女は父から武術を鍛えられた達人であり、やはり剣の達人である夫と仲良く暮らしていた。

そんなある日、武田の臣・谷七九郎が出奔する。彼は徳川家康の間者だった。兵蔵は七九郎を追いかけるが、返り討ちに遭い、命を落とした。

そして、お津那はあだ討ちを誓う…。

<猛婦>
猛婦の意味はあだ討ちを誓うからではありません。彼女はこの後、主人の敵である七九郎の腕を切り落とします。

まさに猛婦ですが。

しかし、彼女はここからある行動に出ます。そして…。

この後の行動がすごいです。この後の行動と行為が猛婦といえるのでしょう。

<猛婦2>
こんな女性はなかなかいないと思います。ただ、彼女のあだ討ち後のある行動というのは純文学などで出てきそうな感じですね。しかし、その後の行動は…。まさに池波さんらしい小説だと思います。

<猛婦3>
池波さんの封建時代の女性観というのは勉強になりますね。彼女たちは政略結婚の道具とされていたわけですが、池波さんはそれでも女の幸せがあったといっています。彼女たちは運命に翻弄されながらも、精一杯、女の幸せを感じていたはずだと…。

オレもそう思いますね。だから、来年の大河の主人公もそうですし、伊達政宗の叔母なんかもそうで、彼女たちは実家に逆らい、嫁ぎ先に殉じたわけですから。

雲州英雄記

2007-10-12 02:12:51 | 池波正太郎


新撰組もののほか、最近読んだ池波さんの短編も紹介したいと思います。本書は「黒幕」に収録されています。

<内容>
有名な戦国時代の武将・山中鹿之介の話です。鹿之介は山陰地方の戦国大名・尼子氏の家来で、尼子復活のために生涯を捧げていきます。

<評価>☆☆
鹿之介という名前は知っていましたが、実は何をして、どんな人だったかは知りませんでした。だから、非常に気になっていた人物です。

池波さんて、オレの中で、ほとんど知らないけど、実は知りたいと思っている歴史的人物や出来事を書いています。前に紹介した「宇都宮釣り天井」もそうですし、堀部安兵衛も鹿之介同様に気になっています。司馬さんは意外とそういうのはないんですよね。

だから、本書を読んで、
へ~こんな人だったんだと目からウロコが落ちた感じがしました。なので、堀部安兵衛の話も間違いなく読みます。

<山中鹿之介>
オレのイメージでは、単純に中国地方で活躍した人物だと思っていましたが、そうではなかったんですね。本書を読むと、ずっと信長の庇護を受け、お家再興のために活動していたことが分かります。

彼は義に生き、そして美男子で、悲劇的な最期を迎えます。いかにも江戸時代の人が好きそうな人物ですね。だから講談やら歌舞伎になって有名になったんでしょうね。

オレは真田幸村が人気があったのも、その活躍以上に鹿之介のような人物(義に生き、悲劇的な最期を迎え、何より徳川家に逆らった)だったからではないかなと思います。

司馬さんの「軍師二人」を読むと、当時の評価(司馬さんの評価)は幸村より、後藤又兵衛だったと受け取れます。「逆だろ?」と思う人には、「軍師二人」をぜひ読んでもらいたいです。こういう意見もあるのかと思えるはずです。

<織田信長>
本書を読んで、信長のまた別の一面を感じることができました。今作では、信長が言葉巧みに鹿之介を懐柔し、自分の手足として毛利攻めの先鋒にしようと動かしていきます。

読者からすると、みえみえの甘言で、鹿之介をうまいこと使っているな、と思えるのですが。しかし、鹿之介にしてみると、体よく利用されていようと、お家再興のためには従うしかなかったのでしょうね。

「真田太平記」にもありましたが、謀略というのは力が強いものと弱いものでは効き目がまったく違うそうです。権力者(家康)なら謀略は見え透いててもうまくいくそうです。しかし、力のないもの(三成)の謀略というものはなかなかうまくいかないそうです。確かに、人間というものは利で動き、力の強いものの言うことは従ってしまいますからね。

<最後に>
本書は短編ですが、池波さんらしく長編も書いておられます。すぐに読むとアレなので、本書の内容を忘れたころにもう一度読みたいと思います。

黒幕

2007-10-06 02:44:30 | 池波正太郎


司馬さんの「甲賀と伊賀のみち」を書き終えたと思ったところ、消えてしまいました…。

GOOさん、なんとかならないですか…。

なので、違うのを紹介します。

最近読んだ中から、池波さんの「黒幕」を紹介します。

本書は短編集で、表題作です。

<内容>
主人公は、山口新五郎直友。時代は戦国時代です。父親は丹波の武将・赤井家の孫で、兄を助けていたそうです。

この男は跡取りにもかかわらず、病弱で無口。父親は勇猛な男で、早くから息子を見限っていたそうです。そのため、父親から見捨てられていた新五郎(15歳)は母親が死ぬと忽然と姿を消したそうです。

時がたち、信長が天下統一に向けて諸方で活躍していたころ、父親は越後・山口の城主になっていたそうです。そんななか、新五郎(37歳)が突然現れたそうです。気弱で病弱だった男は不気味な男に代わり、跡取りとして戻ってきたと言います。

しかし、新五郎は年に数回は旅に出て、父親が何を聞いても理由を言わなかったとか。

そして、信長が死に、秀吉が台頭してきます。そんななか、新五郎は家康に従うことになったと父親に言う…。

<評価>☆☆
これは面白いです! 彼が実在した人物か知りませんが、物語はその後、家康の黒幕として働く新五郎が描かれます。

しかも、さすがの家康も、普段は従順な参謀・新五郎がひとたび強気になれば、逆らうことができなかったとか…。いったい家康と新五郎の間に何があったのか…。そして、新五郎の15歳から37歳の間、何をしていたのか…。

これは触れられていませんが、それが逆に不気味さをあおっています。ある意味、彼も忍びだったと言っていいんじゃないでしょうかね。その理由は本書を読んで確かめてもらいたいです。

<最後のエピ>
あと、後半のエピソードが面白い。これほど不気味で、陰謀をめぐらし、ものすごい情報網を持っていた男はその後半生まで仕事一筋に生きます。

ところが、ひとたび自分の時代が終わったと悟ると、老齢(60歳)にして始めて妻をもらいます。それも10代の!

彼女が死ぬと、74歳の彼は再び10代の妻をもらって大事にします…。

そんな彼を、家来はいさめます。「しっかりしてください。なに、若い女にメロメロになっているんですか」と。

そして彼は言います。

「わしの一生は…わが身の病弱と、このあばた面に端を発し、それがあるゆえに出来上がったのじゃ。六十をこえて、はじめて女体に接し、酒の香をかいだわしは、わしの命が命ずるままに生きておるだけじゃよ」。ほがらかに哄笑した。

そして臨終のときに一言発します。

「世は…、男と女」。

と。

う~ん、深いですね。






























火の国の城

2007-10-03 01:55:11 | 池波正太郎



本書は、池波忍者もののラストを飾る作品ですね。上下2巻です。主人公はおなじみ丹波大介とお蝶です。題名から分かる通り、火の国、熊本の城主・加藤清正に二人は仕え、豊家のために力を尽くします。

<内容>
ま、上に書いた通りの内容です。まずは、奥村弥五兵衛が大介を見かけたところから始まります。このくだり、すごくいいです。偶然、ふろやで見かけるというものです。

で、弥五兵衛が大介を清正に紹介するという感じです。

短編「やぶれ弥五兵衛」では、弥五兵衛が直接清正に仕え、本書とは設定が違います。

で、大介はお蝶に手伝ってもらい、清正のために豊家安泰を図ろうとする…、という内容です。

<評価>☆☆☆
上はオヤジの評価です…。昔、火の国に住んでいたことがありまして、その時オヤジが読んで「かなり面白い」と言っていたのを覚えています。

オレは☆☆ということで…。

やはり大介、お蝶というなじみの忍者の活躍はワクワクさせられます。しかも、冒頭部分の大介と弥五兵衛が出会う場面はかなりいいっすね。


<清正&正則>
この二人はセットにしてもいいほど、一緒に語られますね。どちらも、秀吉と同郷で、秀吉と寧々にかわいがられ、武断派としても有名です。本書が清正の話なら、「忍びの女」が正則の話ですね。

この二つの本を読んで思うのは、関が原と大阪の陣での二人の決断ですね。もちろん、清正は大阪の陣の前に死んでいますが。彼らの豊家への思いとは別に大御所への服従。この辺は両書を読んで興味深いものがありました。

<暗殺=ネタばれありです>

本書を含め、一連の池波ものでは、清正は暗殺されています。これは、確かにそうかもしれませんよね。だって、清正に浅野長政の早すぎる死。もちろん、前田利家の死もタイミングが良すぎるし、それこそ豊臣秀長の死も…。一方、家康側で名のある人間は死んでいないんじゃないでしょうか。

これは忍びの暗躍があったと言ってもいいでしょうね。正則は死んでいませんが、彼は御しやすい性格という感じもしますしね。

<熊本城>
秀頼を守るための城が熊本城だった…。本書や「真田太平記」などでは、そう語られています。確かに、あの時代にあって、あの巨大な城を築いたというのは不自然な感じがします。

天下を狙っていた伊達政宗でさえ、天守閣のある城は築いていません。ま、武田信玄にしろ、政宗にしろ、籠城という概念は彼らにはなかったでしょうけど。

一方、清正が巨大な城を築いたのは、天下の兵を敵に回しても、秀頼を守るという意志があったのかもしれませんね。

そう考えると、なぜ秀吉は清正に肥後という大阪から遠い土地を与えたのでしょうか。正則もですが。秀吉の失敗という気もします。

<次は…>
「真田太平記」を紹介したいのですが、まだ読み終えていません!

仕事が忙しく、最近1カ月は本をまったく読んでいません。なので、いつレビューすることやら…。

明日は、藤沢周平の「忍者失格」にいきたいと思います。

















忍びの女

2007-10-02 01:13:09 | 池波正太郎



本日は「忍びの女」を紹介します。短編でも顔を出す甲賀の女忍び・小たまの話です。本作も、上下2巻です。

<評価>☆☆
けっこう面白かったです。だいたい忍者ものは、権力者にたてつく話ですが、これは権力者側、つまり徳川家康側の忍者です。じっさい、こういう忍者の方が多かったと思いますね。忍びも当然、弱い方より、強い方につくでしょうしね。でも、それだと話がつまらなくなるので、諜報活動をする相手の福島正則を愛してしまうという設定になっています。

ちなみに、彼女もお蝶同様、甲賀を裏切りません。ホッ…(汗)。

<内容>
関が原の戦い前。甲賀忍び・小たまは福島正則の動きを探るため、単身、正則に接近。思惑通り、正則と親密な関係になり、様々な情報を入手。家康のもとへ送る。やがて、月日がたち、正則の寿命も尽きようとするころ、どこからともなく小たまが現れる…。

<おなじみのメンバー>
今作もおなじみのメンバーが登場しますね。岩根小五郎に奥村弥五兵衛といったメンバーです。あと「真田太平記」を読んでたら、小たまの頭領・伴長信が甲賀のリーダーとして登場していました。今作もそうだったっけ…、ちょっと覚えてないです。

<今作>
短編などで何度か顔を出していた小たまの話で興味をそそられました。しかも、内容がVシネとかで出てくるくノ一の話で、別の意味で面白かったです(笑)。

そうそう、今作では正則の養子を殺害したのは小たまでしたが、「真田太平記」では甲賀忍び・猫田与助と山中大和守が殺害したと思います。ま、これはお約束ですね…。

ということで、明日は池波忍者の最終回「火の国の城」にいきたいと思います。

このブログも年内でネタが切れそうです…!

忍びの風

2007-10-01 01:31:23 | 池波正太郎



池波さんの忍者ものの中で、もっとも長い作品です。全3巻です。「蝶の戦記」の後編ともいっていい作品です。女忍び・お蝶が準主役として登場し、主人公・井笠半四郎の人生を狂わせて?いきます。

<内容>
甲賀・伴忍び・井笠半四郎が主人公。半四郎は武田家の忍びとして働いていたが、ある時、旧知のお蝶と出会う。

お蝶は打倒・信長に命を懸けていた。人手がほしいお蝶は、半四郎を仲間に引き寄せる。

半四郎は、お蝶恋しさのあまり甲賀を裏切ることに…。

<評価>☆☆
3巻というボリュームですが、長さはまったく気になりません。それより、お蝶が出てくるのがうれしいですね。

内容は…あまり覚えていません! たしか、前半は半四郎と武田家臣・鳥居強右衛門との友情。この人の話は、ほかにもあった気がします。タイトルなんだっけ。

<鳥居強右衛門>
武田側から家康側に寝返った奥平信昌の家臣です。武田家に包囲された長篠城を、クソまみれになりながら脱出し、家康のもとに援軍を求めにいった有名な男です。しかも、最後には「いかにも」という逸話を残して死んでおります。

<評価の続き>
あとは、半四郎とお蝶の関係ですね。お蝶は半四郎を便利扱いし、半四郎はお蝶のために甲賀を裏切って働く。二人の温度差がいいですね。男って悲しいですね…。

あとは、短編「鬼火」のエピソードが最後に登場します。時代的には、武田家に仕えた丸子笹之助の「夜の戦士」と同じ時期ですね。

とすると、笹之助と半四郎は同じ武田家に仕えた甲賀の顔なじみ、ってことになりそうです。

<そういえば…>
「忍びの旗」「寝返り寅松」で有名なシーンで、源五郎の父が三方ヶ原の戦いで逃走する家康を襲撃したシーンがありましたが、本書でも同じシーンがあったような気がします。源五郎の父ではなく、半四郎でしたが…。

<飛び苦無(くない)>
ここで、飛び苦無についてです。池波さんの小説では、手裏剣が出てきません。甲賀忍びも伊那忍びもコレを手裏剣として使います。

苦しま無い、とはいいネーミングですね(笑)。

棒手裏剣の一種だったとありますが、忍者本を見てても記述はないようです。

もちろん、苦無というのはあります。

これはスコップや刀のようにして使うほか、もちろん手裏剣のように飛び道具として使ったこともあるそうです。コレのことなんでしょうね。

スコップ、もしくは十手のようなものです。

池波さんの苦無へのこだわりはどこにあったのでしょうね。

<短編と長編>
短編「鬼火」と長編「忍びの風」。もちろん、登場人物は違いますが、話の内容は同じです。

個人的に好きなのは、う~ん「鬼火」の方でしょうかね。やはり、光秀の密書に絡め、甲賀と伊賀の戦いがあるので。一方、本作は密書に絡め、男と女、もしくは人情に絡めてきます。

<タイトル>
どういう意味が込められているのでしょうか。ほかの忍者の話は一目瞭然ですが、今作は深い意味が込められている感じです。

風のように自由なのか。忍者の風上に置けないということなのか。
もしくは、「鬼火」のあたりの疾風のような半四郎の決断と行動を指しているのか。

なんなんでしょう。