333ノテッペンカラトビウツレ

 奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない

高嶺の花

2008-08-25 03:15:26 | SP(Standard Program)
●たまに学生などが卒業する時にグランドなどにタイムカプセルを埋めます。思い出の品などを防水加工された容器に入れて地中に埋めて10年かそこらした段階で掘り起こして中身を見るわけです。筆者の学校はそのような習慣はなかったのですが、知人の学校は卒業時にタイムカプセルを埋めたらしく、同窓会も兼ねて「タイムカプセルを掘り起こす会」が開催されたそうです。

●筆者は高校生の頃に中学時代の同窓会に1度出た以外は、その種の催しには一切参加していませんし、タイムカプセルもないので、学生時代を思い起こすようなことは滅多にないのですが、人間の記憶とはおそろしいもので、どんな瞬間に脳内のタイムカプセルがパカッと開くかわかったものではありません。

●昨日、新宿・歌舞伎町の映画館で『デトロイト・メタル・シティ』を観ようと列に並んでいたら、前にスゴくキレイな女性が並んでいまして、最初は「この人、誰かに似てるなぁ」と思ったんですよ。長い黒髪で、非常に痩せていて、顔も細いが二重の目が大きく、色白・・・無理矢理に言うと小林麻央さん的なガチャピン系の女性を美人にした感じです。とは言え、こちらも三十路を過ぎて老化が始まってますから、それが誰だか思い出すこともなく映画を観て帰宅し、就寝し、日曜になったので朝からあれこれと用事を片付け昼間にメシを食っている時に…思い出しました。あの人は高校時代に好きだった娘に似ていたのです。優等生系のまぁ、ハッキリ言うと高嶺の花って感じの人で、あんたね、高嶺の花ってことは手が届くはずがないわけですよ。

●おかげで今日は久々にあちこち移動しながら懐かしい気分にさせてもらいました。実際は買い物したり、仕事で使う品を見に行ったりしているだけなんですけど、脳内の箱は開きまくり。タイムカプセルや同窓会もそうだと思いますが、要はあれって一種の“きっかけ”なんですよね。その人たちに会うまでは、そんなこと思い出しもしなかったようなことが、ある条件下で一気に脳内に復活するわけです。そう考えると“純粋なノスタルジー”と“脳内記憶棚卸しのための起爆剤”は同じアイテムでも使われ方が違うわけですよね。

●よく筆者のようなオッサンをターゲットにした「懐かしソングCD」みたいなのが出ていますが、あれも単に「ああ、こういう曲あったよね」というものと、それを聴いた瞬間に「曲はどうでもいいが、長らく忘れていたことを思い出した」というものがあるはずです。それは一種の抑圧された記憶を解き放ってしまうケースもあるため、一概に良いことかどうかはわかりませんが、タイムカプセルはともかく“タイムカプセルがもたらす効果”は、日常のあちこちに埋まっていると考えて良いでしょう。

●と書く一方で、その起爆剤がどの程度で点火されるのか人によって違うでしょうね。5年に1度の人もいれば、1年に1度の人もいるでしょう。たまに頻繁に過去の出来事を思い出して生きている人がいるものですが、ああいう人の脳内は地雷多発地帯みたいなもので、歩く度に箱がドカンと開いているのだと思われます。筆者は幸か不幸か日々の暮らしに追われており、過去のことを思い返す余裕がないため5年に1回ぐらいの頻度で済んでいますが、こういう爆発は年齢を重ねるごとに増えていくものでしょうか。普通に考えれば長く生きれば生きるほど起爆確率は高くなるはずですからね。