試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ103-266+モハ102-421[ラシ332F] 車体改修 (側面窓セル嵌合精度向上施工:塗装変更車) ※TOMIX製High-Grade製品

2018-04-24 21:43:23 | 国鉄/JR103系
難産。

TOMIX製JR103系High-Grade製品モハ103-266+モハ102-421(ラシ332F)が入場した。
非冷房車だったモハ103-53+モハ102-53(ラシ332F-1)から初期形冷房改造車の整備に戻る。
よってモハ103-265+モハ102-420(ラシ332F)と同程度の作業内容になると考え作業を開始した。


JR103系モハ103-266(ラシ332F:塗装変更車)。

TOMIX製モハ103-266+モハ102-421はモハ103-265+モハ102-420と同時に竣工した塗装変更車である。
当時の遣り繰りが絡み種車は朱色1号の初期形冷房改造車となった。
塗装被膜は中厚でやや艶消し箇所が見られる仕上がりだった。
磨きクロスで状態を上げられる範囲にある。
先ずモハ103-266を入場させ塗装被膜を磨く。
ユニットを組むモハ102-421はその状態に合わせる工程とした。


入工中のモハ103-266。

車体は側扉戸当たりゴムモールド部が膨らむTOMIX製High-Grade製品塗装変更車共通の現象が出ている。
モハ103-265以下6両では何れも解消できた。
この時点では余り深く考えておらず車体断面の清掃で復旧可能と思っていた。
しかし床板が固く嵌合しており事態は暗転する。
嵌合具合は車体内側の塗装被膜が原因ではなかった。
側面窓セルの組付が甘く枕木方向の嵌合爪間隔が狭まっている。
これにより床板を挟む力が強まってしまい床板の分離を難しくさせていた。
2014年8月の竣工以来モハ103-266には殆ど手を加えていない。
約3年半に渡りこの状態で放置されてきた事になる。
プラスチックドライバーを嵌合爪部に差し込み床板を撤去したが嫌な予感が充満した。


傾いていたC4A形ブレーキ制御装置部品。

当初から床板関連の整備に取り掛かる予定を組んでいた。
車体関連は苦戦が予想される。
床板整備の先行はC4系ブレーキ制御装置部品固定化により工程変更されたものである。
モハ103-266の入場前に決定した項目で逆に都合が良かった。
問題のC4A形ブレーキ制御装置は分解前から傾斜していた。
これまでの脱落対策施工車と同じく取付脚にタミヤセメントを塗布し固定している。
TNカプラーSPは簡易式での清掃で手早く終了させた。
C4A形ブレーキ制御装置部品固着までの間は床板一式を完成線に留置する。


固く嵌合した側面窓セル。

そして車体関連の整備に取り掛かった。
予想通り側面窓セルは内側に傾いたまま固着していた。
外側からは全く動かないためニードルと爪楊枝を併用し少しずつ剥離を進める。
一部箇所は爪楊枝が折れる程で癒着が進んでいると思われた。
Hゴムや窓サッシ印刷を傷める恐れの低い箇所へ次々と爪楊枝を挿し込んでいった。
最後に音を発しながら側面窓セルが外れた。
折損を覚悟したが幸い無瑕で済んでいる。


黄色5号塗料が目立つ側面窓セル。

取り外せた側面窓セルは側扉窓,戸袋窓を中心に黄色5号の塗料が多く見られた。
何度擦っても除去できる気配がしない。
モハ103-266も塗料の完全乾燥を待つ前に組み立てたらしい。
黄色5号塗料は付着ではなく塗布に近い状態だった。
完全な除去は諦めマスキングテープで養生した後に歯ブラシを用い出来る限り成形色を露出させた。
ただ歯ブラシ程度ではそう簡単に復旧出来る訳がない。
点状に黄色5号塗料が残った状態で見切りを付けた。


屋根板を撤去したモハ103-266。

モハ103-53の車体断面清掃は塗装状態もあり屋根板を取り外さずに行った。
側扉部の変形が目立つモハ103-266はより大きな力を加えなければならない。
PS16形パンタグラフ破損防止のため屋根板を撤去し作業を進める。
歪んだ車体を内側へ押し込み垂直へ戻そうとした。
しかし約3年半も手が加えられなかったため車体は歪みを記憶してしまった。
最悪の状態に陥ったが車体断面清掃を小変更し打開を図る。
車体断面に吹き込んだ黄色5号塗料を敢えて残した。
側面窓セルの嵌合を固くし側扉窓,戸袋窓部への押圧を高める。
後は組付時に車体を側面窓セル凹部に沈み込ませ膨らみを防ぐ作戦とした。
よって車体断面の清掃は綿棒で塗料片を除去するだけに留めた。
塗装被膜は磨きクロスで半艶程度に纏めている。


計算通りに嵌まった車体側扉窓部。

軽度な車体断面清掃へ変更され車体の組立に入る。
塗装被膜が厚めに残る車体断面ながら下作用式側面窓セルを受け付けるようになった。
ここからは半ば力業での作業となった。
嵌合された側面窓セルだが車体の膨らみは当然解消されていない。
クロスを三重に折り畳み側扉戸当たりゴムモールド部を強引に押し付けた。
すると鈍い感触と共に側面窓セル凹部へ嵌まり込んでくれた。
存置した車体断面の塗料が押えになり再び膨らむ事も無い。
いんちきさが漂う側面窓セル嵌合精度向上策は一応の結果を得た。




モハ103-266(側面窓セル嵌合精度向上対策施工)。

側板の垂直が取り戻せたモハ103-266は竣工を迎えた。
但し押圧に頼る修正方法であり要注意指定車となる。
余り分解したくないTOMIX製High-Grade製品塗装変更車だがモハ103-266は適宜確認が必要だろう。
願わくば現状を車体が記憶してほしい。


入工中のモハ102-421(ラシ332F:塗装変更車)。

モハ103-266は車体断面に吹き付けた塗料の剥離を簡略化した。
予定より早く改修が完了しモハ102-421も同日入場となった。
床板の嵌合は製品同等で難なく終えている。
TNカプラーSPの簡易式白濁対策とC4A形ブレーキ制御装置部品を固定し下廻りの整備を終わらせた。
C4A形ブレーキ制御装置は平行こそ保っていたものの嵌合具合が緩かった。
床板を分解しない状況下では流し込み接着剤の使用を控えたい。
全てはタミヤセメントの接着力が脱落対策の成否を握る。
プラスチックとの相性が気掛かりだがこのまま落ち着いてくれると助かる。


通常通りの方法で取り外せた側面窓セル。

モハ102-421も中厚塗装車だった。
ただ車体断面への塗料吹き込みは少なかった模様である。
側面窓セルは労せずして撤去できた。
車体断面は至る所に朱色1号が残る程で塗装被膜だけが拙い仕上がりと言えた。
先にモハ102-421が入場していればモハ102-53での青22号露出も恐れなかっただろう。
車体側板は若干の膨らみがある。
モハ103-266に比べ押し出し代が狭く直ぐに垂直へ戻せた。
側面窓セルも塗料片は無く磨きクロスで塗装被膜を半艶にした程度の内容で整備を終えた。


落とし穴だった側面行先表示器。

しかし組立に入ると状況は一転する。
どの角度から挿入しても4位側の側面窓セルが嵌められない。
終いには屋根板まで撤去した。
内側から側面窓セルを押し込めば嵌合出来ると考えた。
ところが撓むだけで側面窓の車端側が浮いたままとなる。
止むを得ず側面窓セルを取り外し車体の状態を確認した。
すると嵌合を拒否する原因は側面行先表示器部の車体断面塗装被膜だった。
確かに断面清掃は行ってきたが側面行先表示器部は完全に対象から抜け落ちていた。
モハ103-265+モハ102-420,モハ103-266で支障しなかったのは単なる偶然だったと言えよう。


改修が完了したモハ102-266。

改めて塗装被膜を除去し側面窓セルを嵌合させる。
根本原因が払拭され呆気なく組付を終えた。
皮肉な事にこの顛末はC4A形ブレーキ制御装置の完全固定に寄与している。
車体断面の状況からモハ102-421は改修進捗率が高かった。
固着待ちを要すると思われたがその必要は無くなっている。
このまま一気に組立てモハ102-421が竣工した。




モハ102-421(側面窓セル嵌合精度向上対策施工)。

モハ103-266+モハ102-421の改修入場工程はモハ103-53+モハ102-53に比べ容易ではあった。
しかしモハ103-266は車体側板を無理矢理垂直にさせた。
他方モハ102-421では側面行先表示器部の車体断面清掃欠落が発覚している。
ラシ332Fでは一段落したものの他編成にも塗装変更車が在籍する。
まだ改修入場は続くため注意喚起を促すユニットになったと思う。

モハ103-265以下8両の改修が完了したがラシ332Fの整備はクハ103-756が残っている。
入場の契機だったクハ103形用ジャンパ連結器付TNカプラーSPの白濁対策へと戻る。
今となってはクハ103-743の竣工が遥か昔に思える。
C4B形ブレーキ制御装置固定が追加となるが運転台側TNカプラーSPの撤去前に施工したい。

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