--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

防災訓練 その2

2006-04-21 | 南極だより・講習訓練
「北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線」が昨日で幕引きとなりました。
足寄―池田の区間を乗らずじまいだったと、今更後悔しています。
時刻表の路線図を見ると、昔に比べてずいぶん線路が少なくなってしまったなぁとさみしく思います。
さ、気を取り直して、渡井さんからの南極だよりをお届けします。
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2006年4月20日(木) 晴 防災訓練 その2

47次隊2回目の防災訓練が行われた。
予定されていた3月の訓練がのびのびになっていたのだ。

火災等に備えて隊員はそれぞれ班分けが決められている。
消防本部、現地本部、それに消火班、救護班、破壊班の3つで、消火班の中には救助係もある。
「消防本部」は総合的に指揮をする部署、
「現地本部」は現地の統括をする部署、
「消火班」は消火ならびに怪我人等の救出をする部署、
「救護班」は怪我人等の治療をする部署、
「破壊班」は火災の延焼を食い止めるため施設を破壊する部署だ。

さらに各班の中にはそれぞれ役割があって各個人に割り当てられている。
僕が属する消火班には、班長、筒先、ポンプ、ホース、電力、連絡の役割があり、
「班長」は消火の指揮、
「筒先」は消火ホースの先端の取り扱い、
「ポンプ」は130kL水槽から水を汲み上げるために必要なポンプの稼動、
「ホース」はホースの取り回し、
「電力」は電力の遮断、
「連絡」は人員確認や各部署とのやり取りを行うのだ。

僕の係は「連絡係」。
消火には直接は関わらないが、
初期消火失敗時の消火班の人員確認、
消火時の班長と各本部との連絡、
本格消火終了時の人員確認が任務だ。
これらをUHFを通じてやりとりする。

大変なのは人員確認だ。
火災時のどたばたの中で人員を確認しないといけない。
全員が揃っているかいないかで、救助の方針も大きく異なってくるであろう。
チェック漏れがあり火災現場に不明者がいると思い込んで救助に向かうようなことがあれば2次災害にも繋がりかねない。
ところが消火班は各部署の中で最大で18人を要する。
全員の名前を覚えておくことは不可能に近い。
誰がどの班だったかまでは普段この人員分けをしていないこともあり頭に入っていないのだ。

無線機は消火班の連絡係ということもあって、毎日の通勤時にも欠かさず持ち歩いている。
そこで名簿を常に無線機に挟んでおくことにした。
これなら突然の事故にも対応できる。

まだ一連の消火過程、さらには全体の配置などに課題はあるものの、問題意識を持って考え議論し改善していくことが事故を最小限に抑えるためには必要だろう。
そんな風にしていると却って火事は起きなかったりするものなのだ。


-----本日の作業など-----
・CO2計標準ガス交換
・CH4計キャリアガス交換
・CO2計リニアリティチェック
・海氷状況定点観測
オングル海峡の薄氷張り始める 開水面積は変わらず
・防災訓練
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・比較用二酸化炭素精製
・CO2定期メンテナンス&報告

<日の出日の入>
日の出  8:18
日の入  16:22
<気象情報4月20日>
平均気温-14.0℃
最高気温-13.1℃(1453) 最低気温-16.2℃(0341)
平均風速10.5m/s
最大平均風速16.5m/s風向E(2000) 最大瞬間風速21.2m/s風向E(1958)
日照時間 5.8時間

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そういえば3月の「作業など」には防火訓練の記述がなかったです。
天候不良で延期になってしまったのでしょうか?
とすると4月の防火訓練は来週??なんてことはないですよね。
さて中身ですが、人員点呼という重要な役わりを任されているとのこと。
私の経験でいうとパッと見て全員がいることを確認できる人数というのは6-7人くらいだと思います。
それ以上が集まるとパッと見ただけでは分からず、必ず点呼をしたり数えたりという動作が入ります。
子どもたちの場合は集めて数えるから確認しやすいけれど、右往左往しているしかも防火服を着た大人を確認するのは至難の業だと思います。
そもそも防火服って顔も隠れてしまうと思うのですが顔は見えるのでしょうか?
しかも18人の班員が全部頭に入っていないのは厳しいことなのかも。
だって、確実に時間がかかってしまいますよね。
このためだけに憶えるのは・・と思ったけれど、このためだからこそ憶えておかないといけないのではないかなぁと思います。
時々メモを見ながらどんなメンバーだったか顔をイメージして憶えておくと万が一の時に役立つかもしれません。
もっとも「そんな風にしていると却って火事は起きなかったりするものなの」ですけれどもね。
ちなみに私は今の職場では間違いなく救護班です。
一人なので班という名前がつくかどうか・・?

4月20日の気象情報を見ていて思ったことがあります。
4月1日に今次最低気温を記録していますが、その日の平均気温は-17.6℃で平均風速は4.3m/sでした。
4月20日の平均気温は-14.0℃で4月1日より3.6℃低いですが、風速は4月1日が4.3m/sなのに対して今回は10.5m/s。
体感というのはとても曖昧だけれど、やっぱり気になる。
どっちが寒いなぁという感じがするのだろうか?
春の嵐と呼ぶにふさわしいような天気の昨日、東京での平均風速5.2m/s 最大平均風速11.5m/s 最大瞬間風速26.0m/s
-14.0℃の強い風だったらかなり凍えそう。
実際に火災の時は火があるから暑いのかもしれないけれど、火がないところで水を撒いたらいろいろなものが凍ってしまいそうな気がしました。

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