試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

新京成N800形モハN812[N818F] 京成千葉線直通色 動力ユニット整備(車体共鳴解消:フライホイール位置調整)

2017-09-23 21:20:19 | 京成線
吊掛。

マイクロエース製新京成形式の動力ユニット整備はN800形N818F京成千葉線直通色(N818F)を以て終了となる。
N818Fの経年は8000形,8800形より浅い一方でグリス添加量が増えた時期にリリースされた。
この後再びマイクロエース製京成形式の動力ユニット整備に戻るが良い試金石になるだろう。


新京成N800形N818F 京成千葉線直通色。
N818F:N818-N817-N816-N813-N812-N811。

N800形は8800形,8900形までの塗装を一新し4本の茶帯に1本の白帯を締めた姿で登場した。
実質2006年10月に開始された京成千葉線直通運転開始に備えた新形式投入で京成千葉線直通色と解釈している。
このカラーリングは8000形,8800形京成千葉線直通対応編成にも採用された。
茶帯には習志野市,船橋市,鎌ケ谷市,松戸市の意味合いがあった。
京成千葉線直通を考えれば千葉市を加えた5本でも良かったと思う。
メッセージ性のあった京成千葉線直通色は現行色への変更が決定し消滅してしまった。
ジェントルピンクの現行色とは大きく雰囲気が異なり落ち着きがあるように感じる。
ただ京成譲受系列の標準塗装はキャンディピンクが用いられておりピンクへの回帰は何となく理解できる。


モハN812 京成千葉線直通色(N818F)。

N818Fの製品仕様はモハN817が動力車である。
しかし当時マイクロエース製京成3200形3240F現行色に合わせ6両編成は極力5号車に揃えていた。
この原則に則りN818FもモハN817とモハN812で床板を交換しモハN812へ動力ユニットを搭載させている。
現在は形式数増加に伴い組成上5号車へ動力ユニットを移設出来ない編成が勢力を拡大し意味を失った。
この機会に動力ユニットをモハN817へ戻しても良かったがひとまずモハN812のまま継続する。


入工中のモハN812。

モハN812の動力ユニットは車体と共鳴し盛大な騒音を立てていた。
近代的なステンレス車体とはかけ離れた吊掛駆動車の様で気になる箇所だった。
車体もやや振動し動力ユニットのバランスに問題があると考えた。
その代わり低電流からスムーズに起動するなど決して状態は悪くないように思える。
振動の原因を突き止められれば車体との共鳴も防げる可能性がありそうだった。


第一整備工程に戻った導電板研磨。

モハN812の動力ユニット整備から再び導電板磨きが最初の工程に変わっている。
モーターストッパー未装着の動力ユニットが立て続けに現れモーター周りに目が行くようになった。
8000形モハ8035京成千葉線直通仕様(8518F)から最終工程に廻りモーターストッパー追設には一定の効果があった。
この工程順は8800形モハ8804-2京成千葉線直通仕様(8804F)も続いている。
しかし導電板研磨後に行うクリーナー仕上げの乾燥時間が無駄に感じていた。
再度第一工程に戻し他部品の整備終了時には自然乾燥しているよう改めている。
モハN812の導電板は酸化が余り進んでおらず研磨そのものは簡単に終えられた。
ただ導電板焼き潰し部が極小で研磨中に1箇所の支持を失った。
復旧は不可能で微量のゴム系接着剤で固定した。


油脂付着の激しいモーター軸。

第二整備工程はモーター周りとした。
台車整備が最後に廻り待ち時間を設けずとも動力ユニットの組立に移れる。
限られた作業時間の下ではこの整備順が適していると思う。
特にモハN812では先にモーター周りの整備を進めた事が奏功した。
モーター軸は油脂が固着し変色していた。
クリーナーを浸した極細綿棒で全て除去した後にモーター軸受へ注油を施している。
課題はここからだった。
動力ユニットの振動はモーター周りが第一原因だと思われた。
ウレタン台座の上へ動力ユニットを置き単独駆動試験を行うと台枠全体が水平回転するように動く。
モーターの回転バランスが悪く台枠まで動かせるほどの振動を生み出していたらしい。
これをどの様に抑えるか頭を悩ませた。


適当に位置をずらしたフライホイール(千葉中央寄)。

目を付けたのはフライホイールである。
フライホイールはモーターの回転速度を安定化させる役割を持つ。
振動抑制はフライホイールに手を着けるしか思い浮かばなかった。
モーター一式を台枠の中に組み込んだまま指力でフライホイールを動かし単独駆動試験を行う。
これを幾度も繰り返しようやく台枠が動かなくなった。
フライホイールの位置調整は軸回転方向や軸前後方向の何れも試している。
そのためどの時点でモーターの振動抑制に至ったかは判らない。
とにかく根本原因を解消できた事実が重要でこの様な個体は現物合わせの対処しかないだろう。


案の定純正グリスが目立つFS-564S動力台車。

モーター一式の整備で振動抑制にある程度目途が立った。
FS-564S動力台車の清掃へ移行したが振動対策は特に施す必要は無いと思えた。
当初から純正グリスの状態には期待しておらず予めクリーナープールを用意している。
やはりFS-564S動力台車は茶色化した純正グリスで覆われていた。
スパイラルギアとギアボックス内の3ギアは清掃する気も起きないほどで何もせずクリーナープールへ浸けた。
溶解を待つ時間を利用しギアボックスの純正グリス除去を進める。
純正グリスは中途半端な粘度を保っており途中で爪楊枝による掻き出しを諦めている。


綿棒で仕上げたギアボックス。

ギアボックスへ押し付けるとクリーナーが染み出すまで綿棒にクリーナーを浸す。
クリーナー側で大まかに純正グリスを除去し乾燥側で仕上げた。
使用している綿棒は100円ショップで購入したもので先端が柔い。
仕上げ中に綿の塊が勝手に解れるため最後は細綿棒並の径になる。
リブのあるギアボックス内も1本の綿棒だけで脱脂に至った。
この頃にはクリーナープールのギア類から純正グリスが溶けていた。
各部品を引き上げの各々仕上げに移る。


クリーナーへ追加投入したスパイラルギアカバー。

ギア類を引き上げた代わりにスパイラルギアカバーをクリーナープールへ浸けた。
スパイラルギアカバーもギアボックス内部と同じ様な状況で手に負えない。
前例があったため容赦なく茶色に変わったクリーナープールへ投入している。
ギア類等の清掃はスパイラルギア周りから開始した。
クリーナーで大半の純正グリスが溶けており歯ブラシを軽く当てる程度で金属部品が輝く。
一方プラスチック製ギアは歯ブラシさえ必要無い状態に至っておりクロスで拭き上げるのみとした。
ここで動軸ギア用クリーナープールを用意し純正グリス除去も最終章に入る。
同時にスパイラルギアカバーをクリーナープールから引き上げ清掃済の部品一式と嵌合させた。


清掃を終えたロアフレーム一式。

ロアフレームへは純正グリス浸出が余り生じていなかった。
ここは中途半端な粘度が幸いしたと言えよう。
何故か集電板に油脂付着が見られたため入念に脱脂を行った。
動軸ギアの仕上げは歯ブラシを用いた。
ギア谷を埋め尽くしていた純正グリスは完全に消え失せ灰色成形色に戻った。
後はFS-564S動力台車を組み立てるだけとなる。
なおギアボックスは小ギアが固定され難い個体で組み上げる際に上下を反転させた。
小ギアは非常にずれ易く嵌合寸前まで偏位に十分注意を払っている。




純正グリスが消え去ったFS-564S動力台車。

純正グリス除去を終えたFS-564S動力台車は撤去時とは見違える状態になった。
摺動抵抗は低くなり車輪の回転は非常に良い。
粘度の高い純正グリスは動力ユニットの振動にも少なからず影響したと思う。
既にスパイラルギア周りの清掃を終えているため各ギアへタミヤ製グリスを添加した。
この作業順も効率を考えての変更だった。
モハN812の動力ユニット整備順は今後の基準となるかもしれない。


整備を終えた動力ユニット。

動力ユニットを組立て津川洋行製ホイールクリーナーで踏面清掃を行った。
伝わってくる振動は大幅に低減されていた。
取り敢えず動力ユニット単体ではフライホイール位置調整の効果が得られている。
最後は車体を嵌合させての駆動試験となった。
すると起動時の騒音は収まりマイクロエース製動力ユニットらしい駆動音に変化していた。
当然車体との共鳴も無くなり吊掛駆動の様な音色は廃されている。


モハN813+モハN812 (N818F)。

騒音は動力ユニットをモハN817からモハN812への移設も絡んだと考えていた。
出場時にはモハN812を動力車化していたためモハN817での走行実績は無い。
今回の整備で動力車位置変更の影響ではなく動力ユニットの振動特性が原因と判明している。
ただ対処療法の範疇で再発の可能性は否めない。
その場合にはモハN817の動力車復帰も考えた方が良いだろう。

N818Fで気掛かりな箇所はPT-71系パンタグラフが折り畳めなくなった事である。
出場当初はモハN817,モハN812ともしっかり下降していた。
経年に連れ浮き上がる様に変化している。
マイクロエース製京成新3000形3051F暫定特急仕様(3051F)はTOMIX製PT-7113-D形パンタグラフへ換装した。
グリーンマックス製PT-71A形パンタグラフを用いる方法もあり対応を考えたい。

この記事についてブログを書く
« JR103系習志野電車区305F [Tc... | TOP | 京成3150形3174F 現行色 前期... »