--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

防災訓練 ガーディマスク

2006-07-01 | 南極だより・講習訓練
無事に会計も終わり、ホッとしています。
会計を終えて帰ってきたのが、日付を回っていたのでちょっと遅れてのアップになりました。
それでは渡井さんからの南極だよりです。
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2006年6月30日(金)晴れ時々曇り 防災訓練 ガーディマスク


昭和基地には至るところに緊急用防煙マスクが備えられている。
先日の卓球大会でネットの役割をしたのがこのマスクの箱だ。

このマスクを実際に装着して防災訓練を行った。
使用するのは使用期限の切れた中古のマスクである。
場所は防B脇の廃棄物保管庫。
ここに発炎筒を焚いてマスクを被って通り抜けるという訓練だ。

マスクにはフィルターがついていて、一酸化炭素、シアン化水素、塩化水素、ホルムアルデヒド、二酸化窒素、アンモニア、ベンゼン、硫化水素、二酸化硫黄、アクロレインに効力がある。

さて、実地訓練。

#このくらいの煙なら・・と思うけれど、

#す、すごい・・前が見えませんっ!!
廃棄物保管庫は相当な煙が充満して先が全く見えないほど。
煙が出たときは姿勢を低くして進むのがセオリーだが、低くしても視界はよくならず、前を歩く人に10cmほど近づいてようやく確認できるほど。
さらに一応フィルターがついているとはいえ相当息苦しい。
かなり咳き込むのだ。

少々煙が多すぎたようだが学ぶことができた。
いざという時にはマスクはあくまで退避用。
長時間煙の中にいることができるほどの浄化能力はないということだ。
さらに充満した煙の中では方向さえも定まらない。
日頃から注意深くものの配置を観察しておくことは重要であろう。


-----本日の作業など-----
・全体会議
・NOAA温室効果気体分析用大気採取
・フロン濃度測定用大気採取
・防災訓練
・S17橇回収オペミーティング
・共装準備
・野外安全講習会資料作成
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  なし
日の入  なし
<気象情報6月30日>
平均気温-18.2℃
最高気温-17.4℃(1859) 最低気温-20.0℃(0244)
平均風速12.1m/s
最大平均風速15.1m/s風向ENE(1410) 最大瞬間風速20.8m/s風向ENE(1032)
日照時間 0.0時間

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毎月行われているという、防災訓練。
当初は毎月といっても、同じことばかり繰り返すわけでもないし、そんなにやることがあるのだろうかと思っていたのだけれど、こういう訓練も大切だな、と改めて思いました。
煙に巻かれる体験なんて、そうそうできるものではありません。
煙に巻かれたときの行動は、頭の中にはぼんやりあるものの、だからといって冷静に行動できるだろうか?
防煙マスクすら本物を見たことがないので、ビニール袋などで対応するしかないのだろうな、と思うのだけれど、防煙マスクですらこんなに苦しいのだから、ビニールなんてどのくらい役に立つのかな。
それに、自宅ならまだしも、職場であれば自分よりもまず先に子どもたちのことを考えなければならないわけで、パニックになるであろう子どもを落ち着けて、煙を避けて外に向かう、これは相当難儀だと思いました。

渡井さんは物の配置についても書いていますが、狭すぎても対比に不自由すると思いますが、広すぎるところは逆に方向を見失うのですね。
私も家の中を目隠しで歩いてみよう。

それと、昭和基地にはいろいろな燃料や薬品もあると思うのです(どんな物があるか分からないけど)。
だから私の家が火事になるのとは大違い。
そういう物に引火したら、炎の激しさも想像を絶するけれど、煙も相当毒性が強そうです。
訓練も大事だし、火事を出さないことも本当に大事だな、と思いました。

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