--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

野外旅行に関する安全講習会

2006-06-30 | 南極だより・講習訓練
明日はコンサートを伴った1000人規模のお祭りを企画していて、その会計を担っています。
算数は得意ではなかったし、数学は図形の証明問題しか好きではなかったのに、なぜか毎回会計をやることになってしまいます。
大きなお金を動かすようになってくると、お金を見ないですむ昭和基地がとってもとってもうらやましくなります。
そんなわけで、明日は早出です。
昨日アップするはずだった南極だよりは今朝になって送られてきたのだけれど、ちょっと手間のかかる作業があるので、集会が終わってからアップする予定です。
それでは今日の分の南極だよりを先にお届けします。
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2006年6月29日(木)晴れ 野外旅行に関する安全講習会

今週から野外安全講習が開かれている。
冬明けにはこれまでと比較にならないほど野外活動が多くなるため、座学として学べることはあらかじめ学び糧にしようという訳だ。

1回目の火曜日は「概論:安全に野外で行動するための基礎知識と常識・非常識」と「海氷上の行動と安全」、
2回目の木曜日は「内陸旅行の行動と安全」、
3回目は「個人装備の意味とその使い方」と「共同装備の意味とその使い方」、
4回目は「車両救助、人命救助の方法および体制」と「野外医療セットの内容と野外での応急処置の方法」

この講習は普通の講習と一風変わっている。
講師には越冬未経験者があたるからだ。
講師は各種資料や越冬経験者の話を纏めて講習会で発表する。
それを元に他の越冬経験者の意見を聞いたり議論したりする。

越冬経験者のコメントの後は、誰でも気軽に質問やコメントができる時間だ。
このような場合遠慮して質問がほとんどでないこともあるが、一連の講習会では活発に質問が出される。
議論することで意思の疎通と共通認識を持つことが出来る。
未経験者が講師になるというあまりみたことのない講習会。
どうなることかとも思ったが、いい感じで進んでいっているように思う。
47次隊が上手い具合に機能していることが感じ取られて非常に嬉しい。

僕も次回の「個人装備の意味とその使い方」では講師を任されている。
ちゃんと調べなくては。


-----本日の作業など-----
・「日刊昭和」記事執筆
・GC分析用インテグレータープログラムICカード電池交換
・野外旅行に関する安全講習会(3.内陸旅行の行動と安全)
・二酸化炭素同位体比分析用大気採取
・温室効果気体濃度分析用大気採取
・二酸化炭素精製
・酸素・窒素比分析用大気採取
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・防火・設備機器点検表提出
・暖房機燃料補給記録提出

<日の出日の入>
日の出  なし
日の入  なし
<気象情報6月29日>
平均気温-14.2℃
最高気温-10.7℃(0710) 最低気温-18.6℃(2333)
平均風速7.0m/s
最大平均風速15.8m/s風向ENE(1220) 最大瞬間風速19.1m/s風向ENE(1221)
日照時間 0.0時間

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そろそろ、MWFの余韻もさめて野外活動が再開でしょうか。
これからの時期、観測や観測のための物資輸送など、それぞれあちこちに出かけて行くのだと聞いています。
先日の南極教室で渡井さんは、怖いことの一つに氷の割れ目(クラック)をあげていました。
講習のテーマを見ただけでも、自分たちの命を守る大切なことが話されるのだと分かります。

私は、越冬未経験者が講師になるという手法は、とても理にかなっていると思います。
重要な事柄は、知っている人がさらっと話したのでは残らないからです。
未経験者が講師をすると、細かいところで、間違っていることやもっと気をつけた方がいいことなどが出てくると思うのです。
そこを手がかりにどうしてそうなのか、どうしてこの方法ではいけないのかなどが話し合えるのだと思います。
子どもたちの授業スタイルはまさにこういう形ですし、私たちの日々の研究もそうなので、実感しているのですけれど。
このやり方は、より未熟な者を真ん中にして、みんなで学び直す姿勢なのだと思っています。
47次隊がこういう講習の仕方を選んでいるということは、得意な人だけがやればいい、できる人がやればいいというのではなく、みんなが力をつけていこう、みんなで観測隊を成功させようという考えの表れのような気がします。

どうか、これからの野外活動がみんなの力で安全に行われますように。

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